石井岳龍監督、3D&バーチャルリアリティで俳句の世界に挑戦

2011年2月24日 14:43


恵比寿映像祭に登場した石井岳龍監督(左)
恵比寿映像祭に登場した石井岳龍監督(左)

[映画.com ニュース] 石井聰亙名義で「高校大パニック」「逆噴射家族」などを発表し、カルト的人気を誇る石井岳龍(がくりゅう)監督が、3D&バーチャルリアリティシステムを使用した映像作品「A SUPER DIMENSION BASYO」を製作。2月23日、東京都写真美術館で開催中の「第3回恵比寿映像祭」の関連イベントとして行われたレクチャーに、立体映像研究家の大口孝之氏とともに参加した。

同作は、バーチャルリアリティ研究者・谷川智洋氏が開発した「超パノラマスクリーン」で、松尾芭蕉の俳句の世界を立体的に表現した意欲作。通常の劇場鑑賞とは違い、ひとりずつヘッドホンをかけて鑑賞するという独自の方法で作品を鑑賞する。

以前から3Dをはじめ、映像テクノロジーに興味があったという石井監督は「今は機材が安くなっている。今回デジタル一眼レフで撮影しましたが、ボディだけで10数万円。画期的なことです」と技術の進歩に興味津々。俳句という東洋的なモチーフを扱ったことについて「若いころは激しいものが好きで肉体のスピード感を追求していたけど、それが行き詰まり、だんだん精神的なスピードが気になり始めた」と述懐。さらに、「映画が好きな理由は臨場感があり、その世界に没入できるから。日本的な精神世界と、臨場感・没入感、新しい技術がどのように結び付くか示しました」と自作について語った。

一方、昨今の3Dブームについて大口氏は「なくなる可能性は半分くらいある」とシビアな意見。新たな使い方の重要性について訴え、「立体映像は今まで飛び出す点でしか議論されなかったけど、ものの大きさがリアルに認識できることも利点のひとつ」と説明。アートにおける3Dの可能性についても触れ、「ヘルツォークは新作『Cave Of Forgotten Dreams』で洞窟の壁画を3Dで撮った。これまでとは違うアプローチで、壁の凹凸や質感のリアリティを伝えている」と新しい表現方法に期待を寄せた。

「A SUPER DIMENSION BASYO」は3月24~25日、コ・フェスタPAO WEEK(http://www.cofestapao.jp/)で鑑賞可能。事前申込制。 なお同作の製作舞台裏を追ったドキュメンタリー番組「ノンフィクションW 映画監督・石井岳龍の挑戦~3Dのその先へ~」がWOWOWで4月28日に放送される。

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