インスペクション ここで生きるのレビュー・感想・評価
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救いのなさと、リアルさ。
愛していると言われるが
けして受け入れられない、親との関係性。
自らのセクシャリティ。
マイノリティであることの生きづらさ。
それを受け入れて、自ら生きていく場所を探し出し
自分の力で生きていくという覚悟。
過剰すぎることなく描かれて
個人的には、リアルな感じがした。
こういう世界もあると知ることができる作品。
考えるきっかけになれば良い。
マイノリティ
1992年に「DADT」が規定され、撤廃と設定が繰り返し行われてきたアメリカ。
現実的には軍隊に入隊する若者が集められたし、昔から在籍したのだろう。
入隊志願者が少なく足りない。
約30年前からアメリカでは性的マイノリティが
対処されてきたんだ。日本はここ最近。
発言がしやすくなったからだろう。
主人公フレンチは同性愛者。母親は保守的な
クリスチャンで刑務官。
息子の事で葛藤し苦しんでいた。
フレンチ自身も苦しんでおり、16歳で家を出て
シェルター暮らし。家が無い。
自分の存在意義を確かめる為に海兵隊へ。
過酷な訓練にあい、早い段階でゲイである事が
周囲に知れ渡り差別を受ける。
これが観ていてしんどい、心も折れそう。
また特殊な環境の場所だし。
孤立する中、暴力と憎悪に立ち向かっていく
フレンチはどう思っていたんだろう……
卒業する時母親が来てくれたのは嬉しかった
だろう。だが彼女は彼がストレートになった
のではと発言。悲しいね。
自分がインスペクションされる場所で生きていく
のを決めた。自分の存在を、私はここにいると
叫んでるんだね、フレンチ。
それで、終わり?
目も当てられないくらいの悲惨な状況で、想像を絶するような過酷な試練があって、見ているこちらの神経がヒリヒリするような内容かと思っていたら、予想していたよりかなり薄口な内容で肩透かしを食らったような感じ。
なんか物足りないというか、この程度で映画化しちゃうんだ、と思ってしまった自分は、性根が腐ってるのだろうか?
挫けないことの対岸
本作のPR記事ではエリスが性的マイノリティであることが強調されているが、ひとたび海兵隊の訓練施設の中に入った訓練生達は皆、成績や素行はもちろん各自のマイノリティ要素や弱点を日々あら捜しされ、攻撃される。訓練所の慣習を「誰もが味わい得る苦難」として描くことで、本作がエリスだけの物語に留まることなく普遍性のあるドラマになっている点に魅力を感じた。
エリスが自分を認めて欲しいと母に度々縋る姿は、一途で純粋なものだった。子供が親に向ける自然な欲求でもあり、かけがえのない人にこそ自分のありのままを受け入れて欲しいという願いでもあるのだろう。
ただ、母がエリスを認めないのは信仰ゆえで、キリスト教徒としてのルールに従っていることを踏まえると、エリスの要求は彼女の秩序や道徳を破壊することに等しいのではないかと思えた。彼女もまた楽ではない人生を歩んで来たことが窺える人物で、彼女の人生を支えてきた価値観は彼女にとっての尊厳でもあるのではなかろうか。
認めるか認めないかの二択に徹し、互いの主張の背景を理解しようとすることや落としどころを見つける作業が欠けたエリスと母の平行線のやりとりは、痛々しくもあった。
10年間のホームレス生活、訓練施設での生活、海兵隊での任期…と、決して易しくない道を歩んだエリスの「挫けない」タフさを描いた作品ではあるが、その頑なさが少し恐ろしくも感じた。
実話らしい現実的なラストに胸がつまる
イラク戦争の最中の米軍海兵隊に入隊したクィアの黒人男性が、その性的嗜好に対する差別に晒されながらブートキャンプ生活を過ごし、海兵隊員になるまでの物語。
