カメラを止めるな!のレビュー・感想・評価
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2018年の話題作品
2018年、世間ではこの映画が面白い!と話題になっていたが、出産&子育て真っ只中で映画鑑賞どころではなかった私。
2年経って、やっと鑑賞。
見た目はえらい安っぽいなと思いながら、誰のレビューも読まずに観た。それが正解だった気がする。
最初の3、40分、もはや苦痛。そもそも、ホラーやゾンビ映画にほぼ興味がない私なので、お話の内容にうんざりしていたところに、女優の甲高い悲鳴が続く。
やめてくれー、、、っとストレスフルになりながらどーなるのよこの映画は!!って思ってて後半戦スタート。
後半がなかったらもうどえらい感想を載せるところでしたが、後半の内容が今まで見た事のないものだった。観賞後、他の方のレビューを観ると過去に同じような物があるとか書いてる人がいて、ほーそれはどんな映画?と気になるくらい、私的には新鮮だった。
あとは、映画を作る側をこんな風に観たこともなかった。ゾンビ映画のように殺したり、血飛沫あげたりってシーンはどのように作られるのかを初めて知り、改めて映画って写ってる俳優だけでは決して出来ないと言うことがよくよくよく分かる。
裏方の人間が動き回って、技術と映画への愛情を注ぎ込みながら映画は出来上がっていることを改めて知る。
今後の映画の見方が少し変わりそうなくらい、裏方のスタッフ達のことを感じ取れたのはとても良い経験でした。
そういうところも含めて楽しませてもらった。
最高!傑作!とも言えないし、駄作とも思わない。
2020年記念すべき100本目。
新しいタイプの映画を観られてよかった(*^o^*)
途中で見るのを止めるな!
最初、あまりのつまらなさに何度も見るのを止めようかなと思った。我慢して見ていたら、えっ?これで終わり?となって、評価を★一つにしようと思っていたら、まだ続きがあったんですね。見るのを止めなくてよかった。
最初のゾンビ映画は触りで、本題はその後のメイキングにあったんですね。監督の大変さ、映画作りの面白さが分かる作品でした。
おもしろい。けど、、
世間の熱狂も今は昔!特に話題にも挙がらなくなったこのタイミングで見ました(笑)2018年の超話題作!
冒頭ワンカットの38分。「ワンカットなんや、スゲえ!」よりも、俳優さんたちの演技の下手さやスタッフの仕事の拙さが浮き彫りになる展開になかなかうんざりしていました。「メイク役の人中心になんでこんなに演技下手なん?」「なんでセリフのやり取りに変な間があんの?」「なんで途中から画面酔いするぐらいカメラワークがブレるの?」「なにこのわざとらしい叫び方?」「なにこの最後の白々しいループやり取り?」的な感じで。。ただ、これが最後30分で答え合わせをするがごとく、裏事情が見せて、理由がピタッとハマっていくのが、小気味よくて楽しかったです。冒頭でのうんざりポイントが最後に笑いのポイントになるという展開は、おもしろい発送でした。
癖のある役者、かき乱される展開、その中でなんとか奔走するスタッフ、シーンの引き伸ばし、途中から薄々感じてましたが、これ「ラヂオの時間」の映像版ですね(笑)
ただ、世間があれだけ熱狂するほどのおもしろい作品かと言われると、まあそこまでではないかなという感じです。。
合う合わないがあるのは誰のせいでもない
開始5分時点で笑えるかどうかで、合う合わないが分かると思う。
開始5分くらいに『無駄な』長回しに気付く。この長回しに気付いた時に笑える人はそのまま最後まで笑えると思う。そこで「だから何?」と思った人は最後まで観ても大して面白いとは思わないだろう。
長回しで映画を撮るのが難しいであろうことは、映画を撮ったことがなくても分かる。一つのハプニングでカットが丸々撮り直しになるのだから。その長回しが『冒頭から意味もなく続いている』という馬鹿馬鹿しさ。そこに苦笑に似た笑いが起きるか否か。それで好き嫌いが別れると思う。
苦笑した人はギネスにチャレンジしている人を見守るような気持ちで苦笑まじりに前半を観られるかもしれない。でもそうじゃなかった場合、かなりの苦痛を伴うのではないだろうか。前半部分が苦痛だった場合、後半でもカタルシスは得られないだろう。まあそこは合う合わないだ。
ということでこのレビューは、私には合っていた、というだけのことなのだ。
もう少し工夫が
この映画のテーマは、「こだわり」だと思う。
与えられた命題に対してやり遂げること自体が難しいのだろうが、映画というエンターテインメントの結末としては、「やり遂げる」だけではパンチはなく、やり遂げたことの評価が必要だったと思う。
私は素人なので、生放送でカットなしの番組を作ることの難しさは分からない。
組体操みたいにして、人間三脚みたいなことが、珍しいことなのかも分からない。
難しさを共感できたのは俳優たちの勝手な振る舞いくらいだろうか。
それとて、社会生活一般の中で、個性のある人は多いのだから、目新しいことではないが。
映画の観客は、スパイになったことのない人がほとんどだし、男性客は女性の恋愛、女性客は男性の恋愛は体験した事はない。
それでも、アクション映画やロマンス映画で共感できるのは、ストーリーの中で、登場人物が迎えて、最後には克服する困難の問題設定とゴールが表現されるからだと思う。
手品にタネがあるように、映画にもタネがあるのだと思う。
この映画は、タネが弱いと思った。
挑戦的な映画!
始めははゾンビ映画を撮影している様子を撮影している映画か?と全く面白みを感じなくて、所々不自然な様子があってなんだこれ?って感じでした。
最初の違和感は、監督が撮影現場の真実を話そうとした大事な場面で、急にスタッフが割り込んで外に出ていってしまったとこ。その後も監督がカメラ目線で、カメラは止めるな!と言ったり、画面が地面に固定されたり、違和感だらけ。
後半ではその違和感の正体がどんどん明かされていって、そんなトラブルがあったからか!と納得。
この映画の凄いところは前半部分をノーカットで撮影したとこ、後半では前半部分の違和感を回収していって斬新な映画でした!
この映画を批判している人もいるみたいだけど、ゾンビ映画と勘違いしているのかな? ゾンビは全く関係無くて、前半の違和感が後半で面白おかしく回収されるとこに面白みがあると思うけど。
ワンカット撮影だけでも十分凄いけど、伏線回収も面白いです。
面白かった点
・監督の女優に対する演技指導、お前の演技は嘘だらけなんだよ!のセリフはマジで怒ってると知った時は笑えた。
・腹を壊したスタッフが監督が重要な話をしている時に立ち上がって、唐突すぎた。
・娘が途中から撮影に参加して陣頭指揮を取り始めたとこ
・最後のシーンをちゃんと撮影したいと監督の撮影に対する強い思いが感じられた。
上層部には何の影響もない作品
ワンカットで撮られたゾンビ映画、という前半部が、後半部のさまざまな伏線になっているのは斬新だと素直に思った。
ただ、それの収まりが良すぎた、なんというか、良い子の映画に感じられたのは何故だろうか。
色々なトラブルに主人公が巻き込まれる楽しさ、それを克服する家族の力、は面白い。
でも、あの製作陣の上層部のおばさん(どんぐりさんだっけ…)に、何の影響もない映像を主人公が作ったのだと思うと、映画による、「ひとときの」青春映画、家族映画に感じてしまう。
きっとこの後も、この劇中の監督主人公は、上層部に逆らえない形で映像を作り続けるのだと感じた。
自分も少しだけ学生映画を作ったことがあるので分かることだが、意外と現場の「状況」が、作品構成上に影響を及ぼすことがあることを知っている。
前述のことから感じられるのは、製作陣への、監督(今作の)の配慮だと思う。
何が言いたいかと言うと、映画の力とか、そういうことを述べるならば、何故に腐った上層部まで影響を及ぼすような、(破壊的な)映画にしなかったのだろう、と、かなりそれが心残りな映画だった。
ホラーと笑いは同じもの!面白さを存分に出した怪作
劇中劇中劇の面白さを存分に出した怪作ですね。
事前情報から劇中劇中劇なんだろうなと思ってそれを見越して見てましたが、それでもなお面白い。ネタバレがダメというわけではなく、ネタバレ込みでも十分面白い。
・ワンカットオブザデッドの方で僕らが見ている映像はその場にいるカメラマンが撮ってるのか、そうではないのか途中から分からなくなってくるのですが、それは意図されたものだったんですね。カメラマンがこけて以降、演出のダサい感じになってる設定だとは。
逆に手持ちカメラ感が出て良かった面もあります。ただ、普通の映画ではカメラマンがいて撮ってるという設定にしないと無理ですね。
・カメラマンが草むらでズッコケタのは、実際の本物のカメラマンが本当にズッコケタっぽいですね。
・変な世間話をしているシーンとか謎の怪我がなくて大丈夫というシーンはトラブルがあったときのアドリブなんだけど、見てる側は意外にふーんと思える。そういうギリギリの尺が絶妙。
・序盤の監督激おこは、劇中的にはマジモンってのが笑える
全てが複雑に交差していてすごく面白い。こんな作品作れるって素晴らしい。
「カメラは止めない」に隠されたもう1つの意味
話題作になっていましたが、観る前はいまいちこれがヒットしたということがわからず、試しに的な感じで見てみたのですが、大当たり!
完全に騙されました。まさか
騙される系映画だとは思っていませんでした。
前半は全然話の内容が無くて、尺が持つのかがとにかく心配でした。
謎な部分も多すぎて、レビューが大変になりそうだと感じていたのですが、前半のエンドロールで役者さんの名前がなかったことで気づき、後半からは一気にコメディ調に。
伏線回収が進み、前半に謎だった部分が次々と明らかになる、それもトラブルによる奇跡によって。
何回も何回も笑わせてもらいました。
最後全てが完成した時には、拍手したくなるようなうまい作りでした。
後日、スピンオフも観たいと思います。
確かに、この手の笑いはかなり好き嫌い分かれるところだと思うので低評価が多いのもわかりますが、僕は高評価です。
また、出演されていた役者さんの今後も期待です!
カメラ酔いが凄く、休憩しながら30分ずつ観た。 確かに構成すごい。...
カメラ酔いが凄く、休憩しながら30分ずつ観た。
確かに構成すごい。様々な出演者達の個性が伏線になっていて、最後30分で一気に回収・解決されていくストーリー。
酔い無しで観たかった…
楽しめる側で良かったです。
批判する方々の内容を見て、気持ちのわかるレビューと全然わからないものがありますが、わかるレビューの多くは映画を良く知っている人なんだなと思いました。
自分自身映像系の学校に通っているのでたくさんの映画を見ます。なのでこういう前半のネタバラシを後半でするという手法は他の映画でも見られるので、すぐに予想がついた、など伏線がわかりやすいなどという感想は確かに今になってそうだなと思うのですが、僕は始めの三十分を真剣に観すぎて時間感覚がおかしくなり、ワンカットの後のエンディングが流れた時。あれ?分かる人には分かる映画なのかな?ワンカットというのがすごいのかな?
あのハプニングっぽいのは何?など色々疑問があったまま終わってしまったと思ったのですが、まさかの過去に戻ってネタバラシをしてくれる、あそこのハプニングはそういう裏があったのかなど、シンプルに自分がバカのおかげですごく楽しめました。
この映画がきっかけで映画を撮る側の撮影現場などにすごく興味が出ましたし、300万の制作費でこのヒット!
日本の映画の多くは有名俳優女優を使った作品が多いのですが、無名ばかりを使ってこれだけヒットしたのはすごい…と自分の将来にも少しは希望が見えたりして、その点でもすごく面白いと感じました。
この映画を面白いと感じれる人はまだまだ映画を見るべきだと思いますし、めちゃめちゃ幸せな人だと自分を含め思いました。
これは話題になるのも分かる
いやー、めちゃくちゃ面白かったです。
ほぼ前情報なしで見ました。ネタバレがご法度の作品だったこともあり、テレビでもネットでも視聴済みの方々がネタバレを避けてくれたおかげか、あれだけ話題になった作品にも関わらずネタバレ無しで観られたのは幸運でしたね。これは事前知識無しで観る事を強く強くオススメします。
【※注意・以下ネタバレ全開で話します。】
序盤の劇中劇、明言はしていないのに「これは劇中劇です」とハッキリ分かるような作りになっていて、これが映画後半への布石となっていますね。劇中劇だと理解した上で見ていると、色々な違和感に気付きます。不自然に長尺なシーンがあったり、台詞がしどろもどろになったり、カメラがやたらと揺れていたり。「ワンカットで撮影しているから仕方ない」と、そういう違和感も受け入れつつ見ていると、最後に「ワンカット・オブ・ザ・デッド」とタイトルとエンドロールが流れて劇中劇パートは終了します。
後半は時系列が一ヶ月前まで戻り、劇中劇「ワンカット・オブ・ザ・デッド」ができるまでの舞台裏が流れます。冴えない映像監督である日暮が「ワンカット生放送のゾンビ番組」という無理難題をテレビ局から提示され、断りきれずに承諾してしまいます。クセの強い出演者や家族に手を焼きながらも撮影本番。多くのトラブルに見舞われながらもワンカット生放送の撮影を行い、やっとのことで撮影を乗り切る様子が描かれます。このワンカット撮影の舞台裏を見せられることで劇中劇パートで感じた違和感や不自然さが「こういうことだったのか」と納得できてしまうというストーリー構成になっています。失敗が許されないワンカット撮影でここまで緻密に計算された撮影を行なえるというのは、製作スタッフの方々の技術の賜物でしょう。圧巻、天晴れです。
緻密な脚本・計算され尽くしたカメラワーク・俳優陣の「違和感ある演技」を演じる実力。
どれをとっても素晴らしかったです。
何故こんな素晴らしい映画を劇場で観なかったのか。今になって後悔しています。
でも、観れてよかった。面白かったです。
あ、そういう映画だったんですね
普段よくホラー映画を鑑賞する私はゾンビ映画が特に好きなジャンルの1つです。アイデア1つで本格的なホラーや、B級コメディ、アクションと幅広い解釈を持つのも魅力の1つだと思います。
余り考えずに邦画版B級ゾンビ映画として鑑賞を始めた本作は前半部分見るに耐えない作品だと思いました。
一匹で襲いかかる全く怖くないゾンビにメチャクチャな脚本、ガバガバな演技と三拍子揃った駄作だと思い観るのをやめました。
しかし、あれだけ世間で話題になった理由はなんだろうと立ち止まり、レビューサイトを閲覧し!てみると、どうやら話はその後が重要ということがわかり、渋々鑑賞を再開しました。
すると、本作はホラー映画ではないことがわかりました。「あ、そういう映画か」と我に返り、純粋にコメディ映画として観てみると、これは中々面白い。まるで「ウォーターボーイズ」や「スイングガールズ」を観たときのような感覚に襲われました。
本作をこれからご覧になる方々はくれぐれもそこを履違えないように。コメディ映画です。
ポンっ
最初は、内容からして受賞しそうな映画だと思って
斜めに見てた。
昨今の映画離れへの対抗とか、
裏方さんへのスポットライトとか、
評論家や内部に受けが良さそうに見えた。
でも、全然違ったね。
最初の30分長回しのシーンで、
ノーカット?でゾンビ映画になってて凄いと思って。
ノーカットの最中で、急に。
誰に向かって「カメラを止めるな」って言ってたのか
唐突に護身術の世間話してたのは何故なのか、
あからさまにカンペ見てるのは何故なのか
残りの1時間ちょっとで、
ネタバラシのメイキングがあるんだけど、
ネタバラシ後に、これでよく30分長回しが出来てた、凄いってなって。
最後のエンドロールで、本当のメイキングが流れて、
実は何度も撮影してるのか、凄い、ってなった。
だって、メイキングをおさめてる、カメラマンと監督がいるって事だからねー
あ、これが映画関係者の思うツボって奴ですかね。
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自宅にて鑑賞。監督・俳優養成学校“ENBUゼミナール”の『シネマプロジェクト』第七弾として製作され、単館六日間の先行上映が評判を呼び、あれよあれよと瞬く間に拡がると、内外の各賞を総なめにするする正に'18年の邦画を代表する大ヒットに大化けした作品。鑑賞ポイントとして最近やたら取り沙汰、言及される感のある伏線回収のお手本の様な仕上がりで、常々映画製作や現場の裏側に興味がある自分の様な人間には打って附け。意外に理詰めな作りではあるものの、繰り返しにより成立するプロット故、地味に写る印象は否めず、万人受けするかは疑問。75/100点。
・本作は前半・後半に分かれているが、大きなネタバレをすると、この二部構成は本篇と(撮影直前から撮影時迄の)準備・メイキング(舞台裏)によって成立しており、その対比とギャップによるズレが最大の魅力である。妙に間延びした科白回しや不思議な空気が支配する拙いシーン等は、当初から計算されているのが多く、全ては後半部で合点が行く作りになっている。監督によると前半のワンカット分は都合三回撮ったと云う。
・個性的で魅力的なキャラクターが配されているが、当て書きが多い様に思われる──作りとしては、或る程度のキャラ附けをし、前半のワンカット撮影後にその際のハプニング等の辻褄を合わせる意味で、微調整を加え完成したのではないだろうか。
・熱演と呼ぶに相応しい“日暮晴美”のしゅはまはるみ(主浜はるみ)は云うに及ばず、もっと前面に出て来るかと予想したが思いの外控えめだった“日暮隆之”の濱津隆之、アバウトで調子がいい“笹原芳子”の竹原芳子、代理店や制作会社にいかにも居そうな現場の責任者“古沢真一郎”の大沢真一郎、現代っ子特有を思わせる“山越俊助”の山﨑俊太郎、「よろしく~」が一際鼻に附く“松本逢花”の秋山ゆずき、只管メンツを気にする小難しい“神谷和明”の長屋和彰、「N●ォーム」 「N○ール」と云った某季節特化寝具CMの清水伸と見紛った“細田学”の細井学、他作『地獄でなぜ悪い('13)』でも似たタイプを見掛けた“松浦早希”の浅森咲希奈、他にも“山ノ内洋”の市原洋、“吉野美紀”の吉田美紀、“日暮真央”の真魚、“相田舞”の高橋恭子、“谷口智和”の山口友和……等々、ステロタイプを具現化した様な説得力を持つ適材適所なキャスティングがなされている。亦、役者名が登場する“役名”に捩られている事も多く、この点からも当て書きを窺わせる。
・演者と現場を支えるスタッフ、更にそれらを見守る者達をコントロールルームとクライアント達と云う二箇所に配し、劇中内に複数の客観性を持たせたのがユニークである。複数の客観的視点は、何が起きているのかと云うプロットを自然に説明させると共に面白味を増す二重の働きがある。現場でアドリブが暴走するドタバタコメディでは『ラヂオの時間('97)』を想起したが、客観的な視点を複数持たせた事で、本作がより滑稽さと深みを増した。
・ワンカメ・ワンカットをフルに活かした事を除き画的に特筆すべき点は見当たらず、やはり本作の魅力はその構成と文法にあろう。更に物語の縦糸に家族を軸として据えた事でラストカットも活きており、これがただ単なるスプラスティック・コメディに留まらない余韻を残す。使えなくなってしまったクレーンの代案を見せるラスト直前迄、現場のドタバタやワンカメ・ワンカットへの拘りを描き、そこから家族へと繋ぐラストカットはチームワークや人間愛と云う作品全体の纏まりを産み出し、独特の趣を残す事となった。そして諄い程の天丼ではあるものの「ポン」は、回数を重ねる度にウケてしまった。
・エンドロールで流れるメイキングにより、本当の意味での撮影現場の舞台裏が垣間見れ、味わい深い。ワンカットを謳う割に編集点を思わせ勿体無く感じたのは、草むらを追い掛けるシーンで画面がいきなり回転し、空が写し出される箇所──これは本篇内でも触れられている通り、カメラマンが転倒した為だが、エンドロールを観る限り台本に無い真のハプニングの様に思える。尚、本作の製作費は僅か300万円余りと云われ、興行通信社の調べによると、'18年12月5日現在で興行収入が30億円を超え、邦画興行ランキング6位にランクイン、洋画も含めた国内ランキングでも15位にランクインする快進撃を続けている。
・一台のカメラによる長回しと云えば、魅了される映像作家は多く、T.アンゲロプロスやT.ベーラ、A.タルコフスキー、M.アントニオーニ、S.キューブリック、JL.ゴダールを始めとしたヌーヴェルヴァーグの面々、A.カウリスマキ、P.T.アンダーソン、M.スコセッシ、R.アルトマン、W.ヴェンダース、B.デ・パルマ等々、書き切れない程多数で、我国でも溝口健二、相米慎二等が有名であり、近年では長回しの一種としての側面を持つPOV(主観撮影)と呼ばれる撮影法が、新たなジャンルとして確立する程の拡がりを見せている。かのO.ウェルズも『黒い罠('58)』の冒頭で長回しに挑戦した。特異な例としては黒澤明も延々と芝居を続けさせ、一つのシーケンスにおいて、複数のカメラを同時に回し、編集で繋ぐ撮影法を多用する事で知られている。舞台劇の様なハプニングや撮影時のミス、トラブルも含めたライブ感を、その儘フィルムに収めたい野心は映像作家としての創作意欲やチャレンジ精神を刺激するらしく、これに挑む映像作家は後を絶たない。
・フィルムのマガジンが10分程度しかなかったその昔、これをフルに回し切る直前に登場人物の背中や地面、空と云った風景等のアップや無理矢理カメラをぶらし続ける事でカットを繋ぎ、編集点を判り辛くシームレスに見せたまるで全篇ワンカットの様に錯覚する撮影法で、A.ヒッチコックが『ロープ('48)』を作った。この手法は、昨今では先程のPOVの撮影法に継承され、活かされている。亦、『SHOT/ショット('10)』やこれのハリウッド版リメイク『サイレント・ハウス('11)』、或いは『エルミタージュ幻想('02)』、『ヴィクトリア('15)』と云った(真偽の程は兎も角)全篇ワンカットの触れ込みの作品も登場し、中でも『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)('14)』が、オスカーを受賞したのは記憶に新しい。
・鑑賞日:2018年12月8日(日)
話題につられて期待値が高かったのもあるけど、 面白いけど期待してた...
話題につられて期待値が高かったのもあるけど、
面白いけど期待してた程ではないといったところ。
最初に何の説明もなく、映画の中の映像?を撮って、
その後に映像の製作風景を映すという作り方は良かった。
映画の中の監督のキャラの前半、後半の違いが
良い感じだと思った。
早い、安い、質はそこそこ
映画「カメラを止めるな!」(上田慎一郎監督)から。
あれ、この構成は以前に観た映画と似ているな、
が第一印象だった。(笑)
(最近、なかなか映画名が出てこないので、申し訳ない)
ただ表面の「30分以上に及ぶ長回し」のために、
いろいろ工夫している裏面を別のカメラで撮影している・・
ように見せているのかもしれない。(汗)
ホラー映画の撮影という設定なので、ドタバタと悲鳴は
覚悟していたが、あまりにもメモが少なかった。
その中で1つ選ぶとしたら、
「何でしたっけ、日暮さんのキャッチフレーズ、あれ」
「早い、安い、質はそこそこ」
これは、他でも使えるな・・と苦笑いしながらメモをした。
一流ではないから・・専門家ではないから・・を言い訳にするより、
「私の仕事のキャッチフレーズは、早い、安い、質はそこそこ、
それでもよければ、請け負いますが・・」と切り出せる。
言われた方がどんな顔をするか、それが楽しみとなる。
ふざけてるなよ・・と怒られそうだけど。
そしたら「映画『カメラを止めるな!』の名台詞ですよ」と
言い返せばいいかもなぁ。
駄作ではないが、高評価は内輪ネタ
まず冒頭30分のゾンビ映画部分ですが、あまりにもつまらなく苦痛です。
後半部分が前提の前振りであると知った視聴後でも、納得のいかない退屈さです。
「面白いゾンビ映画だけど、違和感がいくつもある」
これが理想だったはずです。
次に、ネタばらし裏方パート。
監督が急遽代役となり、主演役の若い役者2人に本音をぶちまけるシーンは面白かった。
キレる監督と怯える役者2人が演技じゃなくて3人とも素だったんだと分かり笑えて、主演役2人のワガママへ視聴者が抱いていた不快感へのカタルシスもある、とよくできたシーンです。
あれぐらいのシーンをいくつも撮れていれば面白い映画になってたと思いますが、その後は予想の範囲を超えないただの答え合わせのような展開が続き、そのまま終わりました。
わずか2つの劇場で公開スタートしたこの映画は、最初は関係者やその知り合いが主な客だったことでしょう。
正に内輪で過大評価を生み、ネタバレ禁止ということからも批判的な意見は目立ちにくく、内輪の面白いという評判のみが広がっていったわけです。
マスコミも便乗しました。
そして、一般層にまで広まった結果、ネットでは酷評の嵐という当然の結末に。
この作品とそれを絶賛する人間から伝わるのは「映画愛」というより、「映画を作った俺達サイコー!」という自画自賛のような「自己愛(身内愛)」でした。
クラスみんなで作った自主製作映画のような作品です。
その関係者が見れば最高でしょうし、映画製作に関わったことがあるような人もその不完全さに逆にあるあると感情移入もするのでしょう。
低予算であることも、それらの感情移入を助長しています。
ですが、それらを全国公開して関係ない他人が見ても、学生が作った映画だなーふーん、本人たちは楽しかったんだろうね~で終わってしまうのです。
もしもこの作品が純粋に面白ければ内輪ウケだけでなく、映画製作の裏側を面白おかしく描いたコメディとして広く評価されたことでしょう。
とは言え、見どころはある映画です。
予算がもう少しあれば、脚本をもっと練る時間もあったのかも知れません。
この映画の過大評価のせいでハードルがかなり高くなってしまっているのが心配ですが、監督の次回作には期待しています。
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