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◆ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

令和の世に唸りをあげる昭和テイスト。感じろ、チャンピオンまつりの"魂"継受を!!
  数億ドルに及ぶ巨額と高度なメイキングによるゴジラ映画が、どれほど壮絶な視覚体験を提供してくれるのか——? これは日本の怪獣ファンが抱く共同幻想だ。先述がもたらすであろう洗練さと迫真性こそ、我が国のスーパーキャラクターに与えられる当然の権利として、我々はゴジラにハイブローなハリウッドナイズを望んできた。前回の「GODZILLA ゴジラ」(14)は、まさにそんな希求を満たす快作だったといえる。

  いっぽうアメリカ人にとってゴジラは、感性の違いや輸入背景から、どこかキッチュでポップな存在として浸透していった面がある。「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は、この欧米感覚にも寄り添い、アッパーなまでに娯楽主義を徹底させたものだ。また国内の年配者やマニアには、オリジナルを再編集し、特撮ドラマやマンガ映画(TVアニメ)を併映とした「東宝チャンピオンまつり」のゴジラ映画と同じ薫香が鼻腔をくすぐるだろう。そう、資本や技術が尺度ではない。向こうの映画人が日本の怪獣文化を熟知したうえで、このプロジェクトに臨んだことがありありとわかるのだ。

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  東宝特撮映画のスター怪獣を動員した今回は、複数のモンスターアタックや各々の登場スタイル、そしてライトモチーフとなる音楽に至るまで、誰もがゴジラ映画に覚える定石や約束ごとを逐一カバーしている。そのイメージはことごとくパワフルさ倍増しのアップデートがほどこされ、どれも興奮で血が逆流するほどに素晴らしい。挙げるとキリがないが、特に衝撃波で街を破壊するや、戦闘機を撃墜しながら海面スレスレを滑空し、キングギドラに猛襲をかけるラドンの飛翔シーンは本作トップを誇るだろう。またゴジラの熱線にギドラの反重力光線が絡み合うなど、海外のモンスタームービーでは稀有な光線バトルが鳥肌を誘う。日本の平成ゴジラシリーズでこれを追求してきた、川北紘一特技監督が存命ならば目を細めて賞賛したのではないだろうか。

  加えて怪獣を手札とする人間ドラマが、作品に有機的に作用する。対ムートー戦がもたらした混乱によって家族の絆を絶たれ、新たな試練を通して再生へ向かおうとするラッセル(カイル・チャンドラー)一家の苦境や、過去の重要な某ゴジラ作品を転義させたような芹沢博士(渡辺謙)の決断など、注目すべき要所は多い。そしてなぜ怪獣たちがこの地球に存在するのか、そしてゴジラが怪獣王と呼ばれるのか、本作はこれらを見事な説得力の描写で定義づけていく。

  ゴジラ映画のレガシーを余すところなく継受し、さらなるモンスターバース(怪獣宇宙)の拡大をはかる「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」。令和という新元号時代を迎えた今、ここまで昭和感覚に満ちたゴジラ映画が展開されるとは(しかもハリウッドで)、いったい誰が想像し得ただろう!?

(尾崎一男)


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