劇場公開日 2018年6月8日

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万引き家族のレビュー・感想・評価

全918件中、1~20件目を表示

4.5コロナ時代に貧困問題を考える手がかりに

2020年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

ケン・ローチ監督と同様、是枝裕和監督は貧困の問題をたびたび扱ってきた。共通するのは、低所得ないし無所得の庶民の視点から制度の不備や社会の非情を明らかにしつつ、家族やコミュニティの非力だが確かな思いやりと絆に希望をつなぐ点だ。

この「万引き家族」に、元々内包されていたが今のコロナの時代に観るとより鮮明になる要素があるとすれば、彼らを貧困状態に追い込む制度も社会も問題だらけだが、そうした状況を温存させているのは民主主義社会を構成する有権者の私たち一人一人という不都合な真実だ。コロナ対策で失態を続ける現政権だが、過半数の支持を与えてきたのは有権者であり、緊急事態宣言と活動自粛で経済を止めてコロナの死者より多くの自殺者を生み出すのもまた“社会の空気”なのだ。

万引き家族たちは可哀想だが健気に助け合って感動!ではなく、こんな社会を保つのも変えるのも自分なのだ、という視点を持ちたい。

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高森 郁哉

5.0曖昧な境界線に立たされる人々

2018年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

家族とは何か、という問いはあまりにも多くなされているものだが、是枝監督の描く家族は常にその存在に揺らぎがある。家族であるかどうかギリギリの線を常についてくるというか。それによって家族とは何かという輪郭を浮かび上がらせる。家族であることが自明ではない共同体が、家族としてもし機能するなら、それにはどんなことが必要なのか。
『誰も知らない』の母親は子ども達を見捨てたが、なおも彼らは家族であるのか。『そして父になる』は育てた子どもが実は血のつながらない他人だった、それは家族であるのか。あるいは『ディスタンス』で浅野忠信が演じた元新興宗教団体の信者は、教祖はお父さんみたいな人だったと言う。家族と単なる共同体の違いはなんだろうか。
経済的困窮という理由で一緒に暮らす本作の家族は、ふとしたきっかけでバラバラにされてしまう。彼らは家族だったのか、ただの共同体だったのか。問いに答えはなく、監督は見つめるのに。安易に答えを出せないことが監督の誠実さの現れだ。

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杉本穂高

3.5みごとな演技、みごとな映像。

2018年6月30日
Androidアプリから投稿

多くの人が口をそろえて言う通り、安藤サクラはすげえなあ。ほかのキャストもツワモノ揃いでみごとだと思う。ただ、どこかに作品が、セリフのひとつひとつが、演者に頼りすぎているような違和感も覚えた。世の中から見向きもされない人たちに光を当てている意図はわかるのだが、さすがに名演技に、映画的なロケーションと撮影に、役者そのものの魅力に負い過ぎてはいないだろうか。例えば風俗に通い詰める聾唖の男性が池松壮亮だと分かったあのシーンで、自分は引いてしまった。あそこにナイーブ風な男前が現れてしまった時点で、見栄えのいいファンタジーになってしまっていないか。それが映画だもの、と言われてしまえばそれまでだが、社会的に阻害されている者を描くには作品自体がカッコよすぎないか。好みの問題でしかないかも知れないが、どこかしっくりしないものを抱えて劇場を出ました。

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村山章

4.5日本の貧困ドキュメントをエンタメ作品に昇華させた是枝監督屈指の名作

2024年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

泣ける

知的

難しい

邦画界では知る人ぞ知る、是枝監督。監督の作品は数多く観賞しているが、是枝作品で何を観るべきか?と問われれば、間違いなく、本作を推す。
監督の作品の魅力は、一言で言えば、儚さの中に美しさということにあると思う。
ドキュメンタリー出身ということもあり、貧困問題などを扱うことも多いが、本作は単なる貧困ドキュメントにとどまらず、エンターテインメントとして昇華させた傑作である。

万引き家族は、実際にあった貧困のドキュメントをもとにしたもの。兵庫県在住の自分にとって、題材となった万引き家族というテーマは、もはや他人事ではない。実際に万引きを家族単位で行っているという事例は、決してフィクションではない。ショッピングモールで家族ぐるみで万引きを行い逮捕されたもの、ベビーカーを使って万引きを重ねた母親と、万引きによる事件の報道がある度に、本作が日本のリアルを描いていることを考える機会となる。

主人公となるのは、年金暮らしの祖母の元で暮らす息子夫婦たち。団地に行けば、そうした世帯は決して珍しくないが、ドラマや映画などで描かれることは少ないように思う。スポットライトを浴びない人たちに光を灯すことができるのは是枝監督の器量であると考える。

