劇場公開日 2019年8月9日

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「ディズニーの誠実さと技術力溢れる良作」ライオン・キング 熊髭さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ディズニーの誠実さと技術力溢れる良作

2019年8月20日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

流石の安心感。
全ての要素において精密、かつ誠実に作られた良作品です。

この映画、過去に作られた傑作アニメ映画「ライオン・キング」を元に作られていて、基本的に内容はほぼアニメ版と変わりません。

アニメ→実写風CGにリブートするにおいて、少し設定が違ったりシーンの増減がある部分もありますが、違和感無く行われています。
むしろ、そのお陰で実写風CGという作風にうまくマッチしていると感じます。

それ以外の部分は原作に非常に忠実。
原作の時点で超傑作ですから、下手にいじらない事で絶妙の安心感を産み出しています。
物足りないと感じる方も居るかもしれませんが、私はこちらの方が好みです。

原作通りという事もあり、完璧なプロットと配分には脱帽です。
ダレる事もなく、丁度いいテンポで展開し、最後はスッキリと綺麗に終わります。
流石ディズニーといったところ。

CGは美麗の一言。
表現手段が変わった事により、画面の情報量が増え、広大なサバンナの自然をより強烈に観客に印象付ける事に成功しています。
1シーン1シーンの迫力もパワーアップしており、アニメ映画を既に観た人でも十分楽しめる内容となっています。

ただ、多少気になる点はあります。
ご存知の通り、ディズニーアニメは表情や身体の動きが大袈裟な程に大きく、アニメーションという媒体に最適化された表現になっています。

これが実写に近いCGとなる訳ですので、当然表情の動きは小さくなるし、アニメでしかできない身体の動きなんかもオミットされています。

その結果、画面の豪華さとは裏腹に、本作の動物達は表現としてなかなか大人しい印象になっており、ディズニーアニメに慣れた人にとってはかなり堅い絵面と感じる筈です。

これ、実は動物達の顔をよくよく見ると、かなり表情豊かに動いている事が分かります。
普段から動物を眺めて表情を楽しんでいる様なタイプ(有り体に言ってしまえば動物好きの人ですね)の方にはこのポイントは全く問題無いと思われます。
むしろ、現実の動物に近い為、アニメとはまた違った可愛さを見出せるかもしれません。

また前述の通り、設定が実写風CG向けにほんの少し変わっており、やや大人向けになったきらいがあります。
元々ディズニー映画は少し人を選ぶ作品群なのですが、今作はこのターゲットが変わったという感じです。

あと、これは映画自体の問題では無いのですが…
超美麗CGとなった事で、画面内全てのオブジェクトが高精度かつ精細になりました。
その副作用と言いますか、画面描写が追いついていないシーンが多々ありました。

特に画面が素早く動くシーンで顕著で、ブレや滲みがしばしば気になります。
どうやら映像機器よりも製作技術が先を歩き過ぎてしまったようです。

いくつか気になる部分はありましたが、全体的には全てが高水準の非常に安定感ある良作と言えます。

お時間のある方は是非、観て頂きたい作品です。

熊髭