パレスチナの壁に描いたアートに住民激怒、だがその価値は数千万円!?「バンクシーを盗んだ男」場面写真
2018年6月5日 14:00
[映画.com ニュース] 正体不明のグラフィティアーティスト・バンクシーと、その作品がもたらす影響力に迫るドキュメンタリー「バンクシーを盗んだ男」の場面写真9点が、一挙公開された。
イタリア人監督マルコ・プロゼルピオが、世界から熱視線を浴びる覆面アーティストであるバンクシーの人物像のみならず、数千万円~1億円という超高額で取引される作品にまつわるドラマに迫る。音楽界のカリスマ、イギー・ポップがナレーションを務める。
本作の舞台は、紛争地区に指定されているパレスチナ・ヨルダン西岸地区にあるベツレヘム。そこにはパレスチナとイスラエルを分断する高さ8メートル、全長450キロメートルを超える巨大な壁が存在し、そのパレスチナ側の壁の一部にバンクシーは「ロバと兵士」を描く。この絵がパレスチナで反感を呼び、怒った地元住民が壁面を切り取ってオークションへかけてしまう。巨大なコンクリートの壁画はベツレヘムから海を渡り、美術収集家たちが待つオークションハウスへ送られる。
場面写真では、絵がまさに切り取られる瞬間をとらえたものや、鉄格子にはめられ運び出しやすくされた「ロバと兵士」の姿、バンクシーの描いたネズミの壁画や代表作「フラワーボンバー」が確認できる。さらに、バンクシー自身が開業し、存在自体が作品になっている「世界一眺めの悪いホテル(THE WALLED OFF HOTEL)も写し出されている。
「世界一眺めの悪いホテル」は、ベツレヘム市を囲む分離壁からわずか4メートルと離れていない場所に位置し、劇中では支配人を務めるウィサム・サルサーによって「客室から見える風景で分離壁への理解が深まり、パレスチナ人の暮らしがわかることでしょう」と説明がなされている。
「バンクシーを盗んだ男」は、8月4日から全国で順次公開。