高齢の年金暮らしの母を頼るのは、息子役のリリー・フランキー。リリー・フランキー氏と言えば、イラストなどのイメージが強かったが、役者としても魅力がある。特に年齢を重ねるたびに深みが増している。ただ、彼の実年齢を考えれば、”息子”という言葉に無理があるように思えたが、そうではなかった。
県営や市営住宅で、高齢の母親と暮らす息子というのは、実際のところ、決して稀有なものではないし、蓋を開ければ、高齢の母のもとで、定職に就いていない中年の息子が暮らしているというのは、もはや、レアケースではない。格差社会は年々進行している。こうした家族像が周知されなければ、行政の見落としは加速するだろう。

そして、彼に付き添うのは妻役の安藤サクラ。年齢が離れている分、年齢差を埋めるような演技が求められる。子どもがいないことへのコンプレックス、コンプレックスが生んだ、ねじられた愛情。二人が、なぜ、関係を持ったのか、彼女たちの演技に集約されていたように思えた。
安藤サクラという役者は、セリフなどでは表現できない含みを持たせたものを演じることに長けている。熟練の演技に触発されたのか、松岡茉優の演技もよかった。ふわふわとした空虚で、満たされない女性像を好演したと思う。
子役の城桧吏、佐々木みゆも好演。親の影響で悪事をする城桧吏には、悪いことをする野蛮さだけではなく、そこに悪気だけではない子どもらしい好奇心もあった。もしも他に愉しいと思えることがあれば、万引きをしただろうか。児童の犯罪を考えるうえで、重要な描写である。
佐々木みゆの幼さゆえの危うさ、不幸な生い立ちからくる不安定な感情が見事。何かに巻き込まれそうな少女像という点が完ぺきだった。
偽物の家族が過ごす時間は、偽物であったはずなのに、時に楽しく、美しく、本当の家族よりも愛と絆に溢れているものだった。この辺りの表現が、貧困ドキュメントをエンタメ作品に昇華させた一因であると言えよう。

物語の終盤、少女の誘拐が世間にバレて、捕まるシーンは心臓が震えた。日本の貧困問題、格差社会の何が問題なのか考えるうえで、表層的な調査や数値では浮かび上がってこないものがある。
悪いことばかりの家族たちだったのに、ただの不幸の連鎖と思えたのに。なぜか、単なる悪者というレッテルで片付けるにはあまりにも乱暴な行為であると思えた。それだけでも本作は一見の価値があると言えるだろう。

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伊吹しん

4.5呼吸の仕方を忘れさせる

2024年4月21日
スマートフォンから投稿

観ている間、マ王は息をしていたのか🤔
そう感じさせるのが是枝裕和監督の「万引き家族」である😐
映像の全てが汚れており雑巾で拭いても汚れが伸びるだけで決して綺麗にはならない😶
ただ少しだけでも綺麗にしようと劇中の人間は行動するのだが、逆効果にしかならない💦
マ王はその空気を吸いたくなくて呼吸を止める😟
切ないくらいの人間の優しさを別の角度から見れば理不尽とかアンモラルとかで縛られてオシマイ😑
ルールから一番遠い本能がこの家族を支えている用な気がした🥲
生きる為、生き残る為に結果を考えず行動するのは人生への正当防衛ではなかろうか?
悪人と断じてしまうには痩せ細ってしまったコミュニティが選択を誤り続ける先に待つのは······

と小難しく書いてはみたが純粋に面白く観れました😁
マ王は唯一、日本で樹木希林という女優の演技を見るのだけが楽しみだった😐
映画「半落ち」の彼女の演技だけでマ王は涙腺が決壊した経験がある😫
どんな映画でも樹木希林が出てるだけで邦画だろうとキリッと締まるのよ✨
今作でも彼女の存在は大きい😬
特に海水浴場でのシーンでの樹木希林は凄いね😳←観た人なら何の事か判ると思うけど
しかし「万引き家族」って内容の褒め方が掴めない💦
実は初観はU-NEXTだった気がする(アマプラではない気がする)
その時の衝撃が強すぎて(あまりにも物語が面白くて)評価の仕方が判らなくなったのを覚えてる🤔
ストーリーを支える俳優陣も個性派揃いだからケチでも付けようものなら石を投げられる😵‍💫
そもそもケチが見当たらないし🙃
アンチ邦画のマ王だが最近の邦画は期待に応えまくっているので逆の意味で気に入らない😑

映画館での鑑賞オススメ度★★★★☆
評価の仕方の難解度★★★★☆
マ王のアンチ邦画度★★☆☆☆

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マ王

4.0リアルな演技力

2024年4月21日
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鑑賞方法:TV地上波
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りい

