THE GUILTY ギルティ(2018)のレビュー・感想・評価
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脳内スクリーンの脅威
あなたは今、警察の緊急通報受付センターの片隅に居て通報を目の当たりにし、オペレーターの主人公と一緒にとてつもないおぞましい事件に巻き込まれるのです、あたかも疑似体験のような緊迫感、現場映像が一切ないのに実写より鮮明な場面が見えてくる脳内スクリーンの脅威に唖然とすることでしょう。
場面はオペレーションセンターだけのワン・シチュエーションドラマです。監督・脚本のグスタフ・モーラーさんはYouTubeで誘拐事件の電話シーンのクリップを観て電話の声や音だけで状況が手に取るように想像できることに驚嘆、触発されて本作に挑んだとのことです。長編デビュー作とのことですが批評家賞も数多く受賞、まさに予算を使わないアイデアの勝利、ナイス・チャレンジでした。
脱線ですがジャパネットの高田さんはラジオ通販でカメラを売りさばいた才人でした。考えてみれば絵のない小説でも楽しめるのですから私たちに備わった創造力、鑑賞能力はたいしたものです、本作のアイデアは奇抜、今更ながら勉強になりました。ただ、普通の映画を否定するつもりは毛頭ありませんし、この類ばかりが闊歩するようでは興醒めでしょう。
観賞に際して、舞台は北欧なので猟奇的な要素が強く、観て楽しい映画ではありませんので要注意。原題のDen skyldigeはデンマーク語で有罪、そうGUILTYなのです、その意味は観終われば分かるでしょう、サスペンスなのでプロットは書けませんので悪しからず・・。背景の小さな話声も重要な要素ですから可能なら字幕より吹き替え版(小原雅人)の方が集中できます。
沈黙と余韻
電話のやり取りだけで1時間半もの作品を作りあげたのはただただ驚異、、、
沈黙と余韻の使い方が秀逸。
正にその場にいるような感覚に陥る。
話しているのを聞いているだけだが、何が起こっているかの想像を掻き立てられ、通常のサスペンス映画よりも興奮してしまった。
最後の電話は真実を語るために相棒にかけているのか、
最後まで想像を掻き立てられた。
映る画と想像力
映画の本来あるべき良さや存在意義は、
大きな画面に映る画によって、登場人物の感情や物語が文字通りわかることだ
映る画によって、観るものは想像力が膨らみ、さらに映画が終わった後も自分の人生に置き換えるシーンが増えてくる
しかしこの映画は、映る画によって想像を引き立てるシーンがひとつもない
全て会話(字幕)でのみの物語となる
ここで、ただ単に本来の映画に置き換えるのであれば、この映画は小説でも成り立ってしまう映画としての意味をなさない作品になってしまう
しかし、ただの電話越しの会話劇ではなく、同時に主人公のバックボーンが表情や電話室の微妙なやり取りから語られ、映画としての意義を成立させている
そしてラストは、誰に電話をしたのか、観客に想像と思考を委ねてエンドロールへと映る
今までにない、映画の魅力を新たに開拓した作品だと感じた
追記
結末からして、
最初の電話の会話での、夫にバレないように妻が警察に電話をする意味は少し腑に落ちない
(夫が警察に頼りたくないという理由により落としてはいるが)
デンマーク発シチュエーションスリラー
フと気が付いたのですが、デンマークと言われて思い浮かぶ物が何もない・・・デンマークの方ごめんなさい💦もしかしたら人生でデンマーク映画観たのは初めてかも?っと言うほどデンマークに縁もゆかりもないのですが、本作はこんな極東の日本まで流れてくるだけあって、なかなか見応えありました。
オペレーションルームのみで話が展開するのでこれは脚本の勝利ですね。でも実際に現場に出れずに電話のみってムズムズするだろうなぁ。この話って物凄くミニマムで電話の向こうのある一家族を描いているだけなのですが、そこに主人公アスガーの何かやらかしてそうな過去を絡める事で一本の作品に仕上がってます。派手な場面なんて皆無でストーリーで引っ張るので、映画マニアであればあるほど評価が高くなりそうですね。
個人的にはイーベンとの2回目の電話あたりで「あれ?もしかして・・・」と思っちゃって最後は「あーやっぱり」でした。あそこからもう一捻りあれば名作となったかも?アスガーのやらかしちゃった感は半端なかったですが、個人的にはもし110番かけた時に「こっちは忙しいんだ」みたいな対応されると嫌だなぁっと思いました。主人公が嫌いなタイプの人間だったのは個人的にマイナス要因です。
しかし、デンマークって警察が個人の電話番号も車のナンバーも全て把握してるんですかね?あれってリアルな話なのでしょうか?何というかメッチャ管理社会な気がして、そこがちょっと気持ち悪いなっと思ってしまいました。日本はきっと・・・違いますよね?
