「ムーンライト」オスカー獲得を前日に映画評論家・松崎健夫&中井圭が予言!

2017年2月27日 18:00


(左から)松崎健夫氏と中井圭氏
(左から)松崎健夫氏と中井圭氏

[映画.com ニュース] 第89回アカデミー賞で3冠(作品賞、助演男優賞、脚色賞)に輝いた「ムーンライト」の日本最速試写会が、授賞式の前日2月26日に都内で開催された。上映後、映画評論家の松崎健夫氏と映画解説者の中井圭氏が本作の魅力を解説した。

麻薬中毒者の母親ポーラ(ナオミ・ハリス)との関係に悩み、学校ではいじめに耐えながら暮らす少年シャロンの人生を叙情的な映像表現と詩的なセリフを交えて静ひつなタッチで描く。プロデューサーとしても手腕を発揮するブラッド・ピットが、製作総指揮を務めた。

松崎氏は、近年の“多様性”をテーマにした映画の増加傾向に触れ「米国ではLGBTの問題を扱ったものが多いけれど、この映画はさらに貧困や人種問題も描いていて、まさに今のアメリカにぴったりの映画」と語る。中井氏は「“ステレオタイプな見方をしない”というのがこの映画のテーマだけれど、この作品自体がまさにそう。こういう物語は、エモーショナルで動的になりがちだが、そうしない!」とその“静”の魅力を力説。映画は主人公の少年期、青年期、成人期の3つの時代が描かれ、それぞれをアレックス・ヒバートアシュトン・サンダーストレバンテ・ローズが演じるが、中井氏は「セリフは少ないけれど(3人の)瞳がつなぐ哀しみが、映画を貫いている。それぞれの時代の“間”の映っていないシーンに何があったのかを瞳が物語っている」と絶賛した。

シャロンの父親代わりとなる麻薬ディーラーのフアン役を演じて助演男優賞に輝いたマハーシャラ・アリについては、存在感を2人とも絶賛。松崎氏は「この映画で1番すごかったのは彼の演技」と語り、中井氏は「あくまで個人的予想だけど、確実に獲る」と予言した。一方、助演女優賞にノミネートを果たしながら受賞を逃したハリスは、わずか3日間の参加で3つの時代を1日ずつ演じわけるという難しい役どころに挑戦している。中井氏は演技を称賛するとともに、「お母さんの変化が、少年の成長と合わせ鏡になっている」とドラマ部分の見どころに言及した。

ムーンライト」は、4月28日から全国公開。

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