8割方は、ブートキャンプでの厳しい訓練と寮生活、そして主人公のフレンチがそこで嫌がらせを受ける描写だ。海兵隊の新兵訓練そのものの苛烈さと、彼が受ける村八分的扱いや暴力は、見ているこちらの気持ちが滅入ってくる。だが、フレンチは黙々と耐える。過酷な生い立ちの彼は、自分が人間らしく生きて立派な人間として死ぬには、訓練を耐え抜いて海兵隊員になるしか道がないと思っているのだ。
上官の性的欲求を満たしてやったり、聖職者の説教を聞く義務に耐えきれなくなったイスラム教信者の同僚新兵を慰めたりといったことがあるうち、彼を取り巻く人間関係の質は少しずつ変わってゆく。
2005年当時、米軍には90年代のクリントン政権時に採用されたDADT(Don’t Ask, Don’t Tell)規定があった。同性愛者であることを公言しなければ、入隊を容認するという政策だ。この規定が定められる前は、同性愛者の入隊は明確に禁止されていた。
同性愛者に門戸が開かれたと言えるかというと、到底そうではない。同性愛に対する否定的な捉え方は全く変わっていないからだ。その後オバマ政権がDADT規定を撤廃するまでに、入隊後に性的嗜好が公になったマイノリティ約14,000人が除隊処分を受けた。
フレンチが性的嗜好を周囲から感づかれた途端激しい排斥にあった背後には、そのような時代背景がある。当時の政策が、排斥する側の心理に行為を正当化する材料として働いたという側面もあったのではないだろうか。
しかし、ある意味海兵隊の中での諸々の出来事よりつらかったのは、フレンチの母親の態度だ。保守的なクリスチャンの母親は、彼の属性を受け入れないばかりか、まともに人間として扱おうとさえしない。自室のソファに彼が座ろうとすると、そこに新聞紙をひく始末だ。
厳しい訓練中も、手紙の返事ひとつよこさない(あのシーンは最初郵便物にも嫌がらせをされたのかと思ったが、母親が手紙を無視していただけとわかって暗澹とした気持ちになった)。フレンチが心配になって、上官に頼み込んで電話をしてもそっけない。
そんな彼女が、修了式にはおずおずとやってきた。晴々しい式典と、母親の笑顔。フレンチの頑張りが形になって、やっと彼女も人間としての彼を認めてくれたか?
私のそんな、お決まりの大団円への期待はあっけなく打ち砕かれる。彼女は、息子の同性愛嗜好は海兵隊での訓練で矯正できる類のもの、矯正されるべき悪癖だと思っていたのだろう。彼がクィアのままであると知るや態度を豹変させる。
見ている私は絶望的な気分になったが、フレンチは母に対して決して投げやりにならない。これからも自分は母のものだし、母は自分のものだと、確認するように母に言い聞かせる。
母親の揺るがない価値観を、差別的と断罪して終わりにするのは簡単だ。私自身、息子への愛はないんか!とつい思ってしまった。ただ、彼女をそうさせる過程も想像してみる必要があるとも感じた。
信仰もそうだし、黒人である彼女が受けてきた差別の記憶もあるだろう。人種差別というマイノリティの苦しみを知っている彼女から見ると、息子が更に別のマイノリティ属性を持つことは、いっそう恐ろしく思えたのではないだろうか。その恐怖が、彼女の許容範囲を超えてしまったとも解釈できる気がする。
救いは、この話のモデルになったブラットン監督の後日談だ。監督が本作撮影中に亡くなった母親の遺品整理をしていると、彼の監督業に関する新聞記事の切り抜きや、海兵隊時代の写真などを見つけたという。
心ない言葉をぶつける母親を見限らずに向き合ったフレンチには、彼女の複雑な感情と、その底に埋まってしまったものの決して失われていなかった愛が見えていたのかもしれない。
秀逸な光の使い方。ある種、異常な光景を観ているのに、神々しく美しく...
