消息不明だった曾根中生監督、舞台挨拶に登壇「恥ずかしい」

2012年5月12日 20:55


舞台挨拶に立った曾根中生監督
舞台挨拶に立った曾根中生監督

[映画.com ニュース] 長年にわたり消息不明だった曾根中生監督が5月12日、東京・渋谷のユーロスペースで開催中の日活創立100周年記念企画「生きつづけるロマンポルノ」の初日舞台挨拶に登壇した。曾根監督の代表作「(秘)女郎市場」の上映後、映画評論家の山根貞男氏とともにステージに現れると「ひょっこり顔を出したら日活100周年ということで、天命というか、運命というか……。恥ずかしいしうれしいです」と笑顔を見せた。

80年代後半に消息不明となって以来、行方が一切わからなくなっていた曾根監督だが、昨年の第36回湯布院映画祭で突然公の場に姿を現し話題となった。「大震災がなければ出てこなかった。僕は今映画と全く別のことをやってて、それが震災の役に立てばと思って」と心境を明かした。

「生きつづけるロマンポルノ」は、センセーショナルな作品群で社会に衝撃を与えた「日活ロマンポルノ」を特集上映する企画。山根氏のほか、蓮實重彦氏、山田宏一氏が、1971~88年の間に製作された約1100タイトルの中から32タイトルを厳選し、曾根監督を筆頭に、神代辰巳監督、田中登監督ほかロマンポルノから生まれた名匠たちの作品を一挙上映する。

山根氏は、「面白いピンク映画がたくさんあった時代だから、日活がマネをするのかとひんしゅくを買ったみたいだけど、撮影所を使ってるのでやっぱりピンク映画ではできない面白さがあった」と分析。「(秘)女郎市場」については、「一番すごいと思うのはセットを壊すところ。壁は破るわ、牛まで出てきて一緒になって壊すわ」とその豪快さに感心しきりだった。すると曾根監督は、「『大江戸捜査網』(テレビ時代劇シリーズ)で作ったセットがあったから、私は壊せばいいだけだった。解体って金かかるんですよ」とあっけらかん。さらに、「どうも私はポルノを撮るのがヘタ。この映画もさっぱりポルノチックじゃないと思う。大いになんてバカなやつだと笑ってください」と謙虚な人柄で笑いを誘っていた。

「生きつづけるロマンポルノ」は6月1日まで東京・渋谷のユーロスペースで上映され、その後、全国で順次公開。

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