僕の帰る場所

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僕の帰る場所

解説

日本とミャンマーを舞台に、ある在日ミャンマー人家族に起こった実話をベースに描いたドラマ。東京にある小さなアパートに暮らすケインと幼い2人の息子たち。夫のアイセが入国管理局に捕まってしまったため、ケインは1人で家庭を支えていた。日本で育ったため、母国語が話せない子どもたちに、ケインは不慣れな日本語で精いっぱいの愛情を注いでいたが、兄弟は父親に会えないストレスからケンカを繰り返す毎日。そんな日常から、今後の生活に不安を抱くようになったケインは、生まれ育ったミャンマーへ帰りたいという思いが募っていく。監督は本作が長編デビュー作となる藤元明緒。2017年・第30回東京国際映画祭「アジアの未来」部門に出品され、同部門の作品賞および国際交流基金アジアセンター特別賞の2つの賞を受賞した。

2017年製作/98分/G/日本・ミャンマー合作
配給:E.x.N
劇場公開日:2018年10月6日

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映画レビュー

4.5家族に共感すればするほど、この国の冷淡さにやりきれなくなる

2018年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

夫婦役2人と子役2人、その驚くべきナチュラルな演技に、この家族がミャンマー人だとか難民だとかは関係なくたちまち魅了される。そうして自然と彼らに感情移入すると、この家族を翻弄する現実の過酷さと不確かな未来に激しく心揺さぶられることになる。日本人がほとんど知らないわが国の難民受け入れの現実や難民家族の暮らしぶりなど、観客にとって学ぶべき点が多々ある。

ドキュメンタリータッチの手持ちカメラが、作品のテーマを効果的に浮き上がらせる。BGMで流れる分散コードのギターは、シンプルな和音と残響が印象的で、あるときは家族の距離感と孤独、あるときは調和と絆を象徴するかのよう。本作が長編デビュー作となる藤元明緒監督。またひとり、才気あふれる映像作家が登場した。

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高森 郁哉

3.5制作当初の感動が薄れ気味か…

2023年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 2件)
てつ

3.0もう少し現実的な脚本を!

2021年6月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

在日ミャンマー人のアイセ、妻ケイン、2人の息子の4人家族は東京の狭いアパートで暮らしていた。夫のアイセは就労出来ないのにミャンマーから日本に来て内緒で働いていたため入国管理局から目をつけられていた。妻ケインはそんな不安定な生活が嫌になり夫を1人日本に残し2人の子供を連れてミャンマーの実家に帰った。2人の子供たちは日本で育ったため、ビルマ語が話せないので、日本語学校に入れようとするが・・・という話。
アイセが何でアテもなく日本に来て働こうとしたのか理由がイマイチ説得力無いし、妻も子供達を連れて日本に来たのがどうかと思った。
今年になって起きた国軍のクーデター後ならいざ知らず、日本の企業もどんどんミャンマーに進出してた数年前の状況なら、なんかミャンマー内で働けるんじゃないかと思った。
ミャンマーに帰った子供のうち長男のカウンが日本に比べて汚いミャンマーが嫌になり、日本に帰りたくて家出した時にいきなり日本語で話しかけてくるミャンマー人の子供たちにビックリ。ありえんでしょ、って思った。
日本とミャンマーの親睦を深めるのが狙いなら、もう少し感情移入出来るような背景を作って欲しかった。
日本の入管法がおかしいのだろうとは思うし、困っている在日外国人に寄り添える一助になれば良いのかな、とは思った。
カウン役の子は上手くて魅力的だった。

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りあの

3.5類まれな演出力に舌を巻きます。

2021年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作の何が驚くか?その作風です。
ドキュメントタッチ、、、と言うか
ドキュメント「風」じゃないんです。
演技、カメラワーク、演出、ざらついた映像
完璧なまでに「ドキュメント」なんです。
本当にある家族の密着ドキュメントを
観ている気がしてきます。

これは単純にすごいことです。
家族役の皆さんは演技経験ないのです。
ですが、演出プラン実現のための準備を十分に
念入りに行うこと、プランを全うすることで
このような作品が作れるのですね。
驚きです。本当に素晴らしいです。
子供達の演技・・・いや縁起超えてます。マジで。

本作はある在日ミャンマー人家族の物語です。
その家族に発生した事件によって、家族それ
ぞれが心落ち着ける場所を見つけようと足掻く
お話。人間がどのように居場所を作り、家族が
どのように困難に立ち向かっていくのか?
家族の在り方は?リアリティー感200%で
伝えてくれる作品です。

ですが、藤元監督はこの家族の物語を描いた
のは「ある現実を報告する」目的があったと思います。

この家族の物語は、ある出来事が発生した
「後」の話です。後の姿をリアリティーたっぷりで
描くことで、Keyとなる「出来事」に重みををつけよう
としているのでしょう。

その問題点は「低い難民認定率」と
「入国管理局の外国人への対応」です。
(だと思います)
今、こうなんですよ!ということを広く報告したい
のだと思います、藤元監督は。
確かに、僕自身はよく知りません。
最近、入管施設でスリランカ人の女性が亡くなられた
ことが報道されていて、何か変だなぁって思う程度。
本作の事案とは異なると思いますが、同列かな?と。
年々、海外から日本にくる方々が増えてきていますが
進化、改善していない日本の入国の仕組みについての
問題提起として本作があるのだと思います。
問題提起の作品としては十分な作品になっています。

ただ、残念な点もあります。
本作では入国管理局(窓口対応含め)の対応が
描かれていますが、これはあくまでミャンマー人側の
目線で語られていることを忘れてはいけません。
つまり、当該のミャンマー人の方から見たら「こう見える」
ということです。
その対応をせざるを得ない理由があるはずなのですが
描かれていないのです。ミャンマー人家族の立場から
見た入国管理局が描かれるので悪印象しか持てない
のです。(意図的にそうしているように見えますが)
本作はドキュメンタリーではないですからそれまでを
求めてはいけないことは十分わかっていますが・・・・、
少なくともなぜ国側はそのような対応をするのか?を
描いて欲しかった。そうすればより問題点が明確に
なったのではないか?と思います。

願わくば、この心象的にもよろしくない入国管理局の
方々を見ただけで「けしからん!これではいけない!」と
短絡的な考えに陥る人が生まれないことを祈ります。
単純な話ではないと推測します。

さまざまな事象に対応しきれない、時代に合わない
現実あるという事実を知り、より詳しく知り、考えたいと
思うキッカケになる作品であってほしいと願います。

良作です。

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バリカタ