劇場公開日 2018年7月6日

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「ソフトなタッチで描く#MeToo運動の分岐点」バトル・オブ・ザ・セクシーズ MPさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ソフトなタッチで描く#MeToo運動の分岐点

2018年7月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

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1973年の"性差を超えた"エキシビション・マッチで対決したビリー・ジーン・キングとボビー・リッグスは、各々切実な事情を抱えていた。
ビリー・ジーンは当時のテニス界に蔓延していた露骨な性差別と、彼女自身のセクシュアリティとどう向き合い、どんな結論を導き出すべきなのか?リッグスは自らの身を滅ぼしかねないギャンブル依存症からどう脱却するのか?そして、双方にとってあるべき着地点へと向かうプロセスを、ファッションやメディア等、'70年代テイストを満タンにして描く映画は、今に続く#MeToo運動の歴史的分岐点を検証する。でも、そのタッチはあくまでもソフト。ビリー・ジーンと夫のラリー・キング、リッグスと妻のプリシラがそれぞれ悩み抜いた末に紡ぎ出す結論の、何と優しく、思いやりがあることか!?これは、社会的ムーブメントの陰で、夫婦とは?愛とは?そして、セクシュアリティとは?という普遍的な問いかけを観客に投げかけてくる、やっぱり「リトル・ミス・サンシャイン」の夫婦監督が作った最新作。流行や時代の風潮には惑わされない映画作家としての個性が際立つ1作なのだ。

清藤秀人