劇場公開日 2023年4月29日

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私、オルガ・ヘプナロヴァーのレビュー・感想・評価

全16件を表示

4.5実在した犯罪者を、神格化することもなく性的な魅力のある描き方もせず...

2024年2月29日
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鑑賞方法:VOD

実在した犯罪者を、神格化することもなく性的な魅力のある描き方もせず一定の距離感を持ちながら

社会の隙間に落ちていったこその、心の闇と
結末までの軌道を描き出す作品で、ひと昔前ならこうは描かれたなかったかもしれない。そんなオルガを観られてよかった。
もちろんオルガを演じたミハリナ・オルシャンシュカ魅力的に見えるし、全てを拒絶するような目をしてパンツルックで歩く彼女はアイコン化するような素質を感じるけど(髪型やキャラクター造形でマチルダの再来みたいな文言を見かけたが)
少なくとも映画を観てそんなポップで責任のない消費の仕方でオルガのことを捉えることなんてできないし、そうさせないのがこの映画の素晴らしい部分だとおもう。

近い時期に日本で紹介されたWANDAも、社会の隙間に落ちてしまった女性を描いた作品として
通じるメッセージをもっていると思う。

配信で鑑賞

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madu

2.0事実としての事件と映画の良さは別

2024年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

鑑賞したばかりで、まだ評価がまとまらず困惑しています。
どんな経緯があれ、犯罪を犯した女をとことん魅力的に描いています。また、当時社会主義国の中では裕福で国民が楽しむ様子が垣間見れて良かったです。
映画として映像に表出している部分は印象的で良いのですが、統合失調症を扱っている映画としては、その生い立ちからどんな経緯で彼女がこうなったのかなど、説明不足が目立ちます。オルガ・ヘプナロヴァーはダークヒーローではなく、統合失調症なんですよね?
ミハリナ・オルシャンニスカは本当に美しくそれでいて劇中、濃厚なレズビアンシーンなどもあり、チェコスロバキア版「女の事件簿」みたいと思ってしまいました。娯楽映画としてみても良作でなのに統合失調症の苦しみが描かれず、混乱してしまいました。
いっそビールでもかっくらいながらもう一度観てみたいです。
今回はまともな感想になりませんでしたね。

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濁河さかな

4.0復讐は失敗に終わった

2023年7月2日
iPhoneアプリから投稿

オルガ・へプナロヴァー。
歩き方も妙に猫背な感じも
あの本や紙の持ち方も
人を信用していない眼差しも、
真っ直ぐに瞳を見れないのも。
全てがその人だったように感じた。

もうね、オルガが凄く魅力的に見えた前半部
だったからこそ、自身の人生を歩む姿が見たかったよ…。
実在した人物だから仕方ないのだが。
自らのことを性的不能だとか、人間関係を築けないとか、そういう風に追い込んでいったけど、
それでもいいんだよってことを誰かが言って欲しかった。
同じような人がいることを知って欲しかった。

愛と欲望に迷う姿が印象的で。
暴力的な父親にも、そしてその影響なのか
ネグレクト気味な母親にも、愛を与えられなかったオルガ。
(母親が薬を金だけを渡すシーンは本当に最悪だった。
オルガを化け物見るみたいに見ないで、って思った。
この辺は『ニトラム』を思い出したりした。)
だから、欲望は満たすことが出来ても、
愛の与え方も、受け取り方も分からない。
知らないから、出来ない。

だから、復習を選んでしまった。
人生を変えたくて。終わらせたくて。
誰かに自分を認めて欲しくて。
ここにいるよって言いたくて。
お母さんに振り向いて欲しくて。

事故直後に放心状態で歩く姿とか
本当に子供のように見えてさ…。
ああ、まだ子供だったんだって思った。
ただ家を出ただけで全く自立出来てなかったんだ。

刑務所で架空の父親の話をしていた姿は
本当に哀しかったですな。
多分、家にいても小屋にいても、
何度も何度も架空の家族像を想像していたんだろうなと思う。
誰もが暖かくて優しい家族を想像して、
理想の恋人の隣にいるのを想像して、
それを何百回と繰り返した最後に、一人が好きだってなったんだと思う。
その現実との乖離が復讐という気持ちを抱かせたのだと思う。

