20カ国の生徒が通うクラスに密着したドキュメンタリー「バベルの学校」監督と担任が来日

2014年6月28日 15:40


ジュリー・ベルトゥチェリ監督(左)とブリジット・セルボーニさん
ジュリー・ベルトゥチェリ監督(左)とブリジット・セルボーニさん

[映画.com ニュース] フランスの最新映画を日本に紹介する「フランス映画祭2014」で、「バベルの学校」が6月28日上映され、ジュリー・ベルトゥチェリ監督とブリジット・セルボーニさんがティーチインに参加した。

アイルランド、セネガル、モロッコ、中国など20の国籍を持つ24人の生徒が在籍する、適応クラスと呼ばれるフランス語を習得するために設置された中学校の特別学級に密着したドキュメンタリー。母国の政治問題や経済的理由、より良い教育を求めてなど、生徒たちがフランスに住むことになった背景は様々。担任のセルボーニさんの指導のもと、それぞれの文化や宗教の違いを理解しながら、クラスメイトとして絆を深めていく様を映し出す。

教育支援活動に携わっている観客から、生徒への対応の仕方を尋ねられたセルボーニさんは「子どもの声に耳を傾け、彼らの心の声を引き出す。そしてそれぞれが持つ価値を見出し、自信を持たせることが大事」とアドバイス。ベルトゥチェリ監督は「彼女の素晴らしい点は、成績を重要視しない。もし点数が悪ければ、自分の説明が悪かったのだと、その後2~3回もテストを繰り返し、一番良いものを成績として記録する。その点に感銘を受けました」と話す。会場からは「セルボーニさんのような先生に出会って、あんな勉強をしてみたかった」という感想も寄せられた。

フランスでは学校教育の場に宗教を持ち込んではならないという原則があるが、宗教の話題が教室で出た際セルボーニさんは「教師が講義をすることでは伝わりません。子どもたちの中から問題を引き出して、自分とは違う宗教を持つ人がいることを理解させる。けんかではなく対話によって相手の立場を理解し、同じ宗教でなくても一緒に生活していけるのだと子どもたちに理解させるのです」と自身の指導方法を説明した。

セルボーニさんは、生徒たちの適応クラス卒業後も連絡を取り合っているそうで、現在全員が高校に進学して、幸せに過ごしていると報告。ベルトゥチェリ監督は「私も生徒たちと交流を続けていくので、10年後にみんながどのようになっているのかぜひ撮ってみたい」と続編製作に意欲を見せた。

フランス映画祭2014は有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇で30日まで開催。「バベルの学校」は2015年公開。

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