ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス

劇場公開日:

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス

解説

日本でも大ヒットを記録した1999年製作の音楽ドキュメンタリー「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」から18年を経て、現メンバーによる最後のツアーを追ったドキュメンタリー。アメリカの偉大なギタリスト、ライ・クーダーがキューバでセッションした地元の老ミュージシャンたちに声をかけて結成されたビッグバンド「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。97年にリリースされたアルバムは世界的に大きな注目を集め、グラミー賞を受賞した。本作では、グループによるステージでの活動に終止符を打つと決めた彼らの「アディオス(さよなら)」世界ツアーを追うとともに、彼らのプロとしてのキャリアの浮き沈みやこれまで歩んできた旅路、さらにメンバーの死にも迫る。前作で監督を務めたビム・ベンダースが製作総指揮、「ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡」のルーシー・ウォーカーが監督を務めた。

2017年製作/110分/イギリス
原題:Buena Vista Social Club: Adios
配給:ギャガ
劇場公開日:2018年7月20日

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(C)2017 Broad Green Pictures LLC

映画レビュー

3.5音楽を愛し、翻弄され、愛された人生

2018年7月31日
PCから投稿

泣ける

悲しい

楽しい

もうこの映画の何に感謝したいって、オマーラ・ポルトゥウンドとイブライム・フェレールの若き日のテレビ出演映像と、大切な思い出として回想するオマーラの顔が見られたこと。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブに参加した時に、唯一現役バリバリのスターだったオマーラと、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブがなければ、音楽を捨てて忘れられていたかもしれないイブライム。その二人の過去とその後を描いたことで、音楽を愛し、音楽に翻弄され、音楽に愛された人生そのものが浮かびあがった気がした。

ドキュメンタリー映画として秀逸であるとか、なにか突出しているとまでは感じなかったが、キューバという国の歴史と現在の変貌とが背景に据えられたことで、ひとつの音楽の盛衰を俯瞰するような感慨が湧いた。

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村山章

4.0キューバ音楽の歴史と精神を学べるが、音楽の魅力は前作に軍配

2018年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

楽しい

W・ヴェンダースが監督した前作は、長く活動の場に恵まれなかったベテラン音楽家たちが米国人ギタリスト、ライ・クーダーの呼びかけで集まり、セッションやコンサートの場を久しぶりに与えられて生き生きと演奏する姿と、キューバ音楽そのものの魅力を伝えることに主眼を置いていた。

今作はキューバという国の歴史を紐解きながら、同国固有の音楽の発展と不遇の時代を示すことで、音楽の精神の領域にまで迫ろうとする。さらに楽団のメンバーたちに個人史を回想してもらい、革命と西側との断絶に翻弄された彼らの人生を浮き彫りにする。高齢のメンバーたちゆえ、長年にわたる取材の中で1人、また1人と他界していくのがなんとも物悲しい。いや、人生の終盤で一花咲かせたことを祝福すべきだろう。

オーディオビジュアル的な観点からは、近年のコンサートなどを高画質・高音質で収録した映像が乏しく、名演を満喫するとまではいかないのが惜しまれた。

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高森 郁哉

4.0歌い続けて生き抜いた人達

2022年6月28日
iPhoneアプリから投稿

前回の映画は好きで良く観ていたけど、しばらく忘れていた。今回は音楽よりも彼らの生き様がよりクッキリと浮かび上がってきて一生を音楽に満ちた人生を鮮やかに映し取ったと思う。キューバという特殊な国だから逆に純粋に生きることが出来たのか、彼らの精神性なのかとても感銘を受けた。歳を取るならこれが理想。

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300

4.5【BVSC☆アディオス、そして、オラ】

2021年11月26日
iPhoneアプリから投稿

ヴィム・ヴェンダースの「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のレビュータイトルを、”音楽の原点”と書いたが、実は、なぜかは、こちらの映画で触れられるので、その精神的な背景は記したつもりだが、具体的なことは書かなかった。

キューバ音楽の「ソン」は、原住民が滅ぼされ、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人が、作った音楽だ。アフリカの鼓動とヨーロッパの音楽が出会い、融合し、その後、ヨーロッパだけではなく、アメリカの音楽にも大きく影響を与えたのだ。

「なぜ、こんな悲しみの歌を、世界中の人々は支持するのか」

キューバ音楽ソンの多くが悲しみの歌だ。

ヨーロッパが進出してきて、原住民の多くを殺害、アフリカから奴隷として連れてこられた人たちが、現在のキューバ人の祖先だ。

独立のための闘い。

多くの同胞が死んだ。

もともといた原住民も含めて、ソンは鎮魂歌なのだ。

しかし、決して暗いことなどなく、明るく生きようとする力を内包している。

だから、「火事だ、火事だ、俺は燃えている!」と歌うのだ。

ソンは、悲しみを乗り越えたことを伝えるキューバ人に流れる血のようなものだ。

だから、決してなくならない。

歌は魂。

こうしたことが背景にあって、カール・マルクスの社会主義思想が、キューバに根付いたのかもしれない。

過度な利潤を追求せず、格差を好まず、暴力には屈せず、平等で、穏やかに暮らせる世界。

ハバナ・カール・マルクス劇場での”ラスト”・コンサートとは言うが、1999年のヴィム・ヴェンダースの映画撮影から、BVSCの多くが亡くなり、でも、新たなメンバーも加わった。

アディオスだが、オラ!

オバマが端緒をつけた国交正常化を、トランプが放棄してしまったが、再び、良い流れが来ることを祈る。

このBVSCアディオス公開前に亡くなったフェレールが、ヴィム・ヴェンダースのBVSCで、カーネギーホール・コンサートの後、「実は、ニューヨークは憧れだった。英語はこれから勉強する」と言っていたのを思い出した。

この音楽を聴きたい人は世界中にきっと多くいる。

次は、BVSCオラだ。そう信じている。

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ワンコ
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