エルヴィスのレビュー・感想・評価
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【”不世出の偉大なるロックンローラーの孤独と哀しみ”エルヴィスのデビューから壮年期までを演じたオースティン・バトラーのステージングと、悪徳マネージャーを演じたトム・ハンクスの怪演に魅入られた作品。】
ー 年代的に、エルヴィス・プレスリーについては殆ど知らなかった。
曲も“ハートブレイクホテル””監獄ロック”を知っている程度であった。
だが、この作品で描かれる、ロックスターの華やかさの陰にあった、悪徳マネージャーのパーカー大佐との確執、稼いでも稼いでも消えていく大金、愛し合ったはずの妻プリシラとの別れなど、エルヴィス・プレスリーの辿った、大スクリーンに映し出される、ジェットコースター人生に物凄い勢いで、魅入られた作品である。-
◆感想
・エルヴィス・プレスリーが、幼少時に貧しきゆえに黒人街に住み、目にし、聞いたゴスペル、R&Bに感化されていく姿。
ー 彼の音楽的素養が、黒人音楽に有った事。
そして、1950年代の黒人蔑視の時代背景や、1960年代に入り、起こった人種差別撤廃を訴え続けたキング牧師を始めとする暗殺事件に影響されるエルヴィスの姿を、彼がスターダムに駆け上がって行く姿と対照的に描く手法の見事さに、唸る。ー
・保守的思想が色濃かった時代に、若きエルヴィスの腰を激しく震わせながら歌うスタイルの対しての、古臭い保守層からの批判。
だが、それを上回る女性達からの熱狂的な歓迎も実に巧く描かれている。
時代が変遷しつつあったという事も併せて。
・エルヴィス・プレスリーの才能を見出し、超一流のロックンローラーの地位まで引き上げたパーカー大佐を演じた、トム・ハンクスの怪演振りも凄い。
ー 鑑賞中、トム・ハンクスの事が物凄く嫌いになってしまった程である。
自分の借金返済のために”海外へ行きたい”と言っていたエルヴィスを、ラスベガス・カジノにあるインター・ナショナルホテルでのショーの契約を勝手に結ぶ、強欲振り。
酷い奴だが、エルヴィスをスーパースターに、育て上げたのも、パーカー大佐であるという事実。-
・何よりも、エルヴィス・プレスリーのデビュー時から壮年期までを、あの華やかなステージングと自らの声で数々の歌を歌い上げたオースティン・バトラーの凄さ。”こんなに凄い俳優だったのか!”と驚いた。
<パーカー大佐の企みにより、ラスベガスのカジノに出演し続けるエルヴィス・プレスリーの哀しき姿。彼はここでスターに返り咲くが、見返りは大きく過労を薬物依存でごまかす生き方から抜け出せなくなっていく。
晩年(と言っても、僅か42歳である。若すぎるであろう。)、愛する妻プリシラは去り、独り豪奢なホテルの一室で薬物に依存しながら暮らし、夜は大観客の前で歌い続けるエルヴィス・プレスリー。
何とも切ない物語であるが、それでも多くの人に夢を与え続けたエルヴィスのゴスペル魂溢れる姿を、オースティン・バトラーが渾身の演技と歌で魅せる作品である。>
知ってるけど知らなかったスター
名前も顔もよく知ってるが、世代的に
どんな活躍したのか、どんな死に方したのか
など知らなかったスター。
かっこよかった。改めて曲を聴きたくなった。
細い頃のエルヴィスはかっこよかったんだろうな。
太いのしかみたことなかった。ほぼ。
大スターの恍惚と葛藤。
面白かったです。
1972年、米国ラスベガス。 4年目のショウを行っていたエルヴィス...
1972年、米国ラスベガス。
4年目のショウを行っていたエルヴィス・プレスリー(オースティン・バトラー)は開幕直前に倒れてしまう。
が、マネージャーのトム・パーカー大佐(トム・ハンクス)は、主治医に薬を打たせ、エルヴィスはステージに立つ。
「エルヴィスを殺したのは俺じゃない!」と十数年後、ラスベガスの病院のベッドに横たわるパーカー大佐は夢の中で叫ぶ。
「そうだ、エルヴィスを世に出したのは俺だ。あれは53年の夏だった・・・」とパーカー大佐は回想する・・・
といったところからはじまる映画で、冒頭の15分ほどのあらすじを書いたわけだが、書いたのには理由がある。
とにかく、エルヴィスとパーカー大佐が出逢うまでの時制がコロコロ入れ替わり、さらには画面分割の手法まで使っているので、すんなりと映画に入っていけない。
「あれは53年の夏だった・・・」の後に、カーニヴァル育ちのパーカー大佐のエンタテインメント哲学や回想があり、
ファーストステージ直前に震えるエルヴィスの後ろ姿に、彼の生い立ちをコミック風にクロスカッティングし、
ステージにおける観客の戸惑いと熱狂のスローモーション、と続いていく。
「万華鏡のような演出」といえば聞こえがいいが、ごった煮のような演出で、エルヴィスに関心がなければ、まぁ、このあたりで寝落ちするでしょう。
(実際、隣席の婦人は寝落ちしていました)
ということで、エルヴィスにそれほど関心がないわたしは(わたしが知っているプレスリーは晩年のブクブクに太った姿だけなので)、いやはやどうしたものかといったところ。
ですが、観進めると結構面白い。
というのも、エルヴィス・プレスリーの音楽人生再現映画ではなく、「エルヴィスを通して観た米国暗黒歴史」映画だったからで、キリスト教的偏見と白人至上主義が色濃く残る(つまり黒人差別)50~60年代を毒々しく描いているからで、雰囲気的にはアメリカン・ニューシネマ的、映画でいうとジョン・シュレシンジャー監督『イナゴの日』、ロバート・アルトマン監督『ナッシュビル』を思い出しました。
その上、パーカー大佐の出自が、第一次大戦の脱走兵、グリーンカードのない不法移民というあたりも、移民に苦しむ米国の姿が投影されており、興味深い。
肝心の音楽シーンなのだが、これはあまりいただけない。
『ムーラン・ルージュ』などでみせたバズ・ラーマン得意の細切れ演出で、ダイナミズムを殺いだ感じ。
1曲1曲たっぷりと聞かせてほしいんだけれど、そこいらあたりはフラストレーションが溜まる。
おおお、と感動するのは、最後の最後に登場する本人歌唱の「アンチェインド・メロディ」。
これは圧巻。
また、「好きにならずにいられない(Can’t Help Falling in Love)」が編曲されて繰り返し繰り返し劇伴として使われているのも好ましいです。
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