犬王

劇場公開日:

犬王

解説

南北朝~室町期に活躍した実在の能楽師・犬王をモデルにした古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」を、「夜明け告げるルーのうた」の湯浅政明監督が映像化した長編ミュージカルアニメ。京の都・近江猿楽の比叡座の家に、1人の子どもが誕生した。その子どもこそが後に民衆を熱狂させる能楽師・犬王だったが、その姿はあまりに奇怪で、大人たちは犬王の全身を衣服で包み、顔には面を被せた。ある日、犬王は盲目の琵琶法師の少年・友魚(ともな)と出会う。世を生き抜くためのビジネスパートナーとして固い友情で結ばれた2人は、互いの才能を開花させてヒット曲を連発。舞台で観客を魅了するようになった犬王は、演じるたびに身体の一部を解き、唯一無二の美を獲得していく。湯浅監督がかつてアニメ化した「ピンポン」の漫画家・松本大洋がキャラクター原案を手がけ、「アイアムアヒーロー」の野木亜紀子が脚本を担当。

2021年製作/97分/G/日本
配給:アニプレックス、アスミック・エース
劇場公開日:2022年5月28日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第46回 日本アカデミー賞(2023年)

ノミネート

最優秀アニメーション作品賞  

第80回 ゴールデングローブ賞(2023年)

ノミネート

最優秀長編アニメーション映画賞  
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映画レビュー

5.0映画と映画館の魅力を再確認した

2022年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

歌詞字幕つきの無声応援上映に見直してみると、かなり印象が変わる。映画は一つの固定された芸術のようでいて、鑑賞の仕方によって大きく印象を変えるものでもある。実は映画はインスタレーション芸術に近いものかもしれない。
少なくとも『犬王』はそう。固定された作品芸術としても価値の高い作品だが、映画館でたくさんの観客と空間をともにすることで、より大きな力を発揮する。発声できればもっと異なる体験が味わえたのだろうなと思うのだが、今はしょうがないか。
公開前に仕事でオンライン試写で見た時と劇場体験を比較すると、明らかに別の次元の体験だった。パソコン画面で見ても動きの見事さ、美しい美術に音楽など、どの要素をとってもハイレベルだが、劇場では、異なるパワーを宿すようになっているし、歌詞の深みがわかりやすい字幕付きは物語の理解を助けてくれた。一回ごとに異なる体験をさせてくれるのが映画館のいいところ。映画館の魅力を再確認させてくれる作品だった。

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杉本穂高

4.5今だからこそ体感したい「ロックな歴史エンターテイメント」!

2022年6月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:試写会
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山田晶子

4.0ジャンルや時代性を超越した、奇怪で爽快なる逸品

2022年5月31日
PCから投稿

いやはや唯一無二とでも呼べばいいのか。これまで観てきたどんな映画とも違い、しかしながら単なる時代劇、幻想劇にとどまらず、どの時代やジャンルにも通底するテーマ性を帯びた一作とも言える。異才と異才が出会うとき、彼らは互いに人間の五感を超えた感覚で相手を見極め、そこで巻き起こる爆発的な可能性に身を委ねようとする。青年が琵琶を爪弾けば、奇怪な外見をした犬王はフレディ・マーキュリーさながらのパフォーマンスとイリュージョンで京の都を席巻。現代に受け継がれし平家物語が当時はもっと多様性に満ちたエンタテインメントだったことへの示唆は実に新鮮かつ痛烈だ。古今東西、人はあらゆる概念を枠にはめたがる。しかしあらゆる革命は頭で考えず肌身に何かをビリビリと感じ取ることから始まる。そこで生じた魂の震えこそが枠組みを壊し、いつしか時代を超えた普遍性を獲得していくのだろう。異才が集結して実らせた本作もまたその確たる証だ。

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牛津厚信

4.5室町時代に実在し民衆を熱狂させた能楽師「犬王」の物語を、歴史的な考察を基にアレンジした「能楽」×「ボヘミアン・ラプソディ」のようなLIVEミュージカルアニメ映画!

2022年5月28日
PCから投稿

本作は「壇ノ浦の戦い」に敗れた「平家の遺物」が海中に眠る室町時代が舞台です。
友魚(ともな)と父親らが、皇位の証である「三種の神器」の一つである「剣」を探しに海へ向かいます。
その後、友魚は都で琵琶法師と出会い弟子入りします。
一方、能楽師の息子で、「呪い」により特異な体つきをしている少年は友魚と出会い、一瞬にして魂が共鳴するレベルで意気投合し、自らを「犬王」と名乗ります。
この2人が、それぞれの才能を活かし、斬新なパフォーマンスを繰り広げ、室町時代の民衆を熱狂の渦へと誘います。
そして「犬王」は、前人未到の境地に達する度に、「呪い」から解放されていくのです。
このパフォーマンス自体は、現存する能楽が確立する前のものなので、アニメーションならではの斬新な表現が可能になるわけです!
本作の要となる「唯一無二のパフォーマンス」を生み出したのは、名作「夜明け告げるルーのうた」の湯浅政明監督。そして、キャラクター原案は、「ピンポン」の漫画家・松本大洋。
この2人は、東京アニメアワードフェスティバル2015 アニメオブザイヤー・テレビ部門 グランプリを受賞した傑作「ピンポン THE ANIMATION」以来のコラボで、「犬王」は、つかみどころのない「ピンポン」の主人公・ペコと性格が似ていたりと、斬新で独自性のある世界観を生み出すことに成功しています。
また、その音楽を手掛けたのは、「花束みたいな恋をした」「あまちゃん」などの大友良英。
森山未來(友魚)×アヴちゃん【女王蜂】(犬王)というアーティスティックな2人のコラボにより「能楽」×「ボヘミアン・ラプソディ」というイメージで「音楽と映像のシンクロ率が凄いライブ感の溢れるミュージカルアニメーション」でした。
野木亜紀子の脚本も骨格を大きく支え、97分という時間で室町時代にタイムスリップし当時の熱狂を感られる唯一無二の体感型の映画です。

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共感した! 30件)
細野真宏

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