「天国の若松監督に届け」寺島が、井浦が遺作「千年の愉楽」先行上映で哀悼の意

2013年1月18日 07:00


若松監督の早すぎる死をしのんだ寺島しのぶ、井浦新ら
若松監督の早すぎる死をしのんだ寺島しのぶ、井浦新ら

[映画.com ニュース] 昨年10月に亡くなった若松孝二監督(享年76)の遺作となった「千年の愉楽」が1月17日、東京・テアトル新宿で先行上映され、出演の寺島しのぶ佐野史郎高良健吾高岡蒼佑井浦新が上映後に舞台挨拶に立った。

立ち見客もあふれるほどの熱気に包まれた客席からは、エンドロールが流れると同時に拍手が沸き起こり、主演の寺島は「監督もどこかで見ていらっしゃって、本当に喜んでいると思う」と晴れやかな笑顔。若松監督作品は3作目となり、「監督と関われて私は本当にラッキーだった。というか過去形にしたくない。人間として学ぶことが多すぎて、なんで今いないのか不思議。ずーっと、これからも私の支えになってほしい」としのんだ。

5作目の若松組となる井浦はわずか1シーンの出演だったが、「『おまえがこの物語の語り部として伝える役目』だと言われ、とんでもないプレッシャーを背負わされた。気づいたら、ものの30分で終了していたが、ものすごい集中力で全部をぶつけていけた」と満足げ。昨年6月公開の「11・25 自決の日 三島由紀夫と若者たち」から芸名を本名に改めただけに、「役者・井浦新は、監督が産んで育ててくれた若松作品の一部。これからも教えを守りながらやっていきたい」と決意をにじませた。

一方、初参加の高良は、「監督と初めてお会いした時、自分の中に爆発しそうなものがあって、焼き鳥屋でその思いを聞いてもらった。『僕についてくれば大丈夫』と言われ勇気、パワーをもらった」と感謝しきり。高岡も、ツイッターの投稿が物議をかもしていた一昨年夏頃に出演依頼を受け、「監督は何も聞かず、何も否定せず、自分の生きる場所をつくってくれた気がする。決して自分というものを失わないように、一生懸命生きていきたい」と思いをはせた。

そして、「監督の愛情がこもった作品を大切にしてあげてください」(寺島)、「間違いなく監督の第2章は、この作品で始まる。1人でも多くの人に届けていきたい」(井浦)など、それぞれが天国の若松監督に語りかけるようにアピール。長年の親交がある佐野は、「若松さんが今ここにいらしたら、この後で絶対、行きつけの(新宿)二丁目のバーに連れていかれるね」と冗談めかして、場の雰囲気を和ませていた。

千年の愉楽」は中上健次の代表作の映画化で、女たちに愉楽を与える男たちの壮絶な生き死にを、すべてを見続けてきた産婆オリュウノオバの視点で描く。3月9日に全国で公開される。

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