茜色に焼かれるのレビュー・感想・評価
全131件中、81~100件目を表示
頑張れではなく、まあ頑張りましょう
初めてレビューを書きます。
色々な方が素敵なレビューを書かれているので自分がどうこう書くのはどうかと思いましたが、この気持ちとか感情を忘れたらダメだなと思い自分のために書きたいと思いました。
内容のレビューなどは書いていないので、レビュー目当ての方がいたらすいません。
映画は色々な考えや意見、感想があるのは当然だと思いますが、自分ほんとにこの映画に出会えてよかったなと心底思いました。
この映画を見て自分の色々な事に気づけたし、何気なく言った事や何気ない行動で誰かを傷けたりするって事をわかってはいるつもりでしたが本当にわかっているのか自分と思ってしまいました。自分の無知さやわかっているつもりの自分がいてなんか凄く心がえぐられました。
見た後と見なかった後の自分の人生が変わる様な感覚の映画はそうないですが何か自分が変われそういや、変わらなくてはと強く思いました。
小野真知子さんの「まあ、頑張りましょう」は最初は自分に言っているのかと思いましたが、最終的には私に見ている方全てに言われてるきがして震えがとまりませんでした。頑張れではなく、頑張りましょうと言うのがより私の心を救ってくれました。
強くは生きていけないとは思いますが、色々考え、足掻きながらでも生きていこうと思いました。
映画に関わった監督、出演者、スッタフ、映画館の方本当にありがとうございました。自分も恥じぬ様に生きていきます。
もしレビューを読んでくれた方がいたら長々ありがとうございました。こんな時代でみんな色々思う事もあるし、色々大変だとは思いますが、まあ頑張りましょう。
中2病映画
よくこんな映画に星多く付けてプロ気取りしてるな。何だこの映画、主人公や他の登場人物に全く感情移入出来ない。特に尾野真知子の役どころ。旦那殺されて保険金受け取らないわ、旦那の浮気相手の子供に養育費送るわ、そのくせ金が無いから風俗で働くわ、そんな人間、シングルマザーいねーだろ。いちいち何円とか出るけどなんの意味があるの?
出てくる人物全てそう。全く共感出来ないから話に乗れない。ラストのアクションのスカッとさせました話なに?あの男そんなに悪くないから、母親の単なるアホにつきあわされてるだけだから。それなら家に火をつけた生徒探し出せよ。
監督の単なるマスターベーション映画。
よくこれでプロダクション通ったな?
単館で十分。尾野真千子の脱ぎ損だよ。分からないのかね台本読んだ時点でクソ映画って。
この手の映画を描くならちゃんとバックボーンあって主人公に感情移入させてから物語を進めないと、全てが偽物の世界に見えてくる。なぜ分からないのか?それは監督、プロデューサーが素人だからだと思う。それで今回も予算回収出来ませんでしたね、観客の意識が低いからですよって絶対言ってる。
どんなに不条理であっても前を向いて生きていかなくてはならない
この世には誰が決めたか分からないルールや、理不尽なことに溢れている。
自分を何かに合わせて演じて誤魔化していかないと生きていくのがつらい。
でも、そんな息苦しい世の中でも誰かを愛することが生き甲斐になる。
空が茜色に染まるように、塞ぎ込みたくなる曇天模様でも一筋の光を差し込んでくれる。
人はなんのために生きているのか。という命の尊さを改めて見つめ直すことができる作品。
コロナ禍の社会や生活様式を自然と描いていて、この1年ほどでこの作品を書き上げ撮りきり上映した石井裕也監督は素晴らしい。
字幕でものごとの金額が出てくるが、お金に換算できない幸せとの対比を表しているか。
尾野真千子が凄かった。でも・・・・・
女優・尾野真千子の凄さを観た。
ただ、これはいいとしても作品としてはどうだろうか?
製作者が伝えたかった事はなんだったのだろうか?
「生きていくって大変。」だったのかなぁ・・・・
まぁ、確かにそうなんですけどね。悩みが無い人はいないでしょうし、多かれ少なかれ皆さん「悩みながら」日々生きているわけですしね。
観て損したとまでは(尾野真千子、凄かったし、)言いませんが、人にはあまりおススメできないかな。チョッと残念でした。
コロナ禍。 がんばれ!
