線は、僕を描くのレビュー・感想・評価
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滲む
不思議な感覚だ。
癒しを感じてる。
形など無くていいんだ、囚われる事はないんだよと、優しく柔らかく語りかけられてるような感覚だ。
なにか…肩の力がスーって抜けてる。
ファーストカットは横浜氏のUPからだ。
まるで物語の羅針盤のようで、進んでいく道が示される。彼は彼の非日常に出くわしたのだ。
見た事もないモノに遭遇し感情が動く。
タイトルコールまでの導入は大好きだ。
緩やかに、されど鮮烈に作品に誘われる。
前半は逆光とハレーションが印象的だった。
主観の表現の一つなのだろうけど、的確だった。眩しく写っていたのだろう。なんかこおいう感覚ってあったなぁと思う。いつ頃から忘れてしまったのだろうか?
成長と言えばそれまでなんだけど、昔、世界は未知なるモノで溢れてて、掻き立てられる好奇心は止めどなく、それらは常に目映く光ってたように思う。
大人になるにつれ、物事を知り限界を感じ、手の届かぬモノを手が届かないと断定し、いつしか億劫にもなっていったのだろうなぁ…。
突き動かされる衝動に身を任せていた頃が懐かしく、作中の人物達がとても眩しい。
役者陣は皆様素敵だった。
題材とかテーマに由来するのかも知れないが、素体とか自然体なんて印象を受ける。
三浦さんが抜群で…水墨画の本質さえ纏っているような雰囲気に魅せられる。
芸術家らしいエゴイストさにも説得力がある。
差し障りなければ円熟した色気と絶賛したい。
清原さんなどはノーメイクにも見える。そんなはずはないのだけれど「素材」に焦点を当てた結果なのかと、細やかな演出の一端を勝手に想像したりしてた。横浜氏も見事で…脱力と言うのだろうか?アレが彼の自然体だとは思えないのだけれど、自然体ですと言われても納得してしまうくらい違和感がなく仕上がってた。
印象に残るのは、病院のロビーで彼が心情を吐露するシーンだ。このシーンの主役は間違いなく彼なのだけど、彼を写す事をしない。後ろ姿だったりボケてたり。
まるで、監督が「そんな顔見せたくも、見られたくもないよね」と優しく慰めてたように感じてた。
人が人に接する時の距離感というのだろうか?優しさが含まれる視点を体験させてもらったような気になってた。
とかく現代は主張が激しい。
こうあるべきとか、コレが正解とか、ルールとか…四角四面で形に嵌められたり、形を要求されたり。
白黒つけりゃ安心なのは分かる。誰かの成功例に追随したくなる狡猾さも。
だが、少なくとも、雁字搦めにする必要はないように思う。余白を持たないとやり切れない事ばかりのように思う。水墨画のように滲む事を受け入れればいいんじゃないかと思う。
後半、摺った墨が全く水と乖離して、墨の輪郭を明確に写す。アレが個人の意思だとして、それを用いて描いた水墨画は漆黒ではなく、溶け合い柔らかな濃淡を滲ませて完成する。
人も意思も滲んで溶け合って形成されていけばいいのだと、白は白、黒は黒でなければいけない時もあるけれど、そうでないものでも、ちゃんと行き着く場所はあるのだと、そう言ってもらえたような気がした。
そして、素体だからこその良さはあると。
他人の為に着飾る事はなく、他人の為に化粧をする事もなくていいんだよ、と。
独善的で排他的な「我が道を行く」ではなくて、共存と学びを携えた「我が道を行く」ってのもあるんじゃないかと。
なんか俺は今とても和やかだ。
もっとシンプルにして欲しかった
私個人の好みの問題だと思いますが、千瑛さんを無しにするか、もっと抑えた出方が良かったと思いました。
その分、主人公が水墨画を描きまくったり葛藤しているシーンや、師匠や胡峯さんの場面をもっと多くして欲しかった。
水墨画サークルとか美人絵師…というくだりもいらないと思いました。
