劇場公開日 2018年7月6日

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「女心を立体的に描く傑作」バトル・オブ・ザ・セクシーズ 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0女心を立体的に描く傑作

2018年7月12日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

 エマ・ストーンは「教授のおかしな妄想殺人」で可愛い女子大生を違和感なく演じていて、「ラ・ラ・ランド」はその延長線上みたいな演技だったが、本作品ではうって変わって大人の女の複雑な心を余すところなく演じていて、非常に好感が持てた。

 人間は多かれ少なかれ、プレッシャーを感じながら生きている。プレッシャーがそのままストレスとなって体を壊したり鬱になったりする人もいれば、プレッシャーを押し返して強く生きる人もいる。ただ、最初からプレッシャーに強い人はいない。習うより慣れろでプレッシャーに慣れていくのだ。
 慣れていくためには怖じ気づいてはいけない。やるべきことをやるしか、プレッシャー克服の道はない。そして少しずつ様々なプレッシャーを克服していく中で、徐々に大きなプレッシャーにも耐えられるようになる。人間はそうやって成長していく。
 とはいえ、大きなプレッシャーの中で無人の荒野をひとりで歩いて行けるほど、人間は強くない。誰かの後押しがなければただの一歩さえ踏み出せないだろう。

 本作品は、第二次大戦後の目まぐるしく価値観が変動する時代に、前人未踏の道を歩んだ勇気ある女性の物語で、彼女が必ずしも鉄の意志の持ち主ではなく、苦しい道を泣きながら、笑いながら登っていった様子を、細かなシーンで女心の機微に触れながら描いていく。エマ・ストーンの女優魂が余すところなく発揮された傑作である。

耶馬英彦