劇場公開日 2018年2月10日

  • 予告編を見る

「紛争国に対し周辺国ができることとは」ロープ 戦場の生命線 とえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0紛争国に対し周辺国ができることとは

2018年2月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

面白かったなぁ〜
久しぶりに観たティム・ロビンスのボケ担が良かったなぁ
紛争地帯だからこそ、笑いが必要なんだと思わせてくれるキャラクターだった

1995年のバルカン半島で起きていた紛争に停戦協定が結ばれる

そのとき、ある村の井戸に殺された男の死体が投げ込まれていて、腐敗し始めていたため
NGO団体の「国境なき水と衛生管理団」が死体の除去に向かうが
死体を引き上げている最中にロープが切れてしまう

人間は水がないと生きていけない
だから、上水道がない国々の人にとって、井戸とは「命の源」である

その井戸の汚染を除去するということは、その地域の人々の命を救うことになる

そのために、そのNGOでは、プエルトリコ、アメリカ、フランスなどいろんな国の技術者が集まって、試行錯誤しながら汚染を取り除こうとするのだが
様々なところから、想定外の妨害が起きてうまく取り除くことができない

なぜなら、この紛争の根っこにある民族間の対立は
井戸に投げ込まれた死体のように肥大化し、腐敗しており
他国から来た人たちが必死になって、その差別や偏見を取り除こうとしても
上から井戸を覗き込むような
ただの高みの見物でしかない

それでも、様々な障害を乗り越え、人の命の犠牲の上で、ようやく手に入れた希望の命綱をたらし
あと少しで汚染を取り除くことができると思っても
その命綱は、彼らの目の前で無残にも切り取られてしまう
それも、国連軍の手によって

かと言って、周り国々の善意が紛争地帯に対して全く何もできないわけではない

時には不当に捕虜にされた人たちを救い、詰まった下水を直す日もある
それだけでも、彼らにとっては「素晴らしき日」なのである

そして、奥底の深いところで腐ってしまった人種間の対立も、いつか彼ら自身が自分たちの力を合わせ、取り除くことができる日がやってる

周りの国々は、その日が来るのを辛抱強く待つしかない

面白かったのは、国連軍は邪魔者でしかなく、分析官は何もできない役立たずでしかなかったところ

現地の人たちが求めているのは、軍事力よりも、技術力なのである

とえ