SUGIZO、ヨルダンの難民キャンプ訪問で感じた現状と今後の目標は?

2016年6月23日 13:00


難民問題への思いを語ったSUGIZO
難民問題への思いを語ったSUGIZO

[映画.com ニュース] ミュージシャンのSUGIZOが6月22日、都内で行われた国連UNHCR協会主催のトークイベントに、フォトジャーナリストの佐藤慧氏とともに出席。3月にヨルダンの難民キャンプを訪問したふたりが、現地で感じた思いや体験を語り合った。

ヨルダンでは、シリア難民を受け入れのため2012年にザータリ、14年にアズラックというふたつの難民キャンプが開設された。現在、シリア難民は約64万人にのぼり、8割が首都アンマン、残る2割が難民キャンプでの生活を余儀なくされている。

かねて難民問題と向き合ってきたSUGIZOは、LUNA SEAやX JAPANなど有名アーティストとしてではなく、「ただ楽器が弾ける人」として難民キャンプ入りし、即興セッションやバイオリン生演奏など音楽による対話を行った。

トークでは、人々との交流を振り返るとともに、中東の安全性や大多数を占める都市難民問題にも言及。「実際行ってわかることは、基本中東はとても平和。日本の方が、子どもが子どもらしく外を歩けない」「(都市難民は)働くこともできず、支援も受けにくい。被災地に似ていて、現地に行かないと我々の目に映ってこない。見えないところに最も苦痛がある。我々が支援すべきことはまだまだたくさんあって、知らなければいけないことが多い」と肌で感じた現状を熱弁した。

東日本大震災でも支援活動を行ってきたが、「生まれて初めて音楽家であるということをすごく無力に感じた。(現地に赴き)勇気をもらって帰ってきた。手を差し伸べられるんじゃないかという気持ちを持っていくけれど、行ってみると違う。エネルギーをもらうこと、学ぶこと、得ることが多くて、社会の一員なんだということを痛感した」と吐露した。

「コミットし続けたい」というSUGIZOは、今後の目標として「難民キャンプでレイブパーティーをやりたい。特に大人の女の人たち、今日ははっちゃけてという時間を作ってあげたい。みんな踊って騒ぎたいの。それをずっと押さえ込まれている。もしパーティーが可能になったら、ものすごく大きなことだと思う」と独自の支援案を明かした。

写真を通じ難民を見つめてきた佐藤氏は「家族、大切な人と一緒にいられることはこんなに幸せなんだということを常に教えられる」と真しな眼差し。単身現地に向かい難民の今を伝えてきたが、「(自分に)何ができるかということより、それぞれの役割を持ち寄ることで大きなことができる。自分が社会や人の役に立てる場所があるということは、自分の肯定感につながっていく」と持論を展開した。

さまざまなキャンプ地をめぐる中、無力さを感じることもあったそうだが、SUGIZOとの訪問を経て「自分が考えられることはこれしかないけど、外に違う考えがある。未知なものは不安を掻き立てるけど、同じだけ希望にもなる。S周りにいる人々と出会ったことによって感じているので、どんなに絶望的な状況でも人に会い続けようと思っている」と決意を新たにした。

この日、会場に集まった観客からも質問が寄せられた。これからの若者に望むことを問われると、SUGIZOは「一番大切なことは社会に目を向けること。若い人ひとりひとりが社会を作っていく原動力なんだと認識すること。一番悲しいのは、自分は無力だと感じることなので、その意識を共有して欲しい。もうひとつ、ちゃんと選挙に行って欲しい」と語りかけた。

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