そして、故郷でツバキを見つけるシーンも、一人で行って霜介自身が花を見つけて拾い、一人で泣く方が良かったなぁと思いました。
主人公の心の変化、水墨画への向き合い方の変化などをもっと丁寧に映像や表情で表現して欲しかったです。横浜流星さんは細やかな演技のできる俳優さんだと思うので、そう言うのをもっと出して欲しかったです。
連載漫画でしたら、千瑛さんの出番があれくらいある方が良いと思いますが、映画なら霜介の心の変化と成長のみに焦点を当ててもらいたかったなぁと思いました。
あと、映画館の設備の問題が知れませんがBGMが結構うるさかったです。
と、不満ばかり書きましたが、根幹となるストーリーも役者さんも良かったです。水墨画自体も水墨画の話も面白かったです。
これは良作
スッキリする感動作に仕上がっている。
原作は読んでいないけど、漫画は読んでいたので、ストーリーはわかっていた。漫画はわかりにくかった印象があるが映画は仕上がっていた。
個人的に好きな作品。
線を見つける
小泉監督の前作「ちはやふる」3部作はかなり好きな作品で次回作が待ち遠しいと思っていた。
その小泉監督の四年ぶりの最新作。
期待MAXで見に行った。
小泉監督はその期待をまた軽々しく超えてくれた。
競技かるたに続いて今度の世界は水墨画の世界。
今作も音楽、演出、演技、撮影共に超一流。
特に描き始める前、一瞬の静寂の後筆を紙につけると素晴らしい音楽が流れる。
これが素晴らしい。
又、線を引くという行為を最大限かっこよく撮るカット割り(もちろん水墨画自体とてもかっこいいことだとは思いますが)。
紙の向こう側から描いてる人物の顔を撮るカット割はさすがちはやふるのスタッフといった感じ。
画面も全体的に明るくてその中で役者が生き生きする様子はまさに“真っ白な紙にいきいきと自然が描かれていく”水墨画のよう。
自分を見失って悩む感覚は自分もわかる。
というか今絶賛そんな状態になっている。
何者にもなれないのではないか。
そんな漠然とした不安がある中、この映画の中の人々は「なるのではなく変わっていく」ということを教えてくれる。
自然は春夏秋冬移り変わっていく、その流れに身を任せ生きていく。
そしてその中で自分なりの線を見つける。
当然季節が移る中でその線も変わっていく。
僕が好きな歌舞伎でよく「有為転変の世」という言葉が出る。
この映画を見た時この言葉がなぜか頭に浮かぶ。
自然の摂理には抗えないからそことうまいこと付き合い流れながら生きていく。
湖山先生が霜介にこんな教えを説くシーンでは特に泣かせるようなシーンでもないのに涙が溢れて止まらなかった。
役者さんも素晴らしい。
清原さんの細部までこだわった演技が今作でも遺憾なく発揮されていて、特に最後湖山先生から認められた時に顔が徐々に綻んでいく様は至高の演技。
横浜流星さんのまっさらな青年感が堪らなく素晴らしい。
江口洋介さんは最近のギラギラした悪役とは打って変わった役柄だったが当たり前のように素晴らしく、特に水墨画を描いてる時の楽しそうな表情が忘れられない。
今、自分に迷ってる人に是非見てほしいおすすめ映画。
悪くない感じ
ちはやふるの製作陣ということと、アキラで初めて見た横浜流星さんの私の中の2つ目の作品として見てみました。
まずは富田靖子さんが大御所になってることが意外で、そうかもうそんな時代か。。と思いました。
うん、悪くないです。何か自己表現の1つとして水墨画を選ぶことも、ある程度して1度行き詰まることも、そこから抜け出していく過程も、一皮むけた「生徒」から「弟子」になった姿も。
でも一番凄かったのは江口洋介さんかな〜〜。
るろうに剣心の斎藤一でもあり、アキラとあきらのカタブツ&ベテラン社会人として正しい判断をしている部長も、色々と人生経験ある渋い存在感が至る作品で見られて、主役じゃない時も作品や主役達をきっちり引き立たせる見事な役回りだな〜と感服しました!
