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◆ダンガル きっと、つよくなる

インドの頑固親父と強い娘たちが心を震わせる、熱いメッセージ満載映画
  もしスポ根・家族愛ドラマで心が震えるような感動と面白さを味わいたいなら、実話を元にしたこのインド映画は間違いなく最適だ。「きっと、うまくいく」の品質保証スター、アーミル・カーン(製作・主演)の面目躍如。インド映画史上、世界興収No.1というのも大いに納得である。

  アーミル演じるマハヴィルは、レスリング(=ダンガル)の国内チャンピオン。生活のために選手生活を引退した彼は、世界制覇の夢をわが子に託そうとする。ところが、生まれてきた子は4人とも女の子ばかり。ガックリするマハヴィルだったが、ケンカで男の子をコテンパンにした長女と次女を見て決意する。この娘たちに夢を叶えさせるぞ、と。

  「ベルサイユのばら」のオスカル父、ジャルジェ将軍と同様の決断をするこの熱血男、キャラクターはまるで昭和の頑固親父だ。「巨人の星」の星一徹を思わせる、容赦ないスパルタ猛特訓を娘たちに強いるのだ。冒頭、ひきしまった筋肉美を披露したアーミルは、でっぷり腹肉を溜め老けていく様子を肉布団に頼らず見せている。つまり実際に27キロ太り、また5カ月で27キロ痩せたという(!)。なんという役者バカ。

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  姉妹を演じる俳優たちも本気でレスリングを習得し、それが作品のパンチ力に。父に坊主頭にされても叩きのめされても「なにくそっ!」と頭を上げる姉妹がかわいくて、前半は少女の成長物語として楽しい。猛特訓のモンタージュに「パパやめてよー、私たちの体が壊れちゃう」みたいな歌詞のポップな音楽が被さるなど、ユーモアもばっちりだ。

  ここで思い出さなくてはならないのが、舞台が女性への厳しい因習が根強いインドだということ。自分の夢を子に押しつけるなんてエゴでは、と疑わせた父は、もっと深い思いを抱いていたことがわかる。娘たちが闘うべき敵は自分自身であると同時に、女性を低く見て可能性を封じ込めようとするインド社会そのものなのだ。

  日本の昭和に似た感覚、大映ドラマのようなメロドラマ性、ポップな音楽、愛すべきキャラクターとその熱、実話をわかりやすくした脚色、シリアスな社会的メッセージ、燃える父性愛と姉妹愛。これらがすべて、うまくいっている。姉妹の恋愛話なんて出てこない。実話だから結末はわかっているのに、白熱した試合シーンが生むスリルとカタルシスが気持ちよく泣かせてくれる!

  抑圧されたインドの女性たちが闘う姉妹を見て、どんな思いをわき上がらせたか、どんな勇気をもらったか。それを思うとさらに胸アツ、幸せになれるのだ。

(若林ゆり)


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