正義感と傲慢
前半は、冷静で頭の回転が速い主人公を
カッコいいなぁ〜なんて目でみちゃうんですよ。
子供にも優しいし、警察のしきたりなんてはみ出しても助けたい!って姿も素敵
途中からなんとなく相方に対しても横柄な感じとか
妻が出て行ったことも隠したり、あれ?
ってなって。
パパが絶対開けるなって言った部屋を
開けてごらん。って言った罪
夫を加害者、妻を被害者と電話だけで勝手に思い込んで
突っ走った罪
これに気づいた時、一気に
傲慢で馬鹿な男に見えてしまった。
そんな自分の視点の変化に一番ビックリしたのだけれど。
オペレータールームのみの密室で繰り広げられるストーリー。長回しを多用し、沈黙も多い。
まるで一人芝居にも思える演出だけれど
演技もうまいしこの狭い空間で飽きさせない展開が凄い。
単に誘拐を解決しただけでなく、自分を正しいと信じたが故の悲劇がみもの。
最後は自殺はやめたことになっているが
自殺した方が映画のストーリーとしては面白かったのでは?
ラストにかけた電話は、奥さんかなぁ。
新感覚
問題を犯し、内勤で電話受付をすることになった刑事という設定のもと、話が始まる。
皆、序盤で違和感を感じるはずだ。主演の刑事が一向に部屋から出ようとしない。移動しても隣の部屋や廊下だ。なんなら最後までそのまま終わってしまう。
全ては受話器を通して起こる音と声が頼りの事件だ。
オーディオブックなどで聴く推理ものの小説ともまた違い、見ている、いや聴いている本人の想像力が頼りの映画なのは間違いない。
何が正義で、何が罪か
見せ方や展開は可もなく不可もなくという感覚。つまらない訳ではないが、想像でき得る範囲内。
主人公は過去の過ちを挽回しようと一生懸命、電話越しで被害者と思われる女性を助けようとする。
女性自身は助かるが、被害者というのは見当違いであった。
今作品の主人公の様な行動は、罪の大小はあるが、誰にでも日常的に起こる可能性はある。
完璧な正義というのは非常に難しいのか。
見せ方が素晴らしい
正に密室映画で想像を掻き立て、この先の展開はどうなるだろうと惹き込まれる。日本の110番のような緊急通報司令室の一室だけで展開され、登場人物も画面に出てくるのはほぼ主役の一人。刑事だったのだろうが、問題を起こし、つまらない職場、ここにいる他の警察官も自分より下に見てる節がある主人公。所謂、電話番で酔っ払いやジャンキー相手に過ごす日々。実は19歳の犯人を故意に撃ち殺してしまったが、明日が裁判で仲間内では嘘の供述で故意ではないと伝え、元の職場に戻りたいと思っている。妻にも出ていかれてしまって、自暴自棄にもなっていた。もう間もなく夜勤と交代、明日の裁判に備えるつもりが、女性から助けてという電話が入る。話から別れたDV夫にナイフで脅され、家に子供を残し、車で拉致られたらしい。緊急通報司令室の職域は超えていたが、女性の家の子供の救助に警察を向かわせるが、男の子が血だらけで死んでいると。てっきり夫が殺したと思っていたが実は母親の女性が息子を殺し、精神病で病んでいた。夫は妻を助けようと精神病院に連れて行こうとしていたのだった。全ての結果が電話口で伝わってくるので、主人公と同様に待っている感覚があり、緊張感がある。自殺しようとする母親を踏みとどまらせるのに、自分の事件で故意に殺した、つまりは殺人を犯したと告白する。君は病気で故意ではないと。事件は無事解決されたが、ラスト主人公はどこに電話したのだろう?妻なのか、事件を疑っていると冒頭に連絡あった記者なのか、はたまた嘘の供述を再度やめるよう依頼するため同僚なのか。ここまで見せる密室映画すごい!
面白かった
・終始緊急ダイヤルセンターのみという斬新な手法で驚いた。被害者、加害者の姿を一切見せない事で声だけで判断することの難しさを感じた。とても苦しい気持ちになった。
・姿が見えないため、経歴だけでどんな人かを決めつけてしまっている自分がいた事を思い知らされた。実際にどんな雰囲気なのか観たらまた違った印象になるのだろうと思った。
・何となくテレワークにあのマイクキット良さそうと思った。
・自分が抱えてる、あの時ああいえばよかったのかもとか、何かしらの後悔が蘇ってきて苦しくなった。
・奥さんが実は息子を殺していたという事実が苦しかった。
発想がいい
声と音と表情でほぼ全部表現してるところがすごい。
最後までストーリーがよく捻ってあるし、最初から何かあるな、と思って見つ面白かった。
といいつつ、そういう設定なんだけど途中まで主人公の態度が悪くてヤナ感じだったのが、急に徐々に改心していくあたりが、なんというか突然すぎて、そこはもう少し丁寧に描写ほしかったかなぁと。
あと、周りに心開いてないからといって、勝手に一人で話進めすぎて、もっと途中経過報告する先があるだろ、と思ってしまった。
でもサンダンスらしく、低予算としてはほんと良く出来てるなぁと思えた映画でした。
物語は全て緊急電話オペレーター室の中だけで進行する。 あとは電話の...
物語は全て緊急電話オペレーター室の中だけで進行する。
あとは電話のやり取りだけなのに、見えないだけに逆に緊迫感が増した。
初めはいたずら電話かと思いきや、誘拐された被害者が犯人が目の前にいる状況で電話していると気づくアスガー。
彼女を助けるために手を尽くす。
ところが、被害者と思っていた彼女が実は殺人犯で、精神障害者であったと。
二転三転のストーリーはすばらしかった。
救われない終わり方かと思いきや、最悪の結末だけは避けられて少し明るい気持ちで観終えることができた。
何回も巻き戻した
蛇がお腹にいたからオリバーは泣いてた
だからお腹の蛇をとりのぞいてやった
そしたら、泣き止んだ
。。
確かに留守録アナウンスが、はじめにおかしいと思った。。
被害者と思ったママは精神病で本人はオリバーを助けたつもりだったが、お腹の蛇をとりのぞくためにナイフで切り裂いて殺していた、、
完全に夫のミケルが犯人だと思った、、、
警察は守るのが仕事だ
映画「THE GUILTY ギルティ」(グスタフ・モーラー監督)から。
正直、やや暗いトーンの中「緊急ダイヤル」とい称し、
「電話越しに小さな事件に応対する」という繰り返しに、
いつまで続くんだろうか?と、強い眠気が襲い、
結果、何度も巻き戻して観ることになった。
しかし、電話からの声と音だけで、状況判断して、
緊急通報指令室のオペレーターとして、警察に指示を出すことは、
それ相当の経験と技量を兼ね備えていないと、出来ないこと。
逆に、経験がありすぎると、勝手に自分で推察して、思い込む。
今回は、視聴者の私も含め、そのトリックにまんまと引っ掛かった。
ある時、誘拐された・・と言う電話が入る。
「緊急ダイヤル」は「助けが必要?」と尋ね、自分で判断して、
そのこどもの安否確認と、悲痛な叫びに、
「警察は守るのが仕事だ」「守る?」「困ってる人を助けるんだ」と
事件解決に奔走するのだが・・。
ラスト、この判断が間違っていたことに気付いた時の主人公は、
何を感じ、その後の対応はどうしたのか、
私は、その後の方がとても気になって仕方がない。
警察が守るべき人は誰だったのか、困ってる人は誰だったのか。
事件の真相を知ってから、観直してみると、
どこで判断を間違ったのか、なかなか興味深い作品となった。
主人公の行動はこれでいい。
全部が音声で進むサスペンス。
何が凄いって、絵面を観客に丸投げしてるんですよ。
主人公のいる部屋以外の登場人物や場所は、観ている側が想像するしかない。
なかなかギャンブルというか、こっちの想像力を試されますよね。
だから、普段から小説を読む人なんかはめちゃくちゃ入り込めると思います。
僕はもう大好きですね。
というのは、レビューで「主人公の行動が理解できない」とか、「感情移入できない」とかってまああるじゃないですか。
それも分かるんですけど、逆に考えてみてください。
別に「事件を解決する」のがこの映画の目的じゃないんですよ。それがもうミスリードなんですよ。
「この事件に感情的に首を突っ込んでしまう主人公」を描くのが重要なんですよ。
この主人公じゃなかったら成立しないんです。
彼は映画的ヒーローではありません。
「罪人」なのです。
何の気なしに借りてみた
ちょっと面白い。
ギルティと言うよりは贖罪(アトーンメント)と言う感じか?
仕事でミスを犯し、糾弾される警官が通信伝令の業務をやらされている所から始まる。
糾弾されることに不安感一杯で、子どものSOSを聴いて手柄を立ててやろうと無理やり突っ走る。しかも普段やってない仕事で交渉しようとする。
そりゃ上手くいかんよね。
ドラマは通信室だけで進むけど、部屋を移動したりはする。周りに見られないように独断専行する姿は不安を煽って仕方ない。
電話口の音声だけで相手の状況や精神状態等が仄見えるので「おい?どーすんだよ?」と言う思考に巻き込まれて行きそうになる。
ラストがあれで良いとは思えないがそれなりに観られる作品と思う。
ぜひヘッドホンを着用して観てほしい映画
緊急通報司令室で働く主人公のアスガーが、電話越しの音だけを頼りに誘拐事件に立ち向かうというストーリー。
上映時間は88分、おそらく映画内での時間経過も同じくらいでしょう。視聴者はリアルタイムに進行する誘拐事件の全容を、電話の向こうから聞こえる音だけで推測する形になります。まるで自分が主人公のアスガーであるかのように感情移入しながら観ることができます。
この映画の凄いところ、それは台詞のある登場人物のほとんどは、「姿も形も見えない」というところでしょうか。ほとんどの登場人物は、主人公アスガーとの通話でしか登場しないので声だけの出演となります。警察官・主人公の相棒・被害者女性・誘拐犯・子供。声だけしか登場しません。しかし電話越しの声と画面に映るアスガーの表情だけで、緊急通報司令室の映像しか映らないのに、誘拐事件が目の前でリアルタイムに発生しているような錯覚に陥ります。電話越しに聞こえるのは声だけではありません。雨の音・車のエンジン音・ワイパーの音など、あらゆる環境音が非常にリアルに聞こえてきて、視聴者の想像を掻き立てます。
電話での会話のみならず、一分一秒を争う場面なのに相手がなかなか電話に出なかったり留守電になるなどの細かな演出によって、アスガーがもどかしさを表しているのも見事でした。こういった細かな演出には、製作スタッフの強いこだわりを感じます。
ただ、ストーリー自体はあまり目新しさの無いものでした。
途中で伏線が張られていたり驚きのどんでん返しがあったりして楽しめましたが、よく言えば王道・悪く言えばありきたりなストーリーだったので、わざわざこの映画でやる必要性がありません。「相手の声しか聞こえない」という特殊なシチュエーションを活かしたストーリーであればもっと楽しめたんじゃないでしょうか。
しかしながら、総合的に観れば本当に面白い作品で、こういう新しい試みの作品がもっともっと増えてくれればいいなぁと思います。
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