本当に豪雨災害などで被害に遭われた方にはきつい映像かもしれません。ただ、いきなり家族を奪われた人には病気看病などでの心の準備が無いままに家族がいなくなってしまうので、残された人はとてつもなく辛いんだろうな、と思いました。
主人公の彼は、家のあった場所の柱、自分と妹の名前が書かれた柱の破片、持って帰れたのかなって気になりました。いつか、忘れるのではなく向き合って自分の時間を進めるとき、そばに寄り添って一緒にいてくれる彼女がいて良かった、と思いました。
そうすけ君とちあきさんは、どちらかに依存とかするのではなく、お互いにお互いの描く線が好き=互いにリスペクトしあっている対等な感じが、とても良いカップル像だと思いました。
わざわざ告白するとかしなくても、既にそばにいるのが当たり前のような、いつの間にか家族になっている雰囲気がとても良い演出の作品でした。
出演俳優みんな素晴らしい。
特に清原。初見は、ちはやふるで、少し出てて、衝撃的だった!もう、間違いないくファンである。
横浜も。
江口も。
ただ、水墨画と関わる導入部が少し不満かなぁ。
水墨画に興味ある、友達に強引な感じで誘われて、
教室に体験で行って、たまたま書いたものが、
目に止まって、声かけられるぐらいだと、
まあ、普通だけどさ。
水墨画マニアの女子大生出すくらいの、
演習はあるから。
すすり泣く人多数!!これぞ青春ムービーの極み。
原作は未読です。
横浜流星君は、深い悲しみを抱えながら、水墨画を通して成長していく青年役を完璧に体現しました。
清原果耶さんも、心を閉ざした天才水墨画家を、時に凛々しく、時に熱く演じて素敵でした。まだまだ若手女優ですが、これからの伸びしろに超期待大です。
本編は、ストーリーで魅せるタイプではなく、物凄く衝撃的な事が起こる訳でもない、展開も先の読めないものではないのに、こんなにも人々に感動を与えられるのか?それは原作の良さもさることながら、やはり小泉徳宏監督の卓越した手腕だと思います。
涙をぬぐい、心を描けー
すべての人に贈る喪失と再生の物語。
そんな監督の力強く優しいメッセージが胸に沁みわたる、とても秀逸な青春ムービーでした。
最重要カットの欠落
冒頭の湖山先生のパフォーマンスで一気に惹き込まれた。
様々な筆や刷毛、時には手指も使いながら、掠れや滲み、滴りすら線にしてしまう躍動感。
横浜流星は大人っぽすぎるかと思ったが、水墨に触れたときの子供のような目やあどけない所作で違和感なし。
(サスガに大学入学前はムリがあるけど。笑)
清原果耶は大人っぽくなりましたね。途中まで年上設定だと思ってたくらい、凛々しく美しかった。
脇の演者も文句なし。
河合優実は過去イチ普通の役だったが、立ち位置的に出過ぎないバランスが絶妙。
江口洋介は、『アキラとあきら』でもMVPだったが、なんかもう、ズルい。
湖峰の力強いパフォーマンスは、湖山の洗練された無駄のないそれとの対比が素晴らしく、中弛みも防いでいた。
しかし、クライマックスは地味。
メイン二人の“線”の変化を感じづらいこともあるが、霜介の憔悴した姿がワンカットもないのは問題だと思う。
再生を描くのに、底を見せないのでは乗り切れない。
千瑛の初登場シーンなど、光を強くする演出の多用もやや安易に感じたし、エンドロールの演出は最高だが曲が合っていない。
など、惜しい部分も散見されるが、下手に恋愛に持っていかないあたりは好印象。
最後、霜介の画に描かれた色の強い3つの椿は、開いた2つが両親で、蕾が妹さんかな。
線の奥に見えるもの、それは自分自身!
