「題材は新しいけど結局平凡へ」スマホを落としただけなのに（2018）　レインオさんの映画レビュー（感想・評価）

スマホを落としたという出来事から、色んな続きが想像できると思うが、
特に今の情報社会では、 だからタイトルを見ると興味深く感じる人もたくさんいるだろう。

この映画が、思ってたより複雑で暗い話だった。視聴覚上では楽しめる作品だと思う。

しかも中田秀夫という『リング』で有名な監督がメガホンを取って、恐怖感を出すのにめっちゃうまかった。

役者もそれぞれぴったりと言えるだろう。
その中、スクリーンの中の北川が何年経っても全く変わらなかったという点にびっくり。
童顔を持ちながら、千葉は腹黒の役にもぴったりだし、顔に縛られることなくポテンシャルなところあってよかった。

しかし、この映画は大きな弱点ある。

原作未読で小説のせいかどうか分からないけど、
スマホをほっておいて、物語自体が結局平凡、っていうか、古すぎ！！！

連続殺人事件
精神的なトラウマ
顔のすりかえ
過去の秘密

などなど

日本の「伝統的な」ミステリーによくある暗いパターン。
本当に偶然の中の偶然を見せているし、後半もう考えなくても答えが自然と出てきた。なのに、長い時間をかけてその背後に秘めた原因となるストーリー、つまりどうでもいい作者によって恣意的に詰められた「秘密」を待って聞かなきゃいけない。

もっともひどいのが最後のシーン、急に学生二人の中、一人が携帯を落としてしまった。→終わり
ホラー映画みたいなエンディングだけど、
「また？」って思っちゃう
落としたって必ずまた一つ恐怖の話が生まれるわけではないのに。

単純にちゃんとスマホに保管しようと、
思わせられる映画。
見る過程が楽しかった。
でも響きがあんまりなかった。
見る過程が辛くても、
見た後何かを考えさせる映画の方がよほどいいと思うけど。