それでも、オルガが死しても、
家族の生活は続く。
彼女を苦めた人たちへの復讐は、
全く無意味だったという結末になる。
(勿論、殺人者の映画だからそうなって当然)
復讐の意味と同時に、オルガの存在自体も
この世から抹消されたような、そんな終わり方だった。

まあでもやっぱり、自分がこの世に不要な存在であるとか
そう想ってしまうところから、死にたいとかが始まる気がする。

手紙とか、独白とかが凄く良くて、特に、
「いつか 嘲笑と私の涙を償わせる」
めちゃくちゃ良かった…。
こんなこと他者に対して思わせちゃいけない。
し、誰かにこんなこと思わせる社会じゃいけない。

映画全体を通して、全く感傷的でない感じが好みで、
オルガ自身の苦悩も極めて淡白に写している、
だけど伝わってくる、そのバランス感覚が素晴らしかった。
(トラウマを想起させない為に、直接的な加害シーンが少ないのも良かった)
画角の切り取り方も、白黒の絶妙な光彩も
凄く好みな映画でした。

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JYARI

3.5孤独感は苛む

2023年6月7日
Androidアプリから投稿

どう見ても統合失調症? しかし学校時代、生育環境が詳細不明のままモノクロで静かに淡々と進む
被害者意識が強いのが問題なのか、小屋造ってもらってるし、それなりに心配してくれる人もちゃんと居るし充分幸せそうに見えたけど オルガ演じる女優さんが中性的魅力で熱演、表情の演技が凄い しかし綺麗すぎて幸薄さ感じられず

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ゆう

5.0自分は人間であり、敵もまた人間である

2023年6月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

静かに進む物語。バー、ダンスホールに流れる以外は音楽もない、エンドロールもずっと無音。本を読み日記や手紙を書くオルガの暮らしにも音楽はない。
チェコの寒々しい風景も静かでオルガが運転する車の爆音あとは静かな会話と時々激昂するオルカと周りの人。
知り合う女友達はうさを晴らすように同性愛にふけり、誰もが最後は関係性もしくは経済性の損得なのか。
そんなことさえも意に介さないくらいの孤独と絶望感。施設でしこたま同室の女の子たちに殴られ蹴られるほかは親からの暴力暴行はうつされないがオルガの言説、着ているもの、話し方、歩き方から若い人生に受けてきた社会的不同意、虐待を感じる。社会への、人間への復讐という無差別殺傷事件、轢き殺し。実家に火を放ったり刺しに行くわけではないところに、親が巻き込まれなかったことを悔やむとのちに述べているが、自分とつながりがあるものをたちぎれないと感じる。母親は、最初のシーンで自殺はすごい勇気がいるあなたには無理と言った。
父親に殴られたとか父親は誰か、私は違う父親の子というシーンが続くか。これは母と子の愛と憎しみと無関心の物語だろうか。
政治性のないアナキズム。歩き方から滲み出る孤独と意志。
常に人は孤独であるが、かんぜんにこどくにはなれない。人は社会システムから如何様にも逸脱しようとし逸脱するが、社会システムは離してくれない。

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redir

5.0最後のシーン

Mさん
2023年6月2日
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は強烈だった。
エンドロールは無音で、映画館の換気の音だけが聞こえており、この映画にふさわしいエンドロールだった。

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M

3.0ミハリナオルシャンスカ様が観たくて

2023年5月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ストーリー展開は淡々と進むしほぼセリフも無いし場面展開も結構急なので、かなり集中して観ていないと理解が難しい作りになっている。しかしミハリナオルシャンスカ様の美貌のおかげで観ていられる。

正直オルガに感情移入するのは難しい。オルガという人の人物像が見えづらいためだ。彼女が人と接する場面が極端に少ないし、オルガ以外の登場人物の名前もほとんど明かされない(彼女が他人の名前をほとんど呼ばないため)。オルガの住環境や職場環境の変化も突然起こるので、ほとんど説明がなく、彼女が何を経て今こうなっているのかは彼女の独白でしか読み取る術がない。無愛想で非社交的なレズビアン、それ以上のオルガの情報が観客にもわからない。