馴染みのない水墨画をテーマに、2人の再生物語を描く。水墨画の奥深さにまずは引き込まれる。色の濃淡は1本の筆に3層の墨を乗せて描くということ。少し練習すればそこそこの画が描けること。大学生サークルの皆んなが描いた作品を見て納得。そこそこ上手く見える。本物の水墨画となにが違うのか、巨匠の湖山(三浦友和)は詳しくは教えない。
線に哀しみの色が出る青山(横浜流星)。写真のように精密な作品を描く千瑛(清原果耶)。2人の心の中の葛藤や哀しみがそのまま線に出てしまう。白と黒しかない芸術だけに、すぐに見透かされるのだろう。印象に残ったのは、湖山の家のお手伝いさんかと思いきや、一番弟子だった西濱湖峰(江口洋介)の腕前。また彼の食材に対して感謝して、頂きますと言って合掌するシーン。こういう心の持ち主が技術を超えて、一段上にいくのでしょう。魂が線に出る。とても奥深い。2人が出会ったことで、お互いが
その境地にたどり着いたのでしょう。ラストの
千瑛の初めて笑うシーンが物語っています。
ツンツンした清原果耶さんの演技最高でした。
後悔から再生していく姿を演じた横浜流星も素晴らしかった。2人ともかなり練習して、映像の画は本人たちが書いたそうです。江口洋介もカッコ良かった!三浦友和のいぶし銀演技も流石でした。
エンドロールも水墨で面白い。主題歌、挿入歌のyamaの曲も「静」の水墨画とのギャップが
逆に良かった。
なるのではなくて変わっていくいいね!
最初に流星のドアップの顔にびっくりしました。清原も顔がドアップになることが多いので、二人の美形に圧倒されました。特にヒロインの清原の整った顔立ちは、やはり宇宙のプレゼントのような気がします。清楚さの塊のような美形です。冒頭で江口が人は何かになるのではなく何かに変わっていくものだというセリフを述べますが、この作品の大きなテーマの一つのような気がしました。それにしても水墨画の美しさを改めて知ることができたので、それもこの映画を見た大きな収穫です。流星の家族に起きた災難については、巧みな演出で最後にならないとわかりません。最後に謎が解けたとき、流星の苦悩も解き放たれるような展開は、実に秀逸です。水害で失った家族に対する贖罪の開放に3年かかりましたが、それを解き放ったとき、彼の水墨画も開花します。命で描くことができるようになりました。そしてこの作品を通して一番感じたのは、人間の出会いはいつも「ちょうど良い」ところで起こってくるということでしょうか。流星と清原、そして師匠や学友たちとの出会いも「ちょうど良い」ときに起こります。いつも必要なときにそれは起きるのです。まさに宇宙の采配なのでしょう。感謝です。
水墨画の奥深さの一部を学べた
大学生の青山霜介は絵画展設営のアルバイトの現場で水墨画と出会い、白と黒のみで表現された水墨画に惹かれ、家族を豪雨災害で失い後悔と喪失感で悩んでいた心を打たれた。霜介は突然、巨匠・篠田湖山から声を掛けられ、水墨画を学ぶことになった。戸惑いながらも水墨画の奥深さに魅了され、黙々と水墨画を描きながら、自分と向き合っていく、という話。