秀逸な光の使い方。ある種、異常な光景を観ているのに、神々しく美しく感じてしまう。この世界の厳しさと優しさ、そして怖さを内包した作品。
最後まで自分でいることを諦めない姿勢が眩しい
序盤から、フルメタル・ジャケットさながらの訓練シーン。「同性愛者版の微笑みデブか?」なんて思ったりもしたけどそんなことはなかった。笑
同性愛者であることがバレてから、風当たりはさらに強くなり、スクリーンを直視するのが怖くなるくらいの緊張感のあるシーンの数々。
そんななかでも、自分自身や仲間と向き合い、ひたむきに努力をして前を向き続きた主人公の姿が眩しい。ときに涙しながら、くじけながら進んでいく主人公の姿に思いっきり感情移入した。少しずつ、その姿勢が報われていく展開に心が救われた。
最後、母との会話シーンで仲間たちが「俺たちは仲間だ」と言うところ、「諦めずに向き合い続ければ認められる」ということの証明だったと思う。
やり遂げられたからこそ、主人公は母親に対しても「母さんとの関係を諦めない」とブレずに言えたのだと思う。どこまでも、諦めない姿勢、とてもカッコよかった。
母さんとの関係は、私が最初に思い描いていたよりも難しく、複雑な問題だった。
母の、「あなたを愛している。いつまでも愛し続ける。でも、受け入れることはできない。」というセリフ…。
宗教や信条が関わっているので、私にはその心情があまり理解できなかった…。1番の理解者であってほしい親に、そんなふうに勘当されてしまったら、私なら絶対立ち直れない…。
主人公も仲間たちも士官も、訓練所という場所柄言葉は少なくいつでも厳しいけど、そのぶんトイレのシーンやあの優しい士官の廊下でのシーンなどプライベートになったときの人間らしさが際立っていた。
同性愛者の主人公が訓練所で直面する、シャワーやトイレや夜の見回りでのあれそれ…監督の実体験が、リアルに再現されているのだろうなと思って、感慨深かった。
あと、2005年ってつい最近のはずなのに、同性愛者に対する風当たりってここまでのものだったのかと驚き。
1番印象に残ったのは、なぜ海兵隊になりたいのか問われたときの、
「このまま死ねばただの宿無しのゲイだが、制服で死ねば英雄になれる」というセリフ。
苦難の多い環境下においても、誇り高く生きたいという、もがきがひしひしと伝わったシーンだった。
シゴキ、シバキあいの日々。
ゲイであることから母に捨てられた息子の話。
海兵隊へ入隊し、あるシャワー時の事、同期仲間のバディを見た事でムスコが反応してしまいゲイとバレる....上官とのシゴキあい、同期とのシバキあいの日々を送る事になってしまったフレンチのストーリー。(監督自身の半生)
現代では同性愛って認められがちだけど、2005年頃ってこんな感じだったんですかね!?
根本的に私の性格は人は人、自分は自分って考えだし可愛い女子は別として他人に興味もないし干渉もしない私なんですが...。
ただシンプルに思ったのは母親に対してなんだけどゲイの息子でも息子は息子、ちゃんと受け入れてあげてよ!と思った。
海兵隊の修了式に母親が見に来てくれたのは良かったけど、ゲイの話になったとたん母親の顔色が変わり帰ってしまったのはどうかな?と思った。
周りの同期達はゲイのフレンチの事を認めてた雰囲気は良かったけど。
観る順番を間違えた様でトランスフォーマー先に観たもんだから☆3評価になちゃったのかな?(笑)
痛々しいけれど小さな希望がともったように美しい
愛されたくて、認めてもらえなくて、何かをなしたくて成せなくて自信を無くし、それでも愛する人がいて生きようと苦悩する。隠していれば親子関係は修復できたけれど、自分であることを認めてほしくて、結果的に厳しい選択をする。
南部はこんなにも保守的で狭窄的なのかと、この時代こんなにも軍は非人道的で厳しかったのかとぞっとする。少数派が自己を主張することも許されず、見なかったことにして抹消する世界。
痛々しくてつらい場面が多かったけれど、ほんの小さな良心に励まされて支えられてがんばろうと奮起する主人公がいとおしい。不器用で狭窄的で愚直。歪んだ世界で蔑まれても優しさを忘れず、それでも苦難をともにしたことで一応の居場所と尊厳を手にする。限られた世界で得た尊厳だけれど国民としての誇りと自信を回復して前を見つめる姿は痛々しいけれどすがすがしくて小さな希望がともったように美しい。体力と精神力がいるが素晴らしい作品に出会えました。
母から疎まれ 16歳でホームレス このままだと死ぬか犯罪者になって...
母から疎まれ
16歳でホームレス
このままだと死ぬか犯罪者になってしまうからと
26歳で海兵隊を志願した青年。
軍での過酷な訓練
閉鎖的で差別、偏見や憎悪の中
"生きるため"
"居場所"を見つけるために
自らを奮い立たせ立ち向かっていく。
2005年のアメリカが舞台
監督自身の実体験を克明に描いた作品
息子がゲイである事を受け入れられない母
(宗教的なことか、時代背景なのか)
(私には理解ができなかった)
そんな母に対して諦めず向き合おうとする姿
2人の関係に胸が痛む
クィア
2023年7月13日
映画 #インスペクション #ここで生きる (2022年)鑑賞
海兵隊の新兵へのしごきとその中で生き抜くゲイの青年のお話なんですけど、LGBTQの問題だけでなく、宗教的な背景が大きく影響しているのが興味深いです
なかなか、奥深い映画でした
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
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