ヨーロッパ横断特急

劇場公開日:

ヨーロッパ横断特急

解説

20世紀の文学界に革命を起こしたムーブメント「ヌーヴォー・ロマン」を代表する作家アラン・ロブ=グリエの映画監督第2作。パリからアントワープへ麻薬を運ぶ男が繰り広げる波乱万丈な道中を、幾重にも重なったメタフィクションで構築。スリラーの枠組みを借りてシリアスとコミカル、嘘と真実、合理と非合理の境界を軽やかに行き来する。公開時は「ヨーロピアン・アバンギャルドの最重要作品」と評され、ヒットを記録した。出演は「男と女」のジャン=ルイ・トランティニャン、「アントワーヌとコレット 二十歳の恋」のマリー=フランス・ピジェ。映画監督役でロブ=グリエ自身も出演。日本では、特集上映「アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ」(18年11月23日~、東京・シアター・イメージフォーラム)で劇場初公開。

1966年製作/95分/フランス・ベルギー合作
原題:Trans-Europ-Express
配給:ザジフィルムズ
劇場公開日:2018年11月23日

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(C)1966 IMEC

映画レビュー

4.0列車て展開されるメタフィクション

2020年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

アラン・ロブ=グリエ監督によるメタフィクションの傑作。電車に乗り込んだ映画監督たちが車内で映画の構想を練る。その映画の構想も電車を使ったものにしようと映画監督が言い出す。その構想と現実パートが入れ子構造のように展開する。どのシーンが映画なのか、そうでないのか撹乱しながら映画は進んでいく。列車爆破というアイデアを思いついた時のやたらキッチュな爆発イメージのあとに示されるリアルな列車の残骸。唐突に始めるSMシーン、二転三転する映画の内容に合わせて、映画全体も右往左往する。
本作の主な舞台が電車であることがやはり気になる。映画の歴史はリュミエール兄弟の「列車の到着」から始まったことを考えると、虚構と現実がないまぜになったこの作品は、リュミエール兄弟から始まった映画と現実の関わり方を再構築しようと試みているように思える。向かってくる列車に驚いた観客は映画を現実と認識したかもしれない。この映画を見る僕も何が現実だかわからなくなる。虚構と現実の境界線を引き直す作品なのだと思う。

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杉本穂高

3.0軽妙にして洒脱

2022年12月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

電車を舞台にした作品を、車内のコンパートメントで検討したシナリオと前後しながら、軽妙にして洒脱に映像化していく。
今となってはそれほど驚きのない構成だが、これが1960年代に映画化されているという事実に感心させられる。
意味よりも作品制作のスタイルや切り口、実験性に重きを置いていたのではないだろうか。
駅の売店で購入したグラビア誌が作中でリンクしていくのも面白い。

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ラーメンは味噌。時々淡麗醤油。

3.5メタ映画的 色男

2022年7月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

知的

1966年にすでにフランス映画が行き詰まってたのかな、と思わせる一品。
その前後からのフィルムノワールの展開を知ってるとそうでもないけど、その時々で悩むんですよね、きっと。
映画としてはともかく
ジャンルイトランティニアンはいい。クール、当時は無かった形容詞だが敢えて捧げたい。
男でも惚れる。

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HigeKobo

4.0フランスってすごい

2022年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

メタ的構造、スタイリッシュない映像。
難解映画ばかり撮っているロブグリエ監督作品の中では比較的わかりやすい。
1960年代でこんな映画をとるなんてやっぱりフランスはすごい。

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abc_1
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