劇場公開日 2018年9月21日

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「素直な気持ちを伝える大切さ。不思議な映像美で描く、温かな愛情物語。」コーヒーが冷めないうちに 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0素直な気持ちを伝える大切さ。不思議な映像美で描く、温かな愛情物語。

2018年11月1日
PCから投稿

泣ける

悲しい

幸せ

【賛否両論チェック】
賛:愛おしい人への大事な気持ちを、伝えられるうちに伝えることの大切さを、いくつもの温かな人間ドラマを通して教えてくれる。過去へと戻る際の不思議な映像美にも注目。
否:どうしても似たようなシーンが多いのは、ご愛嬌か。世界観も好き嫌いが分かれそう。

 まず特筆すべきは、その独特な映像美です。過去へと戻っていく中で登場人物達が通る道ともいうべき過程が、美しく幻想的な雰囲気で描き出されているのがステキです。
 そしてその先で待っているのは、登場人物達それぞれの、切なくも温かい絆の物語です。本当は大切なはずの人への正直な気持ちを、見栄や意地、相手への気遣いから言えずじまいだった彼らが、過去へと戻って初めて知る相手の本当の想いに、観ている側も思わず一緒になって涙してしまいます。大切な人が、明日も同じようにいてくれるとは限らない。だからこそ言える時に、自分の想いをちゃんと言葉にすることがいかに大切か、思い知らされるようです。個人的には、吉田羊さん演じる八絵子と妹の久美とのエピソードが心に染みました。
 そんな中で最も切なくて、物語の核にもなっている、ヒロイン・数のエピソードも見逃せません。彼女がずっと胸に秘めてきた心の傷の正体と、その意外な真実にも、思わず驚かされます。そしてやはり実感させてくれるのは、家族の愛の大きさです。あまり言うとネタバレになってしまうので、詳しくは是非実際にご覧になってみて下さい。
 どうしても同じようなシーンの繰り返しが多いのも、こうした作品ならではのご愛嬌。沢山感動してホロっと泣ける、そんな大人のヒューマンドラマです。

映画コーディネーター・門倉カド