シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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変幻自在の水と、外見を覆う緑、あらゆる生き物が流す血の赤が際立つ
水には形などない。変幻自在で、私たちはそこにどんな想像力も、感情さえも投影できる。だが今の世の中、水を見つめるように人の内面を見通すことがどれほど可能なのだろう?肌の色、宗教、国、外見、服装、貧富の差。我々を取り巻く色眼鏡は数多い。その点、半魚人と、声を失った女性とのラブストーリーは、まるで互いの中の「水」を見つめ合うかのように、あらゆる衣を脱ぎ去った無垢なる姿に満ちていた。
本作は「緑」で満ちている。研究所の薄暗い明かり、清掃係の制服、パイ、新車、噛み砕かれるキャンディ、それから絵描きは「もっと緑を足せ」と要求される。半魚人の体も緑、だがイライザはその奥を見通す。
それでいて誰もが等しく赤色に染まるのも印象的だ。何かに目覚めたヒロインの服装も赤。さらにその全てを飲み込んでいくのはまた水。人々はそういった揺り戻しを寄せては返す波間のように繰り返しながら、歴史を重ねているのかもしれない。
途中で類似する先行作に気づき、ラストで唖然
「パンズ・ラビリンス」で独創性あふれる世界観を提示してみせたギレルモ・デル・トロ監督の最新作だし、今年のアカデミー賞で最多ノミネートということで、観賞前の期待は高かった。実際、イライザの暮らしぶりに親近感を覚え、彼女と半魚人(=彼)との心の距離が近づいていく過程にときめき、彼を施設から運び出す作戦には心躍らせた。
でも、彼をアパートのバスタブに入れてかくまうあたりで、この話「スプラッシュ」に似ている、と気づく。あちらは青年と人魚の恋で、男女の性を入れ替えた格好だ。人魚も軍の施設で研究材料にされ、弱ってしまう。終盤、埠頭で追っ手に取り囲まれた異種恋愛のカップルは、海へダイブ。人間も水中で呼吸できるようになり、海底の王国で幸せに暮らしましたとさ……って、ラストまで一緒じゃん! 原案・脚本にデル・トロがクレジットされているが、オマージュの域を超えてはいまいか。
コミュニケーション・ツールとしての言葉の破滅
「パンズ・ラビリンス」で見事ジャンル映画としてのファンタジーの限界点を超えてみせたギレルモ・デル・トロ。その最新作は、異形の者同士が言葉を介さず、互いに交わす目線と表情だけで愛を確認し合い、やがて、2人だけの世界へと身を投じていく姿に新たなファンタジーを見出している。対極として、愛のない生活に辟易している夫婦や、意思の伝達能力に乏しいゲイの隣人を登場させて、コミュニケーション・ツールとしての言葉の破滅にもはっきりと言及している。常時濡れているような深緑色の画面、そのウェット感、冷戦時代の冷気を切り取ったようなセットデザイン等々、隅々にまで監督の確立された美意識を感じる、まさしく監督賞に相応しい新ファンタジーである。
世界観に惹き込まれる
冒頭から出てくる性的描写と水の表現。これが最後まで覆っているのですが、この撮り方自体アートな感じで最後まで見れる形になっていると思います。出てくる登場人物はすべて何かのアイコン、特徴を持たせていてわかりやすい指標になっていたかと。ここが削られると安っぽい感じになるので撮り方大事だなと思った一本です。
正直、過大評価過ぎると・・・
正直な感想は、世界の映画賞を数々受賞する程の作品とは思えぬ・・・
過大評価し過ぎなのでは?って感じ。
世界観はテリー・ギリアム監督の「未来世紀ブラジル」
内容は設定を友情から愛情に変えた「E.T.」という感じ。
「スプラッシュ」にも近いかな?
面白かったけど、アカデミー賞作品賞受賞する程とはとても・・・(-_-;)
年々アカデミー賞の信憑性が落ちている気がする。
怪物?とSEXするのも、なんか悪趣味というか、グロテスクというか・・・
ラストもなんかありきたりというか、物足りない感じで腑に堕ちない。
少なくとも俺には凡作という感じで、ハマりませんでした。
マイケル・シャノンは悪役やらせると最高ですね!
人ではないものが幸せをもたらす美しいお伽話の構図
同監督のパンズ・ラビリンスは怖いばかりで私は幸せな物語には思えなかったのだが、こちらの物語は、人生の寂しさや不幸の中で人ではないものが幸せをもたらす美しいお伽話、というパンズ・ラビリンスと同じ構図を、映像の隅々まで優しく美しく、寓話的現実世界で和やかに表現することに成功していて、とてもいい映画を観たという気持ちにさせてくれる。傑作だと思う。
芸術?それとも・・・
この作品はグロなのか芸術なのか、タブーなのか正義なのか、エロなのか愛なのか、パロディーなのかマジなのか、答えが出せず観終わるまで弄ばれているようなもどかしさ。そして生々しい描写によって人間の生き物としての恥ずかしい本質をさらけだされたようで何だか居心地が悪い。久々にこんな何とも言えない感覚に陥った。
この手のジャンルは、最近刺激を嫌ってか避けてきたのだけどこの作品はインパクト十分でした。アカデミーはともかくとして、鬼才と呼ぶにふさわしいです、このギレルモ・デル・トロという監督さん。
古き良き時代 差別社会の中で見た愛 最高のファンタジー
ファンタジーを当時のアメリカ音楽と合わせて紡いだ美しい物語。
タイトルに誰もが首をかしげるが、最後にその答えがわかったとき胸が熱くなる。
ロッキーに出てきたエイドリアン風なイライザ。幼い時のけが、トラウマで声が出せない。
当時の欧米では相当数存在した孤児の一人だ。
身寄りも声もない彼女は、心優しい友人らによって細々と暮らしていた。
隣の部屋に暮らすのは、売れない絵描き。彼のための食事を賄っている。少なくとも、彼女の周囲では差別的な行為はないものの、一旦外に出れば、店でもカフェでも差別の応酬、そういう時代があったのだ。
UMAである半魚人をモチーフに、彼との心の触れ合いを描いている。
彼女に与えられる仕事が掃除。その舞台が航空宇宙局という特殊な場所。そこに運び込まれてきたのが得体のしれない生物だった。
イライザには他人の心がよくわかる。特に自分に対して差別的な言動はすぐにキャッチできる。その彼女は、人間が傷つけようとしている半魚人の心を読み、彼女自身心を寄せる。
「声も出ないし、美人でもないし、貧しい私を、彼は何の偏見もなく観てくれている」
これが彼女が感じたことで、彼を解剖しようとする局から逃がす決心をした理由だ。
選択は2つ 助けるのか、知らぬ顔をするのか?
そしてこのような選択を迫るシーンがいくつか出てくる。
絵描きの男は彼女の協力を拒んで、再就職のチャンスへと向かうが、冷たい言葉であしらわれていつものカフェに行く。絵を誉められうれしくなったが、黒人は座るなという彼の二面性、そして男の手に触った行為が誤解され、席を立つ。
そういう社会を改めて突きつけられた絵描きは、彼女の申し出に力を貸すことに。
冷戦時代宇宙が先進国の証とされ、アメリカとソ連がしのぎあいをしていたが、ソ連のスパイが航空宇宙局にもいた。
彼らは経緯でイライザと利害が一致。これによってイライザは目的を達成した。
映画は様々な謎が散らばっていて、その謎を紐解いていくと、イライザとはいったい何者だったのかというものが見えてくるような気がする。
これは監督らの設定が巧みで、だから様々なアイテムや登場人物たちの言動に矛盾がない。
しかしこの美しい物語はそんなことを気にして見る必要もない。
主人公である彼女が撃たれ、半魚人は彼女と海に飛び込む。その後は絵描きがナレーションを務めることで、その後の物語は彼の想像になる。という見方もできる。
彼女が川で助かった過去、首の傷がエラに変化したこと、見えないものを感じる心、本当に大切なものは目には見えない…
エライザがもし人間世界にやってきていた人魚姫なら、あの冷戦時代に、目に見えない美しいものが人間世界から消えたのかもしれない。
このような作品が、我々に何か大切なことを伝えてくれているのだろう。
ふたりを想像するお話
美女と野獣
を思わせる様な
野獣の魚バージョン
はじめ人の様な魚にビックリ
ハゼの様な顔で可愛い?
ファンタジー要素も大きく
音楽のテンポのよさなど
テンションが…上がります
お風呂場面はファンタジーでしか
描けない演出で楽しい!
イライザが
とても素敵な女性で魅せられる
イライザの積極的な行動は
どこから~とか思ったり
最初から大きな驚きはなく
相手を受け入れていた
そこはちょっと不思議な感じがした
まして恋愛の対象になることも。
イライザの感情が
一方的に感じたりそのことで
相手の気持ちが薄く感じてしまう
部分もある
痛められ酷い仕打ちを
受けて心の無い人間が出てきますが
言葉を話せるのに心が通じない
もどかしさを感たりします
ディズニーのような
あま~いラブstoryでは無いけど
ラストのイライザが水の中で
息を吹き返したあとが…気になった
デル・トロ監督の最高傑作は「パンズ・ラビリンス」‼️
デル・トロ監督が描く美女と野獣、いや美女と半漁人の愛の物語‼️水の中のラブシーンなど美しいシーンの連続で、アカデミー賞受賞もナットクの作品‼️デル・トロ監督にしか作れない世界観ですよね‼️ただ、やたらとヒロインのヌードシーンがあったり、ヒロインと半漁人の実際の場面はなくとも、性行為を実施したセリフのやりとりがあったりして、ちょっと安っぽく感じてしまう‼️もっとプラトニックラブに徹したほうがよかったと思う‼️そして極めつけとして一言、ネ◯喰っちゃダメでしょう‼️しかも丸かじりで‼️
面白かったです。すごい映画でした。 物議を醸すべき、いろんな評を聞...
面白かったです。すごい映画でした。
物議を醸すべき、いろんな評を聞いてみたくなる一本。
主人公イライザのヒロインらしからぬ外見(含:発声障碍)が多く取沙汰されていますが、私はヒロインらしからぬ内面の苛烈さ、身勝手さ、歪な人間性に惹かれました。
相手の都合も顧みず「手話を読んで!(私の主張を聞きなさい!)」と詰め寄り、激しい手ぶりで威圧的にまくし立てるシーンでは、つい(コイツ嫌だな/関わりたくないな)と思いましたし、
職場のクソ上司が読み解けないのを良いことにジェスチュアでF***と見せつけるシーンには、外国語で侮蔑されニヤニヤされたような不快感を覚えました。
記号的なヒロイン(内気で薄幸)ではなく、熱い血の通った人間として描かれているからこそ、賛否両論あって然るべき人物造形だと思います。
そのダダ漏れな情念が(文字通り)世の中に噴き出していくサマに、こりゃとんでもない映画だなあー、と唖然としました。
そして、内面に凶暴性を秘めた半魚人にシンパシーを感じ、慈しみを抱き、そして愛に変容してゆく。
そんな二人が惹かれ合う理由が不明瞭で、説明されないのもリアル。
半魚人と裸で抱き合い、眼だけでにんまり笑うイライザの胸中にざわざわしました。二人にしか分からない心情が滾っている。。。通じ合っている。
一筋縄ではいかない人物造形なのに、主人公と半魚人の恋愛に感情移入させていく手法が巧みなので「切ない純愛映画」と思えてしまう。
エンディングで示唆されている通り、観た人が頭の中でハッピーエンドに作り上げる映画。
(パンズラビリンス同様)デルトロ監督らしい観後感の映画でした。
マイナス0.5点分は私情。私は、自分の傷に触れられたくないので(^^;)、痛みや悲しみに触れあって愛が芽生えるっていうのがよくわからなかったから、その分気持ちが引いてしまいました。
意外とコンパクト
思っていたよりコンパクトな作品だった
登場人物みんな浅慮的に自分のしたいことを優先しているので深みはなかったのが残念
主人公の清掃員女性はちゃんと描けていたので、ブレないと言えばブレなかったけど
ちょい物足りなかったです
途中のシーンであることをするんだけど、多分床抜けると思いますね
アカデミーの作品賞やヴェネツィア映画祭の金獅子賞など結構凄い受賞歴があり驚き
ちょいポリコレ臭がするのでそのせいかもしれない
入り込めなかった
監督が、美女と野獣で野獣が最後にイケメンになるのは
納得がいかないとインタビューに答えているのは、
私も同感なので期待して観に行きましたが。
美女と野獣の場合は、まだ見た目が野獣