映画業界のウラ側を大胆暴露!?「ビジネスとしての映画業界」シンポジウム

2009年7月8日 12:00


厳しい映画宣伝の現場で戦い抜く宣伝マンたち
厳しい映画宣伝の現場で戦い抜く宣伝マンたち

[映画.com ニュース] 映画、ゲーム、アニメなどのコンテンツプロデューサー育成を目指す「東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナー(TDCS)」の8月3日のグランドオープンを前に、7月5日、秋葉原UDXで「映画配給・宣伝のマーケティングを暴け!ビジネスとしての映画業界」と題された無料シンポジウムが開催された。東映、アスミック・エースエンタテインメント、ギャガ・コミュニケーションズ、パラマウント・ジャパンの各社宣伝担当者が、映画宣伝の現状と裏方ならではの苦労話を披露した。

現在100万人を超える動員を記録している「劔岳 点の記」の宣伝を手がけた東映の映画宣伝部・宣伝室長、野村敏哉氏は「昨今ないタイプの映画で、どう宣伝したらいいのか前例もなかった」と振り返り、シルバー世代に向けていかに作品をアピールするか試行錯誤の連続だったとコメント。その過程で、約200日間もの過酷なロケそのものを全面に押し出すことで、作品の壮大なスケールをアピールできると判断し、公式サイトに数種類のメイキング動画をアップするなどし、宣伝の突破口にしたと語った。

一方、先月に「トランスフォーマー/リベンジ」の大規模な宣伝キャンペーンを展開したパラマウント・ジャパンの田中祐士氏は、超ド派手なジャパンプレミアの費用について「ビックリするような金額」と具体的な数字は示さなかったものの、過去最大級だったとコメント。しかし、邦画の好調ぶりと反比例するように、洋画の興行が厳しい局面を迎えていると語り、「宣伝費は年々減っている」んだとか。特に若者層の洋画離れが深刻だという認識は業界全体で共有されており、「今の若い人たちはより分かりやすく、身近なものを求めている。宣伝を通して、洋画が(若い人たちとの)身近な接点をどう作っていくかが課題」と語った。

社会情勢の不安定な昨今、映画業界はこれまで以上に先の読めない状況下で、ビジネスとして映画を誰にどう売り込むべきか、悪戦苦闘の日々が続きそうだ。「宣伝に正解は無い」と口を揃える現役宣伝マンの熱のこもったディスカッションに、映画業界を目指す参加者たちも熱心に耳を傾けていた。

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