香港発「レイジー・ヘイジー・クレイジー」監督&女優陣が語る“援助交際”をフックにした青春映画

2015年10月27日 23:40


主演の3人は制服姿でインタビューに応じる
主演の3人は制服姿でインタビューに応じる

[映画.com ニュース] いつの時代も青春は痛々しい。それゆえにまた、したたるような瑞々しさに満ちている。泣き虫でウブなトレイシー、愛されたい一心のアリス、クールでしたたかなクロエ。18歳の女子高生3人組の繊細な友情を描く本作は、パン・ホーチョン監督「低俗喜劇」「恋の紫煙2」の脚本を書いた女性、ジョイ・ロックの初監督作。援助交際という際どいテーマを描きながらも、爽やかな友情の風を運んでくれる魅惑的な作品だ。

いままさにワールドプレミアでの上映が終わったところですが、いかがでしたか?

ジョディ・ロック監督(以下、ロック監督):観客の皆さんが、主人公の3人と一緒に泣いたり笑ったりしてくれて、すごく自信を持つことができました。熱い声援に本当に感動しました。

ジャム・ヤウ:今日、初めて作品を見て感動しました。トレイシーが祖母に折檻されるシーンを見て、泣きそうになりました。たった16日で撮った作品ですが、撮影前に主役の3人は共同生活しながら、役柄を作っていきました。あの頃が思い出されて、ありのままの彼女たちの姿を撮ったんだと改めて感じました。

制服姿で来てくださった主演の皆さんも感想を聞かせてください。

クォック・イッサム:今回、仕事で来日できてうれしいです。この作品に出演して、ワールドプレミアの場に参加する機会が与えられて感無量です。

マック・チーイ:私たちも初めて作品を見ましたが、3人で一緒に暮らした時のことを思い出して声をあげて泣いてしまいました。役者として日本に来られたことは、忘れられない思い出です。

フィッシュ・リウ:今日みんなで一緒にワールドプレミアを見られたことが、本当にうれしいです。監督、プロデューサー、私たちを応援してくれた皆さんに感謝します。映画をご覧になった方々が、作品に描かれた3人の気持ちに共感してくれたら一番うれしいです。

監督は、パン・ホーチョン監督(今作ではプロデューサー)の作品の脚本を続けざまに書いていましたね。今回は、自分で監督をするつもりで脚本を書いたのですか?

ロック監督:もともと脚本家として参加していて、パン・プロデューサーが女性監督を探す手筈でした。なかなか適任者が見つからなかったので、「私が監督してもいいですか」と言ったら、「あなたの脚本だし、その方がいいんじゃないか」と。それで決まったのです。

香港では、女の子を主役にした青春映画が少ないと聞きました。この作品を撮ることはチャレンジングなことだったのではありませんか?

ロック監督:事前にパンさんと打ち合わせて、見せかけじゃない、リアルな青春を描くことは決まっていました。だから、この映画を撮ることはある種の冒険でした。

際どい会話や描写もありますからね。

ロック監督:そうした要素からすれば、この作品は中国では検閲に通らない可能性があります。でも、物語のしっかりした良い作品を作れるなら、あまりマーケットは心配しないでいいと思いました。今日のように観客に受け入れてもらえたら、自然に広がっていくと期待しています。

主役の皆さんは、この2月に開かれたオーディションで選ばれたんですよね。何人くらい応募があったのですか。

ロック監督:300人程です。書類選考を通してこの役に合う人たちは20人程度しかいませんでした。その中からこの3人を選びました。

皆さん、オーディションにどんな気持ちで臨まれたんですか?

クォック・イッサム:オーディションの時には、自分が主役をやるということは何も知らされてなくて、ただ話し合いの場面とか、わりと普通の演技をしました。

マック・チーイ:実はパン・プロデューサーのアシスタントの方が、友人の友人だったんです。メイド喫茶の場面に登場して、両手でニャンとする背の低い女の子です(笑)。彼女からFacebookで、新作のオーディションをやるから参加しないというメッセージをもらったのがきっかけです。それでパンさんのFacebookをのぞいたら、新人募集の記事が出ていて、このチャンスを逃しちゃいけないと思いました。あと1週間でオーディションが終わるという段階で、役者として、著名なパンさんやジョディ監督と仕事がしたくて、駆け込みで参加したのがよかったのかもしれません。全裸にならないといけないとか、様々な条件がありましたが、そのことは気になりませんでした。

フィッシュ・リウ:私の場合、オーディションに受かってもとても大胆な場面があるので内心は躊躇していました。脚本を読んで、一生懸命セリフを暗記したのに現場では頭が真っ白になり、結構アドリブもありました。裸になる場面ではとにかく気持ちを落ち着けようと、トイレの壁に頭をぶつけて自分を奮い立たせました。

たしかに潔いヌードシーンも話題ですが、それ以上に彼女たちが愛しくなる、爽やかな青春映画に仕上がっています。

ロック監督:中国語圏では援助交際となると、誰もがある種の色眼鏡で考えてしまう。主人公が最後に死ぬか、中絶するという悲しいストーリーばかりなのです。こうしたイメージを180度変えたいと思いました。

彼女たちの心象を代弁するように、都市の光景がインサートされているのも印象的でした。

ジャム・ヤウ:インサート・ショットは、僕が小クルーで街を周って撮影しました。脚本を読んでこんな映像が必要かなと考えて、自分が18歳だった時の気持ちを思いだしながら撮りました。

3人が戯れる場面が何度も場を変えて現れて、青春への追想といった趣をなしています。

ロック監督:青い空に白い雲が浮かんでいて、その下で女の子たちが楽しく遊ぶ場面があってもいいんじゃないかと思いました。それは援助交際がこの3人にとって人生のすべてではないからです。一部の経験、経歴、通過点にすぎないわけで、そのことを示すためにも彼女たちの友情を全面的に描きました。

(取材/構成 赤塚成人)

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