シャイラク

解説

「マルコムX」のスパイク・リー監督が、アリストパネスによる古代ギリシャの戯曲「女の平和」を現代風にアレンジした風刺劇。治安の悪化が加速し殺人が後を絶たないシカゴ南部の街。ギャングのリーダーであるラッパーのデミトリアスは、敵対グループと日夜抗争を繰り広げていた。ある日、幼い少女が路上で流れ弾に当たり命を落とす。デミトリアスの恋人リシストラタは、事件現場で悲しみに暮れる母親の姿を目の当たりにし、街の女たちとともに平和を取り戻すべく立ち上がる。キャストにはジェニファー・ハドソン、ウェズリー・スナイプス、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・キューザックら豪華な顔ぶれが集結。

2016年製作/126分/アメリカ
原題:Chi-Raq

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映画レビュー

4.0日本で知名度低いのがもったいない

2021年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

スパイク・リーの近年の作品なのだが、日本では劇場未公開でAmazonプライムのみでの配信だったためか知名度が低い。しかし、これはスパイク・リー作品の中でも結構重要な作品ではないかと思った。
シカゴのサウスサイドで、ギャングの男たちは日々抗争に明け暮れる。ある日、幼い少女が銃撃に巻き込まれ死亡、このような悲劇を繰り返させないために、町の女たちはセックス・ストライキで男たちに抗争をやめさせようとする。はじめは高をくくっていた男たちだが、女たちの運動は大きく広がっていく。
本作のプロットは紀元前ギリシャの戯曲『女の平和』をもとにしている。紀元前のプロットが通用するということ自体、紀元前から男の本質は変わっていないということの主張になっている。スパイク・リーは黒人差別という観点で、戦闘的なタイプの作品を作ってきた作家だが、その作家が争う愚かさを描いているのは貴重だ。
セックス・ストライキは、リベリアのレイマ・ボウィなどが有名だが現実にも行われ平和をもたらしたことがある。コミカルなタッチの作品だが、描かれたことは決して馬鹿げたことではないのだ。

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杉本穂高
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