ある町の高い煙突

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ある町の高い煙突

解説

昭和の文豪・新田次郎の同名小説を原作に、日立鉱山の煙害と戦った地元村民たちの実話を映画化。1910年。茨城県久慈郡入四間の地主の家に生まれ育った関根三郎は、隣村の日立鉱山による煙害が発生していることを知る。村の権力者である祖父・兵馬は事態を重く見て鉱山会社へ掛け合いに行くが、補償するので煙害は我慢するよう一方的に言われてしまう。受験を控えた三郎を心配する兵馬は、30年前に村長として採掘権を許可したのは自分だと告げるが、その5日後に亡くなってしまう。三郎は祖父の遺志を継ぎ、進学も外交官になる夢も捨てて煙害に立ち向かうことを決意する。舞台を中心に活躍する井手麻渡が主演。「天心」の松村克弥監督がメガホンをとった。

2019年製作/130分/G/日本
配給:エレファントハウス、Kムーブ
劇場公開日:2019年6月22日

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映画レビュー

4.0地味だが良質な社会派ドラマ。高い注目度も喜ばしい

2019年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

知的

新田次郎原作、仲代達矢出演など注目されるポイントはあれど、明治の山村で日立鉱山の出す煙害と闘った人々という基本的に地味なテーマ。それでも、公開2週目の週末(6/30)時点で注目作品ランキングで27位は頼もしい。こういう社会派の良作に観客が足を運ぶと、邦画の底上げにつながるはず。

松村克弥監督の前作「サクラ花 桜花最期の特攻」を観たときは少ない予算での苦労を感じてしまったが、今作はぐっと予算規模が大きくなり、キャストも絵作りもスケールアップしていて嬉しい。話としても、住民対企業という二項対立に単純化するのではなく、鉱山会社の中の良識派と住民のリーダーが認め合って協力する筋や、村人も一枚岩ではなく多様な思いがあるなど、より複雑で豊かなドラマとなっている。

教育番組のようなナレーションと、演技が大きいこと、煙突建設の工程の描写が少ないことは、個人的に難点だと感じた。

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高森 郁哉

3.0☆☆☆★★ ほんの少しだけ加筆改定しました。 原作読了済み。 流石...

2019年9月9日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆★★

ほんの少しだけ加筆改定しました。

原作読了済み。

流石に昭和の文豪、新田次郎が描く明治時代の話は重厚で。最近読んだ小説の中では1番読み応えのある内容でした…中盤までは(-_-)

読み始め。最初の20ページ辺りで、「これ…この時点で、早くも連続ドラマ1話分あるんじゃないか?」と思わせる程に、熱量が溢れる内容でした。

「これを映画にしたら一体どうなってしまうのだろう?」
中身のスカスカな映画と違い、どこまで2時間とゆう尺の中で収められるのだろうか?…と。読み始めた時に、本気でそう考えたくらい( ゚д゚)

「お国の為に尽くしたい。でもそれが叶わない」そんなこの主人公が、あの名作『素晴らしき哉、人生』のジョージ・ベイリーと重なり、ワクワクしながら読み進めたのでした。

それにしても昭和の文豪の筆力は凄い!とゆうか、実に手強い!
普段、小説を読む時には。1ページ辺りの目安として、大体1分を目安と考えているのですが。この小説は凡そ1・5倍増しくらいに、読み込むのに苦労したのでした。
情景描写や周りの人間関係。細かな人間描写等、とにかくこちらが普段、読み易い小説を好んでいた事もあり。かなりヘトヘトになりながらの読了となりました。

ただ、小説として秀作であるのは間違いは無いのですが。歴史的な事実を曲げて描く事はならないわけで…序盤はワクワクした内容ではあったのですが。中盤から徐々に(悪人が登場しないだけに)勧善懲悪劇としては成立しなくなるにつれて、その面白味が薄れて行ってしまったのが大きな問題だったと思います。
これが映画オリジナルな脚本で。例えば、マキノ映画の様な勧善懲悪劇として。仮に主人公が高倉健の様な無骨で実直な男。会社側の社長が、金子信雄や山形勲の様な、素晴らしき悪役俳優による勧善懲悪劇だったならば、エンターテイメントとして成立していたのでは?…と、思わずにはいられない。

