テル・ミー・ライズ

劇場公開日:

テル・ミー・ライズ

解説

現代演劇界の巨匠ピーター・ブルックが、1968年にメガホンを取った3作目の長編監督作品。アレン・ギンズバーグのビート・ジェネレーションとブラックパンサーによる黒人解放闘争……カウンターカルチャーとポップカルチャーが交差する68年のロンドン。傷を負ったベトナム人の子どもの写真に戦慄を覚えた3人のイギリス人の若者が、暴力の負の連鎖を咀嚼し、自分たちが無力であることの現実を乗り越えようとする。戦況が激化したベトナム戦争を痛烈に批判した本作は、カンヌ映画祭に選出されながら、突然の取り下げにより上映中止となった。しかし、ベネチア映画祭に選出され、審査員特別賞次点とルイス・ブニュエル審査員賞の2部門を受賞した。本編の紛失により、長きにわたり幻の作品とされてきたが、2011年に本編が発見された。日本でも18年、製作から50年を経て劇場初公開される。

1968年製作/98分/R15+/イギリス
原題:Tell Me Lies
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2018年8月25日

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(C)Brook Productions 2012

映画レビュー

2.5“セミドキュメンタリー”

2021年9月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

この映画は何に属するのだろう、ドキュメンタリーか、フィクションか、それともミュージカルだろうか。
劇中にあった”セミドキュメンタリー”なのだろう。

多少哲学的な対話や討論の間に急に挟まれる歌の数々。その歌詞はどれもなかなかエグい。
アッテンボロー監督の映画、素晴らしき戦争を思い起こさせる。とてもイギリス的な風刺。

印象的だったのはベトナム人の僧の焼身自殺のシーン、そしてアメリカ国防総省の前で同じく焼身自殺したノーマン・モリソン。
そしてサイゴンで、打ち明け話が出来る相手を求めて兵士たちがゲイバーへ行くという話。田舎の保守的な地域から来た兵士たちのはじめての体験が同性となり、それも心に抱えて帰ってゆく。

テレビ画面越しの快適な環境でベトナム戦争を眺めて、すぐに忘れてしまうことにこの作品のひとつの核があるように思った。

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カメレオン

4.0嘘を言ってみろ?

2020年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ノーマン・モリソンの焼身自殺はどれだけアメリカ市民に影響を与えたのか?アメリカ人は何も感じ取れない。むしろニュースが伝わったベトナムでの反響が大きかったという事実。その前にベトナム人僧侶が行った焼身自殺の映像もすさまじい・・・

 基本的にはベトナム戦争に反対する姿勢の作品だが、それを広く抗議デモにまで発展させるものじゃなく、一つの提議のようなもの。しかも、ミュージカル風だったり、ドキュメンタリー風だったり、実験的な作品でもある。出演者に言わせれば、役者が事実を伝えるセミ・ドキュメンタリーということになるのです。

 タイトル通り、ベトナム戦争に関して政治家が大々的にアピールするのは全て嘘。俺たちはそれを見破っているぞ!というテーマではあるけど、議論の的はイギリスがアメリカに派兵など戦争協力をするかどうかという点に矮小化。最後には政治家が「じゃ、代案出してみろ」と吠えて終わる。なんだ、今行われてる議論と変わりないじゃん・・・不気味だったのは、八紘一宇を唱えてた日本と変わりなかったことだ。

 教え通りに考えてみると、政治家は嘘ばかりというだけでなく、この作品自体のレトリックにも疑いを持たねばならないのが残念なところ。しかも、サブリミナル効果を使っているし、どこまでが俳優なのかもわからないし・・・

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kossy

3.0ベトナム反戦

2020年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1968年のロンドン、ベトナム戦争反対や黒人差別反対を訴え、若者三人が活動するのを、ミュージカル仕立てで描く。
私が19歳の時、とても懐かしいが、世界はもっと複雑になってしまった。

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いやよセブン

4.0ベトナム戦争を批判するピーター・ブルックの幻の作品

2018年9月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

イギリス演劇界の巨匠ピーター・ブルックが1968年に撮った3作目の長編映画とのこと。

セミ・ドキュメンタリーの体でベトナム戦争をストレートに批判する一方、映画的な表現も随所に散りばめられており、作品としての完成度は高い。

パーティーでの政治家たちとのやり取りは白眉と言える。50年経った今でも全く変わらない議論が交わされていることに愕然とする。

若者たちの無力感をもしっかりと伝える普遍性の高い傑作。実に貴重な発掘だ。

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エロくそチキン
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