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◆シュガー・ラッシュ オンライン

安定か、変化か? ネット世界で試されるラルフとヴァネロペの"絆"
  リッチ・ムーア監督が共同体制で手がけるディズニー長編アニメは、劇中の異世界が現実社会を投影しており、鑑賞後に考えをうながされるのが特徴的だ。彼の前作「ズートピア」(16)が人種の多様性に目配りしたように、今回の「シュガー・ラッシュ オンライン」も、人と人との関係を観る者に問いかけてくる。

  6年前に公開された正編「シュガー・ラッシュ」(12)で、打ち解けた間柄になった悪役ラルフと、がらっぱちのお姫様レーサー、ヴァネロペ。オフライン空間で楽しく毎日を過ごしていたゲームキャラの彼らは、存続に関わるトラブルをきっかけにインターネットの世界に入り込む。映画はそんな二人のオンラインでの冒険を活写しながら、変化を望まないラルフと、新しい世界に興味を示すヴァネロペとの間に齟齬を生じさせていく。

  仲良く時間を一緒にし、同じ価値観を共有することが友情なのか——? 正編で「人の役割や捉え方は自分次第で変えられる」ことを提示したこのシリーズは、今回ハッピーエンドを定型としてきたディズニーのマーケティング戦略から考えると、少し意外に思える結末を示して終わる。それがこの映画を、終映後も長く尾を引く作品に仕立て上げているのだ。

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  もちろん、そんなテーマ云々は作品を存分に楽しんだ末に付随するもの。環境の大変動にキャラたちが覚えるカルチャーギャップや、なんだかんだで順応していくたくましさは爆笑と喝采を誘うし、「スター・ウォーズ」やMCUといった、ディズニーが擁するフランチャイズからのカメオ出演も賑やかだ(スタン・リーに哀悼を)。とりわけ歴代ディズニー・プリンセスが一堂に会し、ヴァネロペに同族としての自覚を諭す展開は自虐的ギャクが冴え冴えで、影響を受けたヴァネロペが「ワイルド・スピード」的マイルドヤンキー願望を具現化した狂気のミュージカルを演じるところなど、やりたい放題が山盛りわさびのようにツーンと目に染みる。

  奇抜かつ的確にカリカチュアされたネット世界のグラフィックも、観客の目を常時スクリーンに釘付けにして離さない。そう考えると冒頭に出てくる「トロン」(82)の引用は、ディズニーが映画でオンライン空間を描いたパイオニアへの、気の利いたリスペクトだと気づかされるのだ。

(尾崎一男)


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