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◆アントマン&ワスプ

最高に楽しくて、案外深い。観る者の感覚を揺さぶる画期的な一作
  こ、これは・・・何とも意表を突いた面白さだ。繁華街を激走するカー・アクションは痛快さで一杯だし、全編にわたってあらゆるものをサイズ・チェンジさせる趣向も観る者の感覚を揺さぶり続けてやまない。挙げ句の果てには、コメディの名手でもあるペイトン・リード監督流の、ちょっとしたタイミングのずらしや会話の妙にまで爆笑させられ、気づくとこの映画のことがすっかりやみつきになっている始末だ。

  ふと振り返れば、「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」(18)ではちっとも姿を見かけなかった、身長1.5センチの極小ヒーロー、アントマン。本作はその"不在"への直接的な答えにはなっていないものの、むしろ「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」(16)から現在までの間を埋める一本となった。

  外出禁止を余儀なくされた主人公スコット(ポール・ラッド)は、ある日、自分が突如全くの別人と化したような意識に襲われる。この不思議な現象は一体何なのか? 気になってピム博士(マイケル・ダグラス)に連絡した瞬間から、新たな冒険の幕が上がることに----。

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  今回はとにかく内容がてんこ盛りだ。女性ヒーロー"ワスプ"の登場によって新たなバディ・ムービーとしての境地が切り開かれたかと思えば、他にもローレンス・フィッシュバーン演じる物理学者や、真っ白なコスチュームを身にまとった謎キャラ"ゴースト"が続々と投入。アントマン&ワスプによる「小さくなったり、大きくなったり」の攻防のリズムに加えて、この新キャラの「あらゆる物をすり抜ける」という能力が、一段とダイナミックなアクション動線を生み出していく。

  愉快な仲間や健気なアリさんたちの助けを借りながら奮闘する姿は、どこか荒唐無稽な80年代アドベンチャーを彷彿させるかのようで相変わらずのワクワクが止まらない。また、「小さくなる」という行為が一線を越え、量子の世界という"もう一つの宇宙"へ突入していく様は、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の対局をいくようで興味深い。だがそれにも増して我々の心を掴んで離さないのは、主人公の明確な行動理念であろう。世界平和や人類愛ではなく、むしろ「いつも側にいたいのに、それが叶わない娘への愛情」が彼をとことん突き動かす。なるほど、ここにも大きな宇宙と小さな宇宙の逆転がある。こうやって観る者の価値観や常識さえガラリと転換させるところこそ、本作が持つ真の特殊能力と言えるのかもしれない。

(牛津厚信)


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