今まで水墨画というものは見たことは有ったが、製作する過程やその技など全く知らなかったので、本作でその濃淡の付け方、筆の躍動感など奥深さを勉強させてもらった。
霜介の抱えてた心の問題が徐々にわかってくるストーリーや、千瑛の巨匠の孫としてのプライドと葛藤などドキドキして観れた。
霜介役の横浜流星は流石に良かった。篠田千瑛役の清原果耶、霜介の親友・古前役の細田佳央太、川岸役の河合優実も良かった。
三浦友和と富田靖子も落ち着いてしっとりしてて良かったが、MVPは江口洋介かな。湖峰として巨大な紙に竜を描くシーンは圧巻で素晴らしかった。
水墨画に魅了される本作、良かった。
くびったけ
水墨画の映画…?とどんな風に仕上がるんだろうと思いながらほのかに期待しつつ鑑賞。
少しだけ気になるところはありましたが、全体的に濃密な物語を堪能する事ができました。
弟子入りまでの速さは尋常じゃないですが、先生のキャラがキャラなんでそこまで違和感を感じないというのも良い意味でずるいなぁと思いました。
水墨画をしっとり描きつつも、小さな動きから大きな動き、墨汁の濃さ薄さ、背景とメインの描くものの対比など、一つの紙で独自の世界観を広げていくシーンが印象的でした。それぞれが手持ちの筆、それ以外にもTシャツや手を用いたりとこれまた迫力を増していっていました。水墨画にハマる瞬間もそのカットのみで分かりやすく描いているのも流石やな〜と思いました。
役者陣の台詞回しは勿論、息遣いや筆のスピードなど、一つ一つの動作がキレッキレで良かったです。清原果耶さんの横顔が抜群に凛々しかったです。隙のない演技合戦を堪能する事ができました。
主題歌の「くびったけ」も短い曲なんですが、映画を濃縮した様なワードセンスの光る楽曲でした。和の世界観に圧倒的なスピードが合わさっており、エンドロールの墨の流れる様子とともに最後にまたテンションを上げてくれました。
少し蛇足だったなと思ったのが霜介の家族が災害で亡くなったというシーンを明かすまでが少し長く、現場まで行ったりするのもわざわざやることかなと思ってしまいました。主人公に葛藤を背負わせるのはセオリーだと思いますが、ここまで重荷を背負わせた割には解決までのスピードが音速だったのも不思議でした。
テンポ良く進み、成長を描き切る、映画としての根幹がしっかりしていました。人入りもそこそこ入っていたので、ロングランを期待します。
鑑賞日 10/22
鑑賞時間 10:00〜12:00
座席 H-19
僕は、線を描く
筆の躍動感や繊細な描き方が伝わってきました!
筆に三層の濃さの墨を作って描く事で、竹を表現出来るのが印象的でした☺️✨
作品を描いているときの音楽も良かったです♪✨
水墨画の花の立体感や背景の表現の仕方は素晴らしいので、実際に作品を見に行きたくなりました!
俳優さんたちが、それぞれのキャラクターに合っていて
映画に入り込めました!
湖山先生の意外と気まぐれだけど、威厳のあるイメージが好きでした。
*原作は未読ですが、ちょっと残念だったこと…
後半が失速してしまった雰囲気でした。
青山さんと千瑛さんで、お互い水墨画を頑張ろう!
という描写がもう少しあれば良いと感じました。
自分の線で変わり続ける自然に寄り添い描く
湖山先生の印象に残ったセリフです。
自然は、人間の力ではどうにもならないもので、だからそれを描き続けるしかできない。
時に、人間の力では、どうにもできない現実に争うのではなく、寄り添い描くことで、それは自分を描くことになるのではないか…
結局は、目の前にあるものではなく、自分と向き合って自分の中にあるものを描く、そこに辿り着くまでを、じっくりと登場人物の心の変化に寄り添いながら、鮮やかに見せてくれる作品です。
湖山先生の家に出入りし、あらゆる雑用を、やる西濱さんが、鮮やかに龍を描いたシーンも素敵でした。
決して、多くを説明しない、観る側のペースで物語に入り込める、穏やかな作品です。
久しぶりに、墨の匂いを嗅ぎたくなりました笑
タイトルなし
物足りない。三浦友和が横浜流星を半ばおしかけ的に弟子に取るきっかけが椿の絵を見て感動している姿を垣間見た、あの一瞬のひらめき?それとも清原果耶を成長させるための当て馬?結果として全員が幸福なエンディングとなったものの、スタートを偶然のように描いた点に乗れず。
役者たちはそれぞれのお仕事をきちんとなされておりました。清原果耶はファイトソングが合わなかったけどシリアスな役はやっぱり上手い。清原果耶と河合優実の共演をドキドキしながら待っていたが、河合優実は単なる同級生でした。
かるたのように動きの激しいスポーツならともかく、水墨画を描くさまにドラマチック一辺倒の音楽をつけるセンスはちょっとなあ。
いまどきの物語はこうなのか
水墨画の有名な先生がお寺で絵を描くから、その設営のバイトに行って描くとこ観てたら『僕の弟子になりませんか』って言われるっていう意表を突くオープニングなのね。
そこから、水墨画を通じて、不幸なできごとに傷ついた主人公が再生していくって話なの。
面白いんだけど、ほとんど主人公を追い詰めないんだよね。
横浜流星が清原果耶と出会うシーンは、物語のお約束としては、最悪の出会いをするんだよね。そこから始まって、少しずつ仲良くなっていくっていう。
でも、普通に出会うの。バチバチやり合うこともない。
それで横浜流星は、弟子への誘いを『僕なんか』って感じで断るんだけど、強引に『じゃあ、水墨画教室の生徒ってことで』と水墨画を描かされて、しかし、だんだんのめり込んでいくという。
すごく都合の良い展開なんだよね。主人公が苦労して何かを乗り越えるというのは、ほぼなくて。
ただ、強烈な事情は背負っていて、家族が不幸な亡くなり方をしてるの。それで、最後の別れ方が喧嘩して別れちゃったし、妹は最後に電話してきたのに出てあげられなかったっていう。
「そりゃ、辛いよね」という、ここの共感だけで話ができてる。
そこを乗り越えたのはなんでなのかというのは、極めて曖昧なんだけど、みんな「乗り越えて欲しい」と思って観てるから、乗り越えると心が動くんだよね。
「主人公、どうなるんだろう?」とジリジリさせる展開はほとんどなくて、一本道を突き進んでいって爽快な感じ。いまは、こういう物語がいいのかなと思いました。
そして、この映画が面白いのは、演出のうまさだね。
オープニングは涙を浮かべている横浜流星のアップなんだけど「わかってる」感があった。観せ方がうまい。
役者さんも、若手は細田佳央太、河合優実をつかい、ベテランには富田靖子を入れてくるっていう「わかってる」感あふれるキャスティングで、企画の勝利だね。
パーティーシーンだけは受け付けない
だいぶ設定と雰囲気を原作小説と変えてあります。
万人受けを狙うエンターテイメント作品、特に若い人に分かりやすくみてもらうためには必要な設定なのかなと理解してます。
が、湖山会のパーティーだけは受け付けなかった。急にきた外国の大臣…再現Vでお馴染みの白人さん、インフルエンサー、右往左往上下するわざとらしいスタッフあのくだり、富田靖子さんの大御所っぽくない大御所、安っぽくなって残念でした。
主役の2人の繊細な演技、日本家屋の美しさ、金魚が泳ぐ絵、墨が水に滲む絵、霜介の最初の右往左往するかわいところ、最後の過去と向き合って水墨画を描くところの美しさ。そこは何回も観たいです。円盤になったらパーティーのシーンは江口さんの描くシーンまで早送りするかも。
頑固な横浜流星と頑固な監督が話し合って折り合いをつけた演技。見応えあります。
フィルムは、青春を描く
面白くなかったわけではないですが、「ちはやふる」の製作スタッフ再集結という触れ込みに勝手に期待値をあげてしまったのが失敗でした。
水墨画というやや地味な題材にストーリーもやや地味だったので、見事に青春を描いた「ちはやふる」のようにはテンションはあがりませんでした。
でも青春も様々ですものね。期待値をあげすぎなければ、もっと面白く感じたことでしょう。
江口洋介さん、またこの映画でも美味しいところを持っていくなぁ~。
清原果耶さんは素敵ですね。特に和服姿がとてもお似合いでした。
あとエンドロールに流れていた水墨画も素敵で魅せられました。
できるできないではなく、やるかやらないか
原作がすごく好きで映画化と聞いて、しかも流星くんが演じると知り一番見たかった作品。
もともと水墨画をしていた父が買ってきた本でした。
水墨画展にも何度か行ったし、モノクロの中で描かれる世界観がとても美しく、生きるとは何かを考えさせられた。
映画は、いきなり流星のアップで始まり、ちょっと違和感。しかも長い、、。
展示会場が神社だったのにもびっくり。そしてそこでタバコを吸うのも違和感。ちょっと神様に失礼では?
そして展示の方法も建物に立て掛けてるだけ、というのは作品の扱いが雑では?剥き出しなのに、倒れたり雨が降ったりしたらどうするの?
やはりここは原作に沿った展示会場の方がよかったかな。
原作ではタバコを吸うのも深い意味があったが、映画では感じられなかったのが残念。
でも湖山、湖峰のライブパフォーマンスはよかった!
流星はすべて自分で描いたといっていたが、二人はどうだったのかな。
でも、三浦さんの繊細なタッチ、江口さんの大胆な筆さばきには、ワクワクした。
霜介の過去も原作とは異なっていた。自然災害?妹いたっけ?と考えてしまった。人生何があるかわからないが、「家族を失ってから能面のようだったけど霜介変わったね」と言われているのも少し違和感。そんなに喪失してるようには感じなかった。多分、いきなり水墨画に出会うところから始まってるからかもしれない。だから、喪失感のある霜介のイメージがなかった。
本を読む以上に絵を見ることで、水墨画の繊細さがよりリアルになり、私も線を描いてみたいと思った。
終わり方は少し物足りなかったかな。
千瑛はイメージ通りでした。美しかった、着物もよく似合ってますね。で、最後納得のいく作品描けたんだっけ?印象にない、、あれ?
挿入歌「LOST」は霜介の気持ちを表していてよかった。もっと聴きたいと思った。
平凡な話を1人で年一候補にしてしまう清原伽耶
いやいやいや。
個人的には、コレも年一候補だす。と言うか、またROBOTですよ。最近キレがあるんじゃないですか?キノが完全失速してるんで期待してます。
メインテーマになってる音楽を鼻から惜しげもなくガンガンに押してきます。コレがですね。ピアノが良いんですよ。明確に良いって分かるくらいに良くって。エンドロールを見たら、山田武彦さんでした。やっぱ実力あるんだと思った次第です。
物語りの方は、世の中そんなに甘くねーから!と軽く毒づきたくなるよな、甘ちょろワールド。三浦友和の吹き替えなしの筆捌きに軽く驚き。水墨画の素晴らしさに目を奪われ、掴みが良いんです。冒頭の好感度がダレないうちに清原伽耶が登場。この子の存在感ですよ。凛とした美しさですよ。
物語りが平凡で、起伏に乏しい事がバレてしまう頃には、清原伽耶にココロ鷲掴みにされてますんで、白ける事もなく「やや平坦」なクライマックスまで一直線。からの「行ってきます」。
全体的に淡々としてます。内心描写も舌足らず。セリフは少な目。演説かます人物はカオタだけ。って言う、フランス的しつこさの無さが良いです。
凡ゆる言葉での解釈が可能な「線は僕を描く」と言うタイトルも、押し付けがましさ・講説感が無くて好きだし、色恋沙汰にならないとことか最高。
良かった。
とっても。
タイトルバックとエンドロールの静謐な美しさには胸を撃ち抜かれました。
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