そしてこの「オルガのことが側から見てよくわからない」ことこそが、彼女が周りから孤立した要因、ひいては大量殺人を起こした要因なのではないか。誰かひとりでも彼女を理解しようとして寄り添っていればこうはならなかったのではないか。あの医者はオルガのために色々手を尽くしてくれていたようだが、結局肉体関係を持ってしまったようだし。

そんなことを考えながらの鑑賞中、安倍元首相を射殺した犯人や京アニに放火した犯人のことを思い出さずにはいられなかった。社会から孤立し、自分の中で危険思想を育ててしまい、おかしなところにその矛先を向けた犯罪者たち。もちろん絶対に許されることではないが、彼らを生み出す一因として社会そのものがあることを忘れてはいけないと感じた。

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ケロケロケロッピ

4.0社会不適合な自分と重ねた

2023年5月20日
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鑑賞方法:映画館

自分を虐待した社会への復讐だと言うオルガ。

家族や社会と接することで過度にストレスを蓄積していった。すべてを他人のせいにした。

しかし身勝手な言動に嫌悪感を覚えることはなかった。身に覚えがある痛さだった。ヒリヒリした。

きっと紙一重なのだろう。

そう、これはブレッソンの作品を思わずにはいられない傑作。感情を挟む間もなく終焉に向かった。加害者となり社会にコミットするところが決定的な違いかも知れんが。

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エロくそチキン2

3.0観たい度◎鑑賞後の満足度△ 「頭のおかしい女がこんな事をしでかしましてな」という描き方をしていないのは宜しい。が、映画としては生煮え。

2023年5月14日
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鑑賞方法:映画館

①同情するでもなく糾弾するでもなく、一定の距離を取って対象を描こうとする映像にはある程度の力が感じられる。
ただ演出力の未熟さからか、脚本の構成力の未熟さゆえか、煮え切らなさ・物足りなさが残る。
②“心震える実話”“チェコスロバキア最後の女性死刑囚”という宣伝文句に惹かれ、予告編での同級生達に虐められるシーンや、「あなた達に死刑を宣告する」という独白、暴走する車の映像から、耐えきれなくなった主人公が同級生たちを牽き殺す『キャリー』みたいな話かと思い“面白そう”と思っていたら全然違っておりました。
まあ、勝手に思い込んだ私が悪いのですが。
③よく考えみれば、実話と云っても事件の有り様や本人の告白というのは事件の後で知るようになったことで、主人公の事件以前の部分は云わばフィクションに近い。死刑の前でも悟ったように粛々と刑場に向かったとか、本作の様に泣き叫びながら看守に引き摺っていかれた、とか数説あるようだし。
原作を書いた人は丹念な取材をいたかもしれないけれども、本人に取材した訳ではないので何処かにバイアスが掛かっていないとま限らない。
“最後の~”というのに簡単に心を惹かれてしまうが、考えたみればチェコスロバキアという国はもう地球上から無くなっているので、単にチェコとスロバキアに分かれる前の最後な女性死刑囚というだけかも知れない。
④と、御託は置いといて、

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もーさん

4.5それがし、透明人間に非ず...  世間の規範に従うことの困難な風来坊女性が異分子の声に無関心な家族に,そして社会に爪痕を遺さんと怨嗟の念を滾らせるマイノリティーの絶望映画!!

2023年5月10日
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鑑賞方法:映画館

 1973年、チェコの首都プラハで群衆にトラックで突っ込み、多数の死傷者を出して翌年チェコスロバキア最後の女性死刑囚となったオルガ・ヘプナロヴァーを巡るクライムドラマ。
 事故当時22歳のうら若き彼女の、裕福ながら家庭の世間体のために存在を否定され続けた少女時代、そしてようやくありつけた職場と精神病院を行き来する中で世間の無理解と冷笑に苦しみ、被害妄想も相俟って内在する憎悪を先鋭化させていくその姿・・・・・・同性の愛人達との刹那的な享楽に身を委ねつつ幼子のように孤独に打ち震える主人公の姿を主演のミハリナ・オルシャンスカが全身全霊で体現し、モノクロームで寒々として生気の感じられない画造りと劇判並びに劇的な展開を排して淡々と空疎な日常を描くシュールな世界観は観る者の心を鷲掴みにすること請け合いです。
 "犯罪映画"といえばギトギトした油ギッシュなものを想像しがちですが、その対極に君臨する一本として好事家にも苦手な人にも観てもらいたいこの静かなる狂気…。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

