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平均評価[3.2]

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題名からぼぎわんを外したこと
印象:
鑑賞方法:-
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評価:[5.0]

後半はネタバレです。

原作未読で映画を見て面白かったので、原作読んでずうのめ人形も読んだ。ずうのめの日本ホラー映画への痛烈な批判を知った上で、ぼぎわんの映画化は相当な覚悟があったはず。
長編小説を2時間程度の映画にまとめるのは不可能なんで、どうしてもテーマを絞って要約するのは当然。羊たちの沈黙は要約と映画的演出の組み合わせが絶妙で、原作読後の衝撃と同時に映画化の出来の良さに関心したが、そんな映画は滅多にない。黒い家とリング、仄暗い水の底からの映画は良かったけど原作の方が面白さは上回ってる。羊たち、だってそう。映画が原作に勝とうとするなんておこがましいのかも。例外が、シャイニング。原作とすじは同じなのに、全く違う恐怖感があり、傑作映画となっている。レディプレイヤーワンでスピルバーグは、原作者が嫌う傑作映画としてのシャイニングのエピソードは残すほど(他のエピソードは9割方削った)、シャイニングは原作と映画の在り方に一石を投じた革命だった。
じゃあ、ぼぎわんが来るの映画化は、シャイニング方式しかありえない。ぼぎわん部分を排除して、来る、の部分だけで再構成する。言い換えれば、ホラー要素を排除して、人間ミステリの部分を強化し、すじは同じなのに違うテーマで攻める。出来上がった映画はその方針だったならば、かなり傑作に仕上がっている。なのにやたらと評価が低いのは、ホラー映画として宣伝されたため、詐欺にあった感があるのと、第3部の大胆な演出が多くの人にわかりにくかったという事につきる。今から見る人には、ツインピークスを見るつもりで見てほしい。ツインピークスよりはわかりやすい話だから。

役者は全員熱演。それだけでも見る価値がある。ただし、ストーリーの駒のようなもので、監督は意地悪だなと思う。最もつまらない人物をジャニーズの俳優にやらせ、主人公のように宣伝するあたり、冒険が過ぎる。かわいそうだ。役者の映画コメントで、脚本が怖くて読めなかった、というのがあるが、その脚本が映画通りなら、全く怖くないはずで、そのコメントさえ映画の演出の一つであったらなおさら怖い。霊媒師たちに違和感のあるメンツが多く、ここにも悪意を感じる。一番怖いのは、この監督か。

残念なのは、印象が残るほどの強い絵、がなかったこと。映画館で見る映画だから、バキバキの強い構図のシーンが欲しかった。

ネタバレいきます。

原作からより強化されたのは、会社の後輩、嫁さん、民俗学者、オカルトライター、と霊能もつ彼女のエピソード。子供のキーワードが浮かぶが、家庭、の話と解釈した。家庭の中での欺瞞、嘘、虚栄の蓄積が起こると、必ずヤツが来る。原作では、ぼぎわんとして出てくるが映画では象徴として描かれる。映画の要所で鏡に映る登場人物。見ている観客にも鏡が向けられる。出来るだけ細かく日常のヒトの醜さ、弱さ、を描きつつ、家庭の狭い世界は外からは見えないという気味の悪さ。黒い家とは違って、普通の日常生活の中にある不気味さが伝わって来る。原作の一番怖いところを映画で描き出し、ぼぎわんというホラーエンタメを最小限にしている。その集大成として集まり来る霊能者を最後に皆殺しにして、この映画はホラー映画ではないですよ、と念を押す。原作のご都合主義の展開は全て排除したのも、観客に媚びてなくて好感。最後の最後にオムライスの国を出して、子供の無垢な残酷性を明示し、それに気づかない生き残り大人二人の笑顔で終わる。終わったと思ったら、終わってなかったんだ。キャリー初代映画のわかりにくい版。

原作の叙述トリックを映像化するのにも成功している。旦那視点から嫁さん視点への流れは、かなり練られていた。嫁さんの死に顔は、母親とのエピソードを踏まえると深みあるシーンとなった。

2019/02/05 momiageさん

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