劇場公開日 2019年5月17日

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「居心地の良い場所で自分を取り戻す」リトル・フォレスト 春夏秋冬 とえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0居心地の良い場所で自分を取り戻す

2019年6月11日
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鑑賞方法:映画館

観ているだけで幸せな気持ちになる目に美味しい飯テロ映画

ソウルで夢に破れたへウォン(キム・テリ)は、少しだけソウルから離れるつもりで、実家のある田舎町へ帰る

しかし「少しだけ」のつもりが、2ヶ月、3ヶ月…と日が経ってしまい…

へウォンの実家は、何もない民家だ

父は彼女が幼い頃に亡くなってしまい、母はへウォンの大学進学が決まると家を出てしまう

その誰もいない実家にあるのは、薪ストーブと、自然豊かな裏山と、ちょっとお節介な隣人たちのみ

そこでへウォンは、周辺で採れた旬の食材を使って料理をし、自給自足の生活を始める

その料理が、全料理のレシピ本が欲しい!と思ってしまうぐらい美味しそうだった!

ソウルで夢に破れたへウォンだったが、その田舎で、近所に暮らす同級生たちと毎日のように会ったり、畑仕事をしながら、自分の人生を見つめ直していく

そんなへウォンを観て思ったのは、きっと誰にも「居心地の良い場所」というのがあるということ

へウォンにとって、戦う場所はソウルだけど、心が落ち着く場所は実家のある田舎

現実として、生活をしていくために、戦わなければいけない時もあるけれど、疲れたら戻る場所は実家のある田舎

必ずしも、田舎が良いというわけでもない

私は、幼い頃から都会で暮らしてきて、静かなところでは不安になってしまうので、やっぱり都会が居心地が良い

そんな風に、誰にとっても居心地の良い場所があるんだろうと思う

その中で、日々を自分のペースで過ごすことで「自分らしさ」を取り戻し、ちゃんと充電ができたら、また、次の戦いへと向かっていく

「なにも無理をして、自分のメンタルが崩壊するまでガツガツ仕事をする必要はないのかも」
と、へウォンたちの田舎の生活を観ながら思った

いや、もちろん、今、取り組んでいる仕事がとても好きで、充実した生活を送れているなら問題はない

そうではなく、都会の暮らしに神経をすり減らし、疲弊してしまっているぐらいなら、田舎で暮らすのもありじゃないか…という話

贅沢をしなくても、美味しいご飯を食べて、楽しい会話ができる友人たちがいるなら、それで良いじゃないか

私も最近は、大好きな映画を観たり、音楽を聴いたりして、楽しく笑い合える友達がいれば、それで良いかな
と思っているので、この映画には深くうなずいてしまった

また、あまり出番は多くないけれど、キム・テリのお母さんをムン・ソリが演じていて、そのお母さんがとても良かった

人はいくつになっても夢に挑戦して良い

お母さんからは、そんなことを思った

いくつになっても、自分らしくなれる場所があるって良いよね

とえ