悲しみの中に爽やかな印象残す「天使の卵」。監督が語る

2006年10月17日 12:00


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悲しみの中に爽やかな印象残す「天使の卵」。監督が語る

原作のもつ爽やかさにこだわった 「天使の卵」冨樫森監督
原作のもつ爽やかさにこだわった 「天使の卵」冨樫森監督

直木賞作家・村山由佳のベストセラー小説の映画化「天使の卵」が公開される。原作は94年に出版されて以来、何度も映画化・ドラマ化企画が立ち上がったが映像化には至らず、今回初めての映画化で原作者も満足できたという映画化が実現した。そんな「天使の卵」映像化を成功させた冨樫森監督に話を聞いた。

物語は、美大志望の浪人生・歩太(あゆた)が、運命的に出会った8歳年上の女性・春妃(はるひ)と愛を深めていくが、その先に思わぬ結末が待ち受けているというもの。本作をオファーされて原作小説を読んだ監督は、「残酷な話なんですが、それでいて透明な爽やかさがありました。何故こんなに爽やかな印象を残すのだろうと思いましたね」と当時を思い返す。「その不思議な印象を、映画でもちゃんとしなくてはいけないと思いましたし、そうなればいいなと思いました」

そのため、映画では物語に独自の時間軸を設定。原作には10年後の物語となる続編「天使の梯子」が存在するが、その間となる4年後の物語を映画には挿入した。「悲劇とは距離をとりたかったし、原作のもつ爽やかな印象を補強するためにも、4年後の設定というのが使えるんじゃないかなと。歩太がもう一度再生するためにね。原作は悲劇的な場面でぷっつりと終わるんですが、爽やかな風が吹いているんです。それをそのまま映画でやっても、同じようにはならないという思いがあったのかもしれないですね」

その意図は撮影地選びにも反映され、原作は東京が舞台だが、映画のロケは京都で行われた。「こうした寓話性を帯びた恋愛譚を、東京の雑然としたなかで語りたいとはあまり思わなかったんです。東京で撮るとしたら、すごく限定された撮り方をせざるを得ないという気がしました」。劇中では架空の街として描かれるので、特に京都とわかるものは映らないが、紅葉の美しい寺社のシーンなどが効果的に活写され、どこか儚げで繊細な恋愛物語に奥行きを与えている。

天使の卵」は、10月21日より公開。

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