「生きる」パク・ジョンボム監督「映画を始めたきっかけは北野監督」

2014年11月24日 21:00


Q&Aを行ったパク・ジョンボム監督
Q&Aを行ったパク・ジョンボム監督

[映画.com ニュース] 世界中の映画祭で受賞歴を誇る「ムサン日記 白い犬」のパク・ジョンボム監督の最新作「生きる」が11月24日、東京・有楽町朝日ホールで開催中の第15回東京フィルメックスのコンペティション部門で上映され、主演も兼ねたパク監督が観客とのQ&Aを行った。

姉とその娘の3人で暮らすジョンチョル(パク)は、建築現場での仕事を失ったため、困窮した生活から抜け出そうと働き始めた味噌工場で、厳しいノルマをなんとか達成しようとする。しかし、そこにはあまりにも厳しい現実が待ち受けていた。

前作「ムサン日記 白い犬」に続き、本作でも主演を兼ねたパク監督は「私が映画を始めたきっかけは北野武監督です」と明かす。さらに、「北野監督の映画を見て尊敬して、自分も映画をやりたいと思った。北野監督は俳優も監督もされている。私にとって、演じることと演出をすることは別の事ではないんです」と自らのスタイルを語ったが、「今後商業映画を撮ることになったら、主演が私では喜んでいただけないので(笑)、出演はしなくなると思います」とおどけ、会場の笑いを誘った。

また、脚本と監督の経験の関係を「実は、私の弟のような存在だった友人が自殺してしまった。それがきっかけでこの『生きる』という作品をつくることになりました」と経緯を説明。「彼が抱えていたうつ病の症状は主人公のお姉さんに投影されています」といい、個人的な経験と深い関わりのある作品であることを語った。

約3時間という長尺の作品であることの必要性を問われると、「シナリオを描いた時点では4時間くらいの予定だった。私自身、映画館でこの映画を苦しそうに見ている方々を見て(長すぎるかと)悩んだのですが(笑)。生きるというのは退屈なことですよね。見たくないものも見なければならない。この長さと『生きる』ということが通じ合うのではないかと思い、3時間というギリギリの線で収めました」と茶目っ気たっぷりに語っていた。

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