4.0"Collegium Musicum"

2023年5月9日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

萌える

確かに『レオン』でマチルダを演じたナタリー・ポートマンのようで『ナイト・オン・ザ・プラネット』のウィノナ・ライダーみたいにお気楽ではないがトラヴィス・ビックルの女性版に思えてしまう、本来なら自己中で胸糞悪くなる物語が演じたミハリナ・オルシャニスカの魅力とボブヘアが似合い過ぎるキュートさに魅了されながらもオルガのキャラクターには理解不能で彼女の人間性に難解で知的な物をゴチャ混ぜに面倒臭さを感じてしまう。

雨が降る中で洗濯物を外に干す、同じく雨の中でテントを張る、布団を掛けてあげる場面と印象的ながら、観ている側の準備が整わない呆気なく起きてしまう顛末に意表を突く展開にすらならない、最後は食卓を囲む家族が映し出され、名も無き自殺者にならない為の行動を選んだ彼女を救える術は何だったのだろう。

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万年 東一

2.5そんなに悪くはないけど、 良くもない

2023年5月2日
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そんなに悪くはないけど、

良くもない

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jung

2.5プリューゲルクナーベ

2023年5月1日
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悲しい

難しい

1973年、22歳の時にトラックで路面電車の停留所に故意に突っ込み翌年死刑となった女性オルガ・ヘプナロヴァーの話。

家族から孤立している様に感じ、精神安定剤を大量摂取し、と始まっていくけれど、いつの間にか入院し退院し、家を出てて一人暮らししたい?場面転換が急過ぎて、序盤は少々判り難いし、冒頭の件は13歳らしいけど…。

当時は多様性が受け入れられる様な世情ではなかったであろうし、承認欲求とか被害妄想とかそういうものを拗らせた統合失調症なんだろうけど、描かれ方を見るに狂っているという様にはあまり感じられず…まあ、やったことを考えたら狂っている訳だし、収監されてからは本格的にイってしまっていた様だけど。

自殺願望はずっとあった様だけれど、感情が無な訳でもなく、拗らせた思想を加速させていく感じでもなく、なんだか突然の犯行に感じてしまいどう受け止めるべきなのか難しく感じた。

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Bacchus

3.0実話

2023年5月1日
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鑑賞方法:映画館

なぜ、白黒なの?
オルガは、なぜ死刑に?

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かん

4.0オルガは今なお存在する

2023年2月8日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

難しい

鬱病に悩まされ、父親からはDV、母親からは事務的な愛情をそれぞれ受けてきたオルガ・ヘプナロヴァーは、居場所を求めて自立し、自分が同性愛者である事を自覚する。しかし、旧ソ連の傀儡的存在だったチェコスロバキアで暮らす事は容易ではない。
もし彼女がチェコ以外の国で生まれていたら、もし彼女が生まれたのが社会的弱者への施しが70年代よりも手厚かった(完璧とはいえないものの)現代だったら、もし彼女の事を心から理解してくれる人物が1人でもいたら…そんな様々な“たられば”が重なっていたら、彼女はトラックで町の群衆に突っ込む事はしなかったのかもしれない。
華奢で猫背体型のオルガを演じたミハリナ・オルシャンスカは、そのヘアスタイルもあってか『レオン』の少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)を彷彿とさせる。マチルダはレオンのような暗殺者になろうとするが、オルガは暗殺ではなく大量殺人への準備を進めていく。
「殺人をしたのは、今後このような事が起こらないようにするため」、そう言ってオルガは絞首刑に処された。しかし現実ではトラックの代わりに銃や刃物、毒ガスを使った無差別大量殺人が繰り返されている。彼女は今でも存在している。
劇伴を一切使わずにドキュメンタリータッチで捉える構成は、近作の『母の聖戦』同様、観客を主人公と同化させていく。つまりこれは、事情は十人十色あれど、人は誰しもオルガになる素養を持っているという事実を体感させる狙いもあるのだろう。
本作を日本配給したクレプスキュール・フィルムは、配給第1作『WANDA/ワンダ』(この作品も劇伴未使用)といい次作『ノベンバー』といい、観客に“問い”を与える作品ばかり。実に骨があるというかクセがありすぎる。

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regency