謎に包まれた名匠テレンス・マリック監督は、タフなテキサス男
2011年6月1日 11:17
[映画.com ニュース] マスコミの前にいっさい姿を現さないことで知られる、テレンス・マリック監督の知られざる一面が明らかになった。
最新作「ツリー・オブ・ライフ」がカンヌ映画祭でパルムドールに輝いたばかりのマリック監督は、寡作なうえに公の場に姿を見せないため、その実像はナゾに包まれたままだ。詩的な映像を得意とし、ひとつの作品の完成に何年もの年月をかけることから、繊細で寡黙なアーティスト像を想像しがちだが、怒りに駆られると鉄拳も辞さない人物であるとの証言が飛び出した。
米GQ誌は、最新号でマリック監督のデビュー作「地獄の逃避行」のスタッフ、キャストの証言を集めた特集「Badlands: An Oral History」を掲載。そのなかで、主人公キットを演じたマーティン・シーンは、マリック監督のタフな一面を告白している。
「ルー・ストローラー(共同プロデューサー)がマリック夫人を非難するコメントをしたら、テリ-(テレンス・マリック)はキレて、ルーをボコボコにしたんだ。テリーはテキサス育ちだから、鉄拳こそテキサスの流儀なんだ。ためらいなしに、殴りかかった。テリーもルーも大男なので、地面で取っ組み合いをするふたりは、まるでバッファローのようだったよ」
シーンは、その場では怒ったふりをしたという。「『撮影の規律はどうなっちゃったんだ? 現場で喧嘩なんて!』という感じで。でも、正直なところ、あのときほどテリーを監督として誇りに思ったことはない。だって、想像してごらんよ。もっと多くの監督がプロデューサーを殴るようになったら、もっと自由に芸術性を追求できるようになるからね」
ちなみに、「地獄の逃避行」は、10代の少女(シシー・スペイセク)との交際を断られた20代の若者(マーティン・シーン)が、少女の家族を殺害し逃避行をするロードムービー。1973年公開。