福山雅治主演「そして父になる」、是枝裕和監督が語る演出秘話

［映画.com ニュース］最新作「そして父になる」の公開を控える是枝裕和監督が9月3日、東京のアップルストア銀座が主催するトークイベント「Meet the Filmmaker」に、撮影監督を務めた瀧本幹也氏とともに出席した。今年のカンヌ映画祭で審査員賞を受賞した是枝監督は、「台本を書いて現場に向かうんだけど、その通りに進むとOKって言いたくなくなる。あまのじゃくなのかな（笑）。何か違うものが生まれるのではと欲が出てくる」と演出秘話を披露。瀧本氏も「何か事件が起こることを期待しているというか、予定調和では満足しない。全然カットがかからず、最初は戸惑った」と是枝演出の真髄を語った。

映画は、6年間育ててきた息子が、生まれたときに病院で取り違えられた他人の子だったという事実に直面する二組の家族の葛藤を描く。福山雅治と尾野真千子、リリー・フランキーと真木よう子がそれぞれ夫婦に扮している。

瀧本氏は広告業界を中心に活躍し、CMでも手腕を振るう人気フォトグラファーで、是枝監督の「空気人形」（2009）ではスチールを担当した。是枝監督は「ちょうど作品の準備をしているときに、リリーさんと深津絵里さんが出演したダイワハウスのCMを見た。これを撮影した人なら長編が撮れると思った」といい、「調べたら瀧本さんだった。すぐに相談のメールをした」と抜てきの理由を説明した。

一方、瀧本氏は「最初はアウェイな気持ちだったが、是枝さんの現場は、性格的にも技術的にもすばらしい人たちが集まっている」と述懐。長編映画の撮影監督を務めるのは今回が初めてで、「以前からオファーはあったが、のめりこんでしまうことがわかっていたので……。やってみたら案の定、面白すぎて（笑）。あくまで写真家でいたいという気持ちはあるんですが」とすっかり映画の現場に魅了されていた。

「そして父になる」は9月24～27日に先行上映が行われ、9月28日から全国で公開される。