それだけに、中盤辺りからは。千穂とゆう女性が登場し、主人公との関係に於いて重要な意味を持つのですが。終始、プラトニックな関係のままで。(当時の恋愛模様とすれば、おそらく普通の状況なのでしょうが)
寧ろ、義理のお祖母さんの存在こそが。千穂を丑の刻参りで呪い殺そうとする辺り、悪役として相応しいのでは…と、思ってしまうくらいヽ( ̄д ̄;)
肝心要の高い煙突も、小説だといつのまにか出来てしまっていて。歴史的な事実だとそれまでに様々な困難や紆余曲折あったのでしょうが…。

…と。ここまでが、取り敢えず原作を読んだ簡単な感想。

以下、鑑賞直後に於ける映画の簡単な感想になります。

先ずは原作自体が、外国人技師オールセン(映画ではヨハンセン)との長年に渡る友情の物語であるのですが。肝心のオールセンは最初にほんの少しだけ登場するだけ。
だからか?原作に描かれたラストシーンでの再会も無い。それにより許婚者のみよの存在は全てカット。
と…なると、お祖母さんのいねの存在もカット…と。なんだか尺の関係を考慮した結果か?最低限これだけは必要と考える人物・エピソードから逆算して、苦心して割り出した…様に見える脚本に見えました。
そしてオールセンより。会社側でありながらも、三郎を始めとする農民側に寄り添う加屋淳平との友情。その妹の千穂との恋愛模様に重点を置いた話になっている。

その結果と言えるのかどうか?残念だったのが、(原作では)孫作に殴られそうになる三郎を助ける為の、みよの薙刀場面は無くなり。当然の様に、千穂の存在を疎ましく思ういぬが、千穂を丑の刻参りで呪い殺そうとする場面もカット。何しろいねは、結核で千穂が死んだ事を知ると、「ざまあみろ!」と罵るくらいに強烈な人物像だっただけに残念無念。何せ2人共に存在自体が無くなっちゃいましたからね〜(-_-)

そして原作で1番重要と思っていた、千穂が弦月に乗って峠を越える場面。
映画版では実にあっさりと描かれていたのですが。本来ならこの場面。結核に冒された千穂は。三郎を愛しながらも、許婚者のみよが居る為に自身の願いが叶わないのを知りながら。昔からの儀式として、花嫁は馬に乗って嫁ぐ村へ行く…その願いが叶わないからこそ、その想いを胸に秘めての弦月に乗っての峠越えであり。その想いを胸に余命を生きる決意をする。
でも映画では。千穂はまだこの時に、その様な想いを持ってはおらず。2人の恋愛感情のあり方、千穂の三郎への想いの強さが薄まってしまったのは実に残念でした。
この場面が有るからこそ、終盤での茅ヶ崎の療養所での別れの辛さに繋がっているだけに…。

原作だと、あっという間に出来あがってしまう高い煙突。
オールセンとの、長年に渡る往復書簡からヒントを得ての煙突建設だったのですが。映画版では、美穂との報われなかった愛の想いからヒントを…と、ここは(歴史的な事実は不明ですが)原作と変えており。より映画全体が、恋愛劇として観客に提示されている気がしました。
映画版では多少は困難な工事だった(様に見える)のが伺われるものの、原作での終盤の失速感。映画版では原作同様に悪役が居ない事によるアッサリ感…と。
「悪くは無い…」とは思うものの、満足感を感じるにはもう1つ…と言ったところでしようか。

出演者の中では渡辺大が良い。
はっきりと意識したのは『RUN3』の頃からでしたが。何しろ父親があの渡辺謙だけに、色々と苦しみも有るでしょうが、今後ともに注目して行きたい。今なら親子共演をしたとしても、充分に観客の期待に応えてくれるのでは?と思っている。

そしてもう1人、伊嵜充則。
子役時代からそつのない演技で印象に残る顔でした。ただ残念ながらこれまでに代表的…と言える作品が無いのも事実。寧ろ、ドラマ「味いちもんめ2」がそれにあたるか?と言った感じで…。
この作品での恒吉は、久しぶりに目立った役だっただけに。是非とも今後に生かして欲しいところです。

2019年6月27日 スバル座

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松井の天井直撃ホームラン

4.0二種類の涙を流せる作品😢

2019年7月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

何の予備知識もなしに観たんですが、思わぬ拾い物をした気分です🎵
良かったです❗️
泣けます😢

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イロエンピツ

2.0映画としては楽しめない

2019年7月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

寝られる

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北川賢一

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