加瀬亮&小林薫「海炭市叙景」素人キャストを称賛

2010年10月28日 17:16


函館市民の協力で映画が完成
函館市民の協力で映画が完成

[映画.com ニュース] 熊切和嘉監督の最新作「海炭市叙景」が10月28日、開催中の第23回東京国際映画祭コンペティション部門で公式上映され、熊切監督をはじめ主演の加瀬亮小林薫南果歩三浦誠己が東京・六本木ヒルズで会見した。

同作は、1990年に自殺した北海道・函館出身の作家、故佐藤泰志さんの遺作を映画化。多くの函館市民が映像化を切望し、大規模な募金活動が奏功し4000万円の予算のうち1500万円が集まった。18編で構成された短編小説から5つの物語を抽出し、バブル崩壊後の不況に苦しむ市井の人々のささやかな生活を丹念に描く。

主人公のひとりで、プロパンガスを扱う燃料店を経営する目黒晴夫を演じた加瀬は、主演デビュー作「アンテナ」以来8年ぶりとなる熊切作品。「再び一緒にできたことを光栄に思うのと同時に、プレッシャーでもあった」と振り返ったが、妻・勝子役の東野智美さんや息子・アキラ役の小山燿くんらは一般の函館市民だった。だからこそ、「いろいろな偶然や生々しさが映像に入り込んでくれた。何よりも、10年近く俳優をやってきて、自分についた余計なアカを意識させられて勉強になった」とどこまでも謙虚だ。

そんな加瀬に対し、小林は「加瀬くんみたいにフレッシュな人にアカがついていたら、私はどうなるんだろう」と苦笑い。それでも、「芝居をするうえでどうしたってプロになっていくことは致し方ない。逆に、我々にとっての鏡になりますよ」と同調した。

メガホンをとった熊切監督は、もともと一般の人々に演じてもらうという構想は練っていたという。「なかなか踏ん切りがつかなかったのですが、今回は予算もないしやるしかないなと。ただ、北海道出身の僕としては、これが失敗したら地元に帰れないな……という思いで撮りました。それは結果、成功したと思う」と胸を張った。

海炭市叙景」は11月27日から函館で先行上映、12月18日から全国順次公開。

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