新鋭A・レオン監督、知られざる米ニューヨーク活写した最新作を語る

2016年10月30日 14:45


撮影許可の取れていない駅での撮影も…
撮影許可の取れていない駅での撮影も…

[映画.com ニュース] 第29回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「浮き草たち」が10月30日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、出演の女優グレース・バン・パタン、メガホンをとったアダム・レオン監督、プロデューサーのジャムンド・ワシントン氏が公式会見に出席した。

脚光を浴びた長編デビュー作「ギミー・ザ・ルート NYグラフィティ」(2012)では、米ニューヨークのグラフィティ・アーティストに焦点を当てた新鋭・レオン監督が、2作目の題材に選んだのは“スリラー仕立ての青春ラブストーリー”。ニューヨークのレストランでシェフとして働くダニーが、犯罪組織とつるむ兄の代わりに「ブリーフケースを持った女性とリゾート地に行き、別のケースと交換する」という仕事を頼まれ、困惑しながらも遂行していく姿を描いた。「グリーンルーム」などのカラム・ターナーがダニーに扮し、「VOGUE」の表紙を飾ることが決まっている新進女優パタンがケースを持つ女性を演じた。

前半は緊張感あふれるクライムサスペンスが紡がれるが、時間が進むに連れ淡いラブストーリーに転調していく今作。ニューヨークの街並みをとらえたスタイリッシュな映像も見どころで、レオン監督は「映画などではあまり見られていない『ニューヨーク』を撮りたい」という思いで臨んだそうだ。「少人数のクルーで街に出て、計画性なく撮影しました。人々の本当の私生活やエネルギーなどをそのまま撮ることが、この作品のテーマでした」と明かす。

これを受け、パタンは「グランド・セントラル駅のシーンがありますが、本当は撮影してはいけない場所なんです」と暴露。苦笑しながら「できるだけコソコソと、素早く正確に撮らなければいけなかったです。大変でしたけど、楽しい思い出でもあります」と振り返った。

また、レオン監督は自身のビジョンを実現させるため、長期間にわたるリハーサルを実施し、キャスト・スタッフ陣と思いを共有したという。「俳優たちに自由を与え、キャラクターを見つけてもらう時間を用意します。準備段階からキャラや物語が変わることがありますが、最初にある自分のビジョンとハートは変わりません」と語ると、パタンも「キャラを見つけるためには大事な時間でした。共演者や監督と関係性が築けますし、全部を自分のなかに入れたうえで撮影現場に入るので、遊び心のある演技ができるんです」とほほ笑んでいた。

第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。

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