よあけの焚き火

劇場公開日:

よあけの焚き火

解説

狂言方大蔵流の能楽師・大藏基誠と康誠の実の親子が本人役で映画に初主演し、伝統芸能をモチーフに「伝えること」という普遍的なテーマを描いた人間ドラマ。小栗康平の助監督を務め、テレビドキュメンタリーなどを手がけてきた土井康一の初長編監督作。650年の伝統を持つ狂言方の家に生まれた大藏基誠は、幼いころに父や兄と訪れた山の稽古場に10歳の息子・康誠を連れてくる。基誠はかつて父が自分にしたように、稽古場の掃除などの手ほどきをしながら、時に厳しく息子に稽古をつけるが、康誠は普段よりも厳しさを増した父に戸惑い、稽古を投げ出しそうになる。そんなある日、近くに住む少女・咲子が稽古場を訪ねてくる。数年前に災害で両親を亡くした過去を持つ咲子は、自分より幼い康誠が懸命に稽古をしている姿に目を奪われる。連綿と続く狂言の伝道世界に生きる家族の歴史を背負った少年・康誠と、家族を失った少女・咲子は静かに交流し、そこから2人の心に小さな決意が芽生える。

2018年製作/72分/日本
配給:桜映画社
劇場公開日:2019年3月2日

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映画レビュー

3.5【”伝えるという事”狂言師を継ぐ決意をした幼き息子と父の日常の姿と稽古の姿を描いたドキュメンタリ―映画。歴史と伝統ある芸を極める決意は、年齢には関係ないのであろう。】

2023年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

■650年の伝統を持つ狂言方の家に生まれた大藏基誠は、10歳の息子・康誠を連れ、幼少期に訪れた山の稽古場に向かう。
 基誠はかつて父が自分にしたように、康誠に普段より厳しい稽古をつける。
 そんな2人の姿を、災害で家族を失った少女・咲子が見つめていた。

◆感想

・ドキュメンタリー映画であるので、主演を務める大藏基誠、康誠は、大蔵流狂言方の実の親子である。

・大藏康誠の、まだ幼き少年ながらも、”自らは狂言の世界で生きて行く”と言う強い意志が、画面から伝わって来る。
 又、父大藏基誠も、そんな息子と、狂言回しのような言葉使いをしながら、温かく息子を指導していく。良くある、スパルタ式の稽古風景は描かれないが、どこか凛とした空気の中、二人の稽古は続く。

・アクセントになっているのは、災害で家族を失った少女・咲子が二人の狂言の稽古に加わるシーンであろう。
ー 康誠が、やや誇らしげに咲子に狂言の礼の仕方を教えるシーン。
  その指示に素直に従う咲子の姿。-

<私は、故赤江瀑氏の著作やエッセーを愛読しているので、歌舞伎にはソコソコ詳しい。
 だが、狂言となると、野村萬斎氏くらいしか存在を知らなかったし、舞台も観た事がない。
 それ故か、今作は大変興味深く鑑賞した。
 歴史と伝統ある芸を極める決意をするという事は、年齢には関係ないのであろう。>

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NOBU

4.5親子の絆を感じる映画

2019年3月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

幸せ

親子の関係が爽やかで、特に子どもが魅力的だった。狂言を知らない私でも、親子と狂言のバランスが心地よかった。

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kmo

4.0音楽のような映画

2019年2月7日
Androidアプリから投稿

伝えることの意味と価値を、狂言師の父を持つ男の子と災害で両親を失った女の子が教えてくれる、素晴らしい映画。テレビもスマホもない、雪の蓼科の一軒家での数日の出来事。金魚とピアノと鹿狩りの銃声と栗が爆ぜる音。映像も美しいが、音がこの映画の主役だろう。

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kthyk