2.0海街ダイアリーをもう一度

2024年3月11日
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せせり

4.0貧困と断絶

日本社会の家族の断絶、お金だけの父親、家事と子供教育の全てを担う専業主婦、役割分担と言えば聞こえはいいが、何故か不公平な感じが?、良く考えてみれば、お金だけで偉そうな人間は下品で、お金にならなくても、人のために働く人は貴く見えるのは道理ではないか?当然、それに気付けば、精神的負担、離婚、貧困に。そういった古い家父長制や男尊女卑に子供が疑問に思えば、家族と価値観が合わない、全ての人が家庭の中でも、社会の中でも、自分が関わった全てに責任をもてれば家庭、公共の場も汚れることは無いのではないか、負担の平等の実現。汚す人間は不遜で未熟で下品だから人任せ、他人任せだから家庭でも公共の場でも汚す。登校拒否や引きこもりは、建前の平等と現実の不平等に、気付いてしまうからでは、いじめは、そのクラスの平均的な主流派、優秀でもなく、平均以下でもない、他人に依存している横並びの特徴がある、あくまでもいじめ以外には主体性はなく、主流派の平均的な価値観に依存している、容姿、気質、成績、運動の優劣が目立つことが対象で、家庭の中で古い価値観に疑問を持たない平均的な人間。できるだけ多様性と個人と個性を尊重する社会を、個性的で優秀な人材を社会全体が正しく評価すれば平均的ではあるが改善実行能力のない無能な政治家を選ばなくなるのでは、多数決や民主主義に?

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全国連加盟国不可侵条約締結、武装中立主義、多様性男女平等自由主義、5名作4良作3いい作品なので他は2以下です。

3.5彼らの生き方をリアルに再現

2024年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

今の時代の価値観とはズレている柴田治(リリー・フランキー)と、そんな治を好きな信江(安藤サクラ)の営みのシーンが印象的。
祥太(城桧吏)と途中から追加する女の子が、本当にそこで暮らしているかのように見えるのは監督の力量だろう。
亜紀を演じる松岡茉優さんと初枝を演じる樹木希林さんは魅力的で、何も考えず見ているだけでも楽しい。
彼らの言い方接し方、暮らしは実際どうなのか、覗き見するような映画。

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Don-chan(Daisuke.Y)

3.5偽装家族の本当の繋がり

2024年2月9日
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鑑賞方法:VOD
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ゆかした

4.0底辺だけど

2024年1月1日
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プライア

4.5コメンタリー込みなら★5

2023年11月25日
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鑑賞方法:DVD/BD
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つとみ

5.0是枝イズム

2023年11月19日
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泣ける

楽しい

封切り以来久しぶりに映画館のスクリーンで観たけど、やっぱり良い映画は良い。
最初に観た時よりも、今回また観て素晴らしさが募った。

ムダの無い、減点主義の評価だと減点ポイントがない是枝監督の真骨頂な作品。

キャスティングもお見事で、リリー、安藤さくら、樹木希林、松岡茉優、子役たち、全員100点満点。
作風自体にも、俳優さんたちの演技にも、2時間ずーっと見入ってしまう魅力がある。

20231118 新文芸坐

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デビット・ボーイ

4.0心の葛藤模様がリアル

2023年9月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

終盤まで感じる妙な違和感。
所々ヒントは出ていて、何かがおかしいんだろうなとは思っても、何がおかしいかは最後の最後になるまで分からない絶妙さは凄かった。

各々が正しいとまでは思っていなくても、何か信念のようなものをもってそれを貫いている。
正しさだけでは生きていけず、そこに幸せの定義も出来ない。そんな現代のリアルさを突きつけてくる作品でした。

しかし、それは大人目線の話。
子ども目線ではまた違うように映り、葛藤し、もがいている大人と子どもの対比も見事だと思った。

とはいえ、自分の親族にこんな家族がいたら距離を取ってしまうだろうし、どこか他人事でありファンタジーだと思ってるから観れるのだとも思った。

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りく

2.5生き方はそれぞれ

2023年8月16日
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悲しい

知的

難しい

本当の家族では無いけど家族らしく感じました。本当の家族の方が問題を抱えているケースもありますよね。
万引きはどんな理由があってもNGです。人を助けようと思う人は、商品やサービスを与えるのではなく、自立できる方法を教えたほうが良いので愛だけで片付けないで欲しいです。

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くいしんぼう

4.0お金と幸せ

2023年8月5日
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泣ける

良かったー!警察の尋問シーン、もしこれが現実でニュースで一部始終を知ったなら私もあんな目で安藤サクラを見るんだと思う。家族っていうか集団って外と中じゃ全く違うよなぁ。リリフラにとって祥太は自己肯定のための自己投影だったのかなぁ。そう思うと祥太が全う(?)になっていくのが余計切ない。だんだん母親になってくお母さんと呼ばれない安藤サクラと進まないリリフラ。おじさんに戻れるのかな。考えさせられる

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ぽぽ

5.0手放しで評価できない愛の形

2023年7月18日
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Kana

5.0すき

2023年7月11日
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nemo

4.5生活の音

2023年6月10日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

難しい

幸せ

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hiwa

5.0法を超えた愛

2023年5月31日
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噛む犬