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◆ブレス しあわせの呼吸

幸せのカギは、どんな時も失わないポジティブさと"笑い"
  これが実話って、いいなあ!と素直に思えた。あたたかく、笑えて、心が励まされる。「ブリジット・ジョーンズの日記」などのヒットを生む名プロデューサー、ジョナサン・カヴァンディッシュの両親の実話が基になっている。

  1957年、ジョナサンの父・ロビン(アンドリュー・ガーフィールド)は、ライバルを押しのけて、美しいダイアナ(クレア・フォイ)を射止める。アフリカ・ケニアで茶葉の買い付けを始め、現地で新婚生活を謳歌していた矢先、ロビンは突然の不調に襲われる。診断結果はポリオ。首から下が麻痺し、自力で呼吸もできず、「死にたい」と絶望するロビン。そのとき妻ダイアナが取った行動が、すべてを変えていく――。

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  「余命数ヶ月」と言われたロビンが、なぜこんなにも生き生きと、予想以上に長い人生を送ることができたのか。そのカギは妻と周囲の友人たちのポジティブさと"笑い"にある。シリアスになるしかない状況で、プッと笑いが起こる妙。さぞかしユーモアのセンスもピッタリなご夫婦だったのだろう。

  ほぼ全身を動かせないという制限下でのアンドリュー・ガーフィールドの演技も見ものだが、筆者は本作に昨年公開された傑作ドキュメンタリー「ギフト 僕がきみに残せるもの」を重ねた。どちらも実話の持つ説得力に加え、妻や周囲の人々の明るさと、それに応えようとする主人公のガッツと心の持ちように、こちらが励まされる。しかもロビンの闘いは、後世に大きな技術革命をもたらすのだ。

  監督は「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラム役などで知られる俳優アンディ・サーキス。彼には多発性硬化症を患う身内がおり、父は医者、母は障害のある子どもたちを教える先生だったという。映画を流れる空気がこんなにもやさしいのは、そんな彼の背景にあるのかもしれない。

(中村千晶)


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