VODサービスの未来を語り合うイベントに、日米の主要プレイヤーが集結

2015年10月22日 15:10

パネルディスカッションの模様
パネルディスカッションの模様

[映画.com ニュース] 映像・音楽・アニメーションの国際見本市を集約し、コンテンツの垣根を越えたコンテンツマーケット「Japan Content Showcase2015」のイベントの一つ、ビジネスセミナー「見えてきた動画配信マーケットの近未来」が10月20日、東京・台場にあるシネマメディアージュで開催され、映像業界関係者らが多数詰め掛けた。

9月に、米大手インターネット映像配信サービス「Netflix」が日本での配信事業をスタートさせ、国内のコンテンツホルダー直営型の新しい映像配信サービス「bonobo(ボノボ)」が立ち上がるなど、注目を集める動画配信ビジネス。セミナーの第1部「加速する動画配信市場と日本コンテンツの海外展開の可能性」には、Netflix Japanバイス・プレジデントのデイビッド・リー氏らが登壇し、グローバルな視点から市場と日本コンテンツの可能性を展望した。

リー氏は「想定よりもいいスタートが切れて満足している。ローカルの強みを生かした日本の市場では、オリジナルコンテンツ制作にも注力し、長期的なビジネス展開を考えている」と日本市場を受け止めており、日本コンテンツの海外展開については「日本のアニメにはチャンスがある。また、アニメ以外の強いコンテンツも視聴データなどから探し出し、国内の制作者とコミュニケーションを取り協力しながら、世界にも出していきたい」と語り、日本コンテンツにもグローバル展開できる可能性が充分あると述べた。

第2部「日本のトップランナー5社が集結。VODビジネスの成長戦略と市場予測」には、国内で動画配信サービスを行うキープレイヤーであるAmazon、ボノボ、dTV、GYAO!、Huluの代表者が登壇し、各社サービスについてプレゼンテーションした後、パネルディスカッションを行った。

同じ動画配信サービスとはいえ、各社の違いが改めて浮き彫りになった。9月24日にスタートしたばかりのAmazonのジェームズ・ファレル氏は「ストリーミング視聴ではなく、コンテンツをダウンロードして観るユーザーが増えている」と開始後の特徴をあげた。ボノボの加藤徹氏は、「新作のプレミア感が強いコンテンツを1個1個きっちり売っていき、マーケットの拡大に貢献したい」と抱負を述べ、9月30日のサービス開始時の参加コンテンツホルダーは6社のみだが、12月以降40社以上になる予定。

dTVの村本理恵子氏は、「スマートフォンでの視聴が7割を占め、ユーザーは20代~60代までと幅広く、女性層が多い」のが特徴で、「作品分析と視聴データによるユーザー専用のレコメンデーション機能やエイベックス・グループのシナジーによる独自コンテンツも強化している」とした。GYAO!の1日のトラフィックのピークは昼時と夜10時以降で、TwitterなどのSNSからの流入が多くなっており、「メディアとしてのGYAO!に作品を預けてもらい、まだ出会っていない作品を沢山の人に届けたい」と宮本直人氏は意気込んだ。

そしてHuluは、最近TVでの視聴が増え、土日にTVシリーズの連続視聴や就寝前に1話だけ見るユーザーが多くなっているが、船越雅史氏は「TV、映画と似て非なる部分がVODにはある。日本人は選ぶのが得意ではないが、押し付けられるのも嫌うので、アナログ的なオススメの仕方など、色々なことをやっていかなければならない」との考えを述べた。

市場としての今後の盛り上がりが期待されているが、「パッケージ市場と比べてもまだまだ小さい。動画配信市場の健全な成長が大事」(船越氏)であり、「独自コンテンツがあるからといってユーザーが見てくれるとは思っていない。使い易さ、ヒマつぶしなどのニーズを充たす好循環を作っていく戦略的な設計図が必要」(村本氏)だ。

モデレーターを務めたフリージャーナリストの西田宗千佳氏も「日本はまだ映像の消費を伸ばし切れていない。各社サービスの競争により、市場がもっと拡大していくことを期待する」とした。日本人ユーザーにフィットする更なるサービスの向上と、海外にも通用する質の高いコンテンツ制作には、クリエイターへの利益還元も含めた仕組み作りも重要になってくることなどが語り合われた。

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