底辺を描いた映画が好きです。
特にこの映画は、現代に本当にありえることが描かれているので見ていて引き込まれました。
片山友希さんは観ていて個性を感じました。
そこらへんにいる俳優じゃないと思い、家に帰りnetでこの作品に対する思いを知りました。
コロナ禍での映画。
体調とか都合がわるく、少し間が空くと、あっという間に観たいと思つていた作品の時間枠が1枠になっていたり消えていたり。
見逃した作品は10本を越えます。
俳優さんたちも大変だと思いますが、健康に気を付けて頑張ってほしいと思います。
すごく好きな映画
キネマ旬報の批評で高評価だったので観てみたらすごく好きな作品でした。
泥臭くて青臭くて熱量がすごくて、尾野真千子さんがもう圧巻。
どんな表情も見逃せませんでした。
彼女でなくては成立しなかった映画。
一生懸命なんだけど、空回りしたり自分で自分の首を絞めちゃったり。
人生ってそういうもんだよなぁって、
自分はかなり愛おしく共感しながら観てました。
白眉は中盤と終盤、良子とケイが心情を吐露する場面。
もう演技とは思えない。
ウソくささが全くないどころか、今目の前に田中良子とケイがいるんじゃないかと思うほど。
どんな現実よりも映画の中の方が「真実」に思える。
自然に涙がこぼれていました。
片山友希の新鮮さもさることながら、やっぱ尾野真千子スゲェ、、ですよ。
あと冒頭から字幕が要所要所で効いてて良かったです。
良くも悪くもお行儀の良い作品が多い中で、みんなに好かれる八方美人のような作品ではありません。
ここで両極端になるレビューを見ても分かりますね。
凸凹してていびつな尖ってる映画。
でもこの映画の中に大切な「真実」のひとつがあることは断言します。
コロナがなんじゃ!って思えて勇気づけられました。
決してつらく悲しいだけのお話ではありません。パワーをもらえる映画ですよ。
一部レビューを鵜呑みにして見ないのはあまりにもったいない。
不幸を寄せ集めてみたものの…。
コロナという作られた困難にまかせて、不幸を寄せ集めてみたものの、収拾不能な、朝日新聞炸裂の映画が出来てしまった!
一体全体、何が言いたいのか?
税金使った公団住宅に安い家賃で住む母子家庭を馬鹿にする奴が許せないのか!?
母子家庭の母親が風俗で働かないといけないような世の中が許せないのか!?
人を事故死させ謝りもせずのうのうと生きている元官僚が許せないのか!?
風俗で働いている人をバカにして見下す風潮が許せないのか!?
ルールに縛られルールからはみ出した人を排除しようとする人間が許せないのか!?
いじめ、無責任な教師、血の通わない弁護士、人の弱みに付け込む人間、近親相姦、病気、自殺、ありとあらゆる不幸を詰め込み、言いたいセリフを詰め込み、最後は自慢の母ちゃんで終わる!?
そんな、荒唐無稽な長尺映画を観たい方は、映画館へ集合だ!
東京は映画館オープン!おめでとう㊗!
