シリア内戦の初動映像と愛の書簡をつむいだ「シリア・モナムール」5月公開

2016年3月9日 08:00


「シリア・モナムール」ビジュアル
「シリア・モナムール」ビジュアル

[映画.com ニュース] 2015年山形国際ドキュメンタリー映画祭優秀賞を受賞した「シリア・モナムール」が、5月から公開される。シリアの人々が撮影し、YouTubeやFacebookにアップロードされた内戦の初動を捉えた映像を再構成した作品だ。

2011年春、アラブの春に始まった民主化運動がシリアにも押し寄せ、42年続くアサド独裁政権への不満と自由を求める声が市民の大規模なデモとなって渦巻く。やがて政府軍による一般市民への弾圧は、拷問と虐殺の暗黒の時代へと様相を変え、武装勢力と政府軍の戦闘による内戦に突入。現在は、イスラム国の台頭と、アメリカ、ロシアをはじめとする有志連合の空爆で、シリア情勢は準国際紛争と化し、さらに混迷を極めている。

パリに亡命し、祖国の凄惨な映像をひたすら集めることしかできなかったオーサマ・モハンメド監督に、包囲攻撃を受ける街で暮らすクルド人女性のシマヴからメッセージが届き、2人の映画製作、そして愛を語る男女の往復書簡が始まる。映画の軸となる1001人のシリアの人々が捉えた映像に、ポエティックな男女の会話が重なり、シリア内戦の現実と戦争の恐怖を突きつけるとともに、絶望の中に普遍の愛を見出していく作品だ。本編には「ヒロシマ・モナムール」「街の灯」「どですかでん」「愛の讃歌」など過去作へのオマージュも織り込まれている。

シリア・モナムール」は5月下旬から、シアター・イメージフォーラムほか全国劇場公開。

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