ブラジルの人気ホラー監督による心理スリラーを脚本家が解説「恐怖や日常に潜む悪魔が大事なテーマ」

2016年11月2日 13:00


セルヒオ・ビージオ氏
セルヒオ・ビージオ氏

[映画.com ニュース] 第29回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「空の沈黙」が11月1日、六本木・EXシアターで上映され、脚本家のセルヒオ・ビージオ氏がティーチインを行った。

ブラジルのマルコ・ドゥトラ監督がメガホンを撮った本作は、妻が2人組の男に暴行されるのを目撃した夫が、その場で何もできなかった自責の念に苦しむ。しかし、妻も暴行された事実を隠し、2人の間には重い空気がたれこめる。そして、ひょんなことから犯人に関する手掛かりが見つかる。極限状態に置かれた人間心理の奥底を見つめるスリラー。

上映後、ドゥトラ監督からのビデオメッセージが映し出され、「ポルトガル語とスペイン語を話す、夫と妻の言語の違いから、互いのトラウマを話すことができないカップルをスリラーという形式を使って描きました」と観客へ向けての挨拶と共に、本作のテーマを語った。

映画学校の同級生だったドゥトラ監督と18年来の付き合いだというビージオ氏は、「マルコ(・ドゥトラ監督)にとって、恐怖や日常に潜む悪魔が大事なテーマ。恐怖が彼の性格の一部でもある」「ホラーが大好きで、そのジャンルの要素を盛り込むことが彼の映像作家としての核となっている」とホラーやスリラーを得意とするドゥトラ監督の作風を紹介した。

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今作は、アルゼンチンを舞台にした小説が原作だそうだが、ドゥトラ監督とビージオ氏なりの解釈を加えて脚本を新たに作り上げた。舞台をチリのモンテビデオに移し、妻はブラジル人でポルトガル語を話し、夫はスペイン語を話すという設定に変えた。「妻を夫とは別の世界の人間として描きました。彼女は親しい友人とはポルトガル語で話し、独白もポルトガル語。心の奥底では夫と共通の言語を話さないということです」と説明する。

劇中では、夫婦が住む家に置かれたサボテンの鉢植えが効果的に使われているが、「マリオはもう一歩踏み込んで、レイプ犯が働く植物店を不吉な感じの店にした。植物は生き物であるが、口をきかない不可解な部分がある。マリオはそれをどう映すかこだわった」と、植物を恐怖のモチーフとした監督の工夫を明かした。

東京国際映画祭は11月3日まで開催。

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