信念に従って生きる母子家庭の大変さを痛感させられました…
ゲスな男どもの言動に腹が立ち,ため息をつきながら観ていました。
私も男ですが、その単純さ,汚さ,他人を思いやる気持ちの欠如に、反吐が出る思いでした。
でもこれが、世の中の男どもの多数派なのでしょうねぇ…
苦しい生活を強いられながらも自分の信念を貫きながら生きている良子と、
その背中を見ながら 真っすぐに成長している順平を、心から応援しながら観続けました。
ちょっと退屈に感じるシーンもありましたが、それもまた映画なんだろうと思います。
世の中は、うそーってことだらけ。
池袋プリウスミサイル事件的な情況で30歳の旦那を亡くした7年後の嫁(母)と13歳の息子の話。
アルツハイマーであったと罰せられることもなく天寿を全うした上級国民な加害者の葬儀からストーリーは始まり、思想を貫く姿、生きる姿をみせていく。
ROCKな男に惚れた女だけど、彼女はROCKというより賢く生きられないだけにみえる。まあ物語として、こういう人柄の設定は嫌いじゃないし、熱さと哀しさは好きだけど。
どうでも良いドラマーらしき男のその後はいらなかったし、ケイの親父に一言ぐらいあっても良かったんじゃ?とは思ったけれど、このストーリーにこのオチですか…w
生きる理由は、自分の場合ざっくりいうと、死ぬ理由がないからかな…。
惜しい。
令和コロナの「名もなく貧しく美しく」和製「ジョーカー」と評したいが、
長さと終盤の散らかりで傑作未満に。
これ系の役はオダギリ永瀬にという安牌配置は支持しないが、
少ない語彙で誰より雄弁な美しき片山友希抜擢は成功。
年テンには入れるか。
石井裕也はいつも惜しい。
ヒューマンドラマから名作誕生❗️
高評価からの参戦。
確かに、納得。
いつもは内容が面白いか?だけのミーハー評価ですが、これは映画と言う評価にふさわしい。
ヒューマンドラマは苦手で飽きる、時計も度々、、、が毎回。
この映画は更に上映時間も長め。
耐えられるか心配でしたが、そんなことはなく全く時間も忘れるほど良かった。
派手じゃないのに、脚本やシーンに無駄がなく、夢中にさせる。そして名演技。
尾野さんは勿論、息子と永瀬正敏さんが凄く良かった‼️
誰かがレビューに、こんなにいい映画なのに上映館が少な過ぎると書かれていたが、それも納得。せめてロング期間の上映を望みます。
PS:上映前の尾野さん石井監督の舞台挨拶も良かった。
決して軽快なトークでは無かったが、ゆっくりと味のある時間だった。近くでお目にかかれて嬉しかったな。
1人の男性を愛した女性の生き様
冒頭部分の車と車がぶつかった交通事故が、CGと言う新しい視点で描かれていました。加害者の視点と事故で家族を失った
女性の悲痛な思い、被害者の視点、2つの見方があり、実際に起きた事故の事例と重なりました。人が社会で生き抜くもどかしさや、中学生の息子さんの多感な気持ちを感じ取りました。
烈と言う言葉に、家族を愛した女性の強い決意が有りました。
渋谷の街にある背景とラストの茜色に染まった空が、人の様々な生き様が表現されていました。
主演の尾野真千子さんは、たくましい生き方を現していました。
息子役の和田さんからは、お母さんを好きな気持ちが伝わってきました。
訂正 車と自転車の事故でした。
コロナ禍で深まる搾取構造の闇を、茜色に染める
既得権益を持つ者が作った「ルール」の中で、弾かれないよう「芝居」をしながら生きる。その中で募る憤り、それを超えた怒り。
そうした現実に、「情念」を持ち、「ロックに」生きる田中良子に、いつか救いがあるよう、祈りながら観ました。
苦しい現実を前に、意味を求め過ぎれば虚しさが生まれ、でも意味も見出さずにただ居るのはもっと辛い。
「いたしかたなく受け止める」運命論と、「それでもこのためにがんばる」という自由意志。
抗えない現実を、どう捉えれば「マシ」なのか、どう生きれば幸福であるのか、答えの出ない問いがずっと巡っています。
最後のシーンで「いつものセリフ」を求める息子に、「まぁ、がんばりましょ」と言わせなかった脚本に拍手。
だってじゅうぶん、がんばっているもの。
生きるための価値観 その優先順位…
どう捉えたら良いかが正直な感想です。
『正直者が馬鹿をみる』この言葉がはまるのでしょうね。生まれてきた境遇とその人生の終わりの狭間での生きて行くための現実的な『手段』『思い』『お金』と心情的な『神様』『思い出』『運命』を生きる目的という視点で、様々な利害者を通して、親子の視点で大切な物は何なのかをキャッチアップしたところは興味深かい作品だと思いました。今の社会を鋭く切り裂いた作品だと思いました。難しかった…
ダメ夫の遺産いろいろ
凄まじい怒りや恨みと
壮大な愛情で出来ています
神社でのシーン
ひとつの悪(不倫男・虫)に対して
みんなでこれでもかってくらい殺っつけるとこ
良かった〜笑った〜
良子は死んだ旦那の責任を背負って生きてる
本当の自分を押し殺して
みんなに元気を振り撒いて
自分はガマンばかり
そりゃあ不満が溜まる一方だよね、
ケイの方はもう聞いてるだけで
人生そのものが苦しくて仕方ない
生きる意味?
そんな事考えてしまったら·····
·····話してた事が本当なら
最後に出てきた父親に言ってやりたい。
お前が居なきゃケイの人生もっと良かったはずだよ!
最後だけノコノコ出てくるなー!!馬鹿野郎!!
女優の良子にはちょっと笑ってしまったけど
正義感溢れる一人息子には期待しかない
好きだ、
と母親に告白したのは茜色に焼かれたからでしょうか。
ハッピーエンド♡( ˘꒳˘)。o♡
ケイ役の片山友希さん、
とても感動的で素晴らしい演技でした。
色々な感情がごちゃ混ぜになる映画。
高齢者のブレーキとアクセルの踏み間違えによる家族の事故死。また、コロナ禍の煽りで営んでいたカフェの閉店。
冒頭から、最近のやるせないニュースが脚本に織り込まれ物語はスタートします。
この映画は終始、理不尽な出来事や悲しい出来事の連続で観ていてとても苦しくなります。しかし何故だろう、見終わった後はなぜかそれでも頑張ろうって勇気が湧いてくるのです。
純平君の飛び蹴りと、中村のフックパンチと、ケイの膝蹴りにスッキリ。
茜空に包まれたふたり乗りの自転車の親子の会話が胸を打ちました。
ラストの主人公の良子のブッ飛んだひとり芝居に館内は笑いに包まれましたが、僕は同時に涙を流していました。
※最初☆4.5で投稿したのですが、観賞後に余韻がいつまでたっても消えないので☆5に変更させていただきました。
高齢者の暴走事故を思う
池袋で元官僚高齢者が起こした暴走死亡事故。なぜ逮捕されないのか、なぜ公判で無罪を主張できるのか、疑問とともに怒りを感じていた事件だ。ドキュメンタリー番組で、被害者家族である夫が、警察から妻と娘が事故当時着ていた服を返され、言葉につまったシーンが印象に残っている。撮影してるテレビのスタッフがボロ泣きして、こんなところ撮影してすみませんと謝っていた。それを観ながら思うのは、やはりなぜ自動車メーカーの責任などと主張できるのだろうということだった。
この映画では似たような事故が描かれる。どう見ても池袋のあれにインスパイアされたでしょという作り。ちゃんとブレーキではなくアクセルを踏むシーンがあった。でも亡くなった男性の妻は加害者から賠償金を一切受け取らず貧困にあえでいる。加害者家族へ怒りを見せずに淡々と生活している感じ。自分の中にある怒りが刺激されていく感覚だった。彼女は働いているホームセンターやピンサロで、男性たちから舐めた態度を取られても怒る態度を出さない。さらには息子まで舐められいじめられるという始末。観ている側としては怒りを覚えずにはいられない。
でも、いろんな問題が最終的に解決してスカッとすることはない。むしろなんにも解決していない。でも、彼女たち家族が生きていく希望だけは残ったと言える。スッとしないのに、後味が悪いわけではない。妙な終わり方だった。
コロナ禍での女性の貧困を正面から扱っているような作品。こんな映画もないとダメだよな。
あの加害者には映画とは違う形で審判がくだされ、ちゃんと罪を認めて、年齢とかを考慮されずに罪を償ってほしいものだ。
#41 良い男は世界を救う
前半は悲惨な物語そのものだが、どんなに辛くても笑って必死に耐えてた主人公がキレてからはポップで明るい物語に早変わり。
どんなに理不尽なことがあっても、優しくてしっかりした息子のジュンペイがいるおかげで生きる意味を感じれる主人公はしあわせなのだ。
反対にケイちゃんは本当に運がない子。
最後にジュンペイみたいな男の子に会えたのが唯一の救い
映画館で観ることができてよかった
石井裕也監督の作品は「舟を編む」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「町田くんの世界」「生きちゃった」を観た。中でも前作「生きちゃった」では、どちらかと言えば表情に乏しい仲野太賀を主役にして、主人公を喜怒哀楽その他の感情が一気に湧き上がるような複雑な状況に追い込み、表情の乏しさを逆に禅問答のような表情に見せるというウルトラCの演出をして驚かせてくれた。その上でラストシーンで主人公の感情を爆発させて、心に渦巻いていたものを一気に吐き出させてみせた。それに応じた仲野太賀の演技も見事だったが、その演技を引き出した石井監督の手腕は大したものである。
本作品でもどちらかと言えば地味な演技をする尾野真千子を主演にして、主人公の田中良子をとことん追い込んで、女優のポテンシャルを存分に引き出してみせた。それほど本作品での尾野真千子の演技は素晴らしかった。
最初のシーンの前に、田中良子(たなかりょうこ)は演技が上手いというテロップが出る。そこに本作品の最大の仕掛けがある。以前女優をしていたことがある田中良子は、私生活でもその場その場で求められる行動や発言や表情をする。そのうちにどれが本当なのかわからなくなってくる。
しかし良子を現実に引き戻してくれる存在がある。息子の純平だ。愛する夫の遺伝子を引き継いだ純平。夫が遺した膨大な本が純平の精神世界を広げてくれている。もはや母には息子が何を考えているのかわからない。息子にも母のことがわからない。だから母と息子の会話には常にちょっとした駆け引きがあり、スリリングだ。もどかしいような、的を得ているような会話。その会話から物語が動き出すこともある。このあたりの脚本が凄い。
本作品は印象に残るシーンの連続だが、最も印象に残ったシーンは、学校で良子が担任から息子の成績を告げられるシーンである。このときのヒロインの表情は天下一品だ。尾野真千子の女優としての面目躍如である。
人間は目的もなく、この世界にただ生み出される。どうして生きるのかという問いかけには意味がない。生きているから生きるのだ。そして生きているから死ぬのだ。この不条理を本作品は真っ向から受け止める。永瀬正敏が迫真の演技で演じたピンサロの店長は、哲学的な言葉を普通に話す。それを聞いて良子は高笑いをする。店長が話した真理は重すぎて受け止めきれない。だから笑うしかないのだ。田中良子は演技が上手いという訳である。
シーンの終わりに毎回使った金額が出るのも面白い。資本主義社会の現実は金だ。あらゆることが金銭で動く。しかし田中良子はそれを拒否する。人生の重さを金銭で計られたくない。夫の人生は3500万円ではないのだ。と思いたいのだが、現実は金を必要とする。そのギャップに本作品の面白さがある。
144分という長めの作品だが、それでも削ったシーンが山ほどあるのではないかと思わせるほど、よく煮詰めている。石井監督作品の中でも最も秀逸な作品のひとつだと思う。映画館で観ることができてよかった。
今観るべき価値のある映画として心に残る。とにかく尾野真千子!
尾野真千子の映画での代表作になることは間違いないだろう。
どこにでもいそうな主婦から風俗嬢、そして「獣」にまで、様々な顔を日々使い分け「お芝居」する一風変わった主人公・田中良子。
腹に一物ありそうで少し痛々しくも映るほど強い母親像がぴったりで、鬼気迫る演技は「圧巻」の一言。彼女にしか出せない色が存分に発揮されていた。
和田庵や片山友希の好演も、彼女に引っ張られて引き出されたものが大きいのではないか。あと若手の「ぎこちなさ」を蒼く魅力的に見せる石井監督の手腕も。
永瀬正敏も確固たる安定感で彼女たちをしっかり支えている。
そして、そこには居ないはずのオダギリジョー夫の面影が全編に渡って感じられるのもこの映画の優しさに繋がっている。
要素がかなりてんこ盛りではあるが、監督の怒りが伝わるからマイナス要素とは思わない。むしろ計算を度外視したところが石井裕也作品の好きなところ。
コロナ禍の日本を初めて本格的に描いたチャレンジングな映画としても価値が高いが、あくまで主体はその中で愚直に生きる母子の物語。安易にすべての問題を解決しようとしない姿勢にも好感を持った。
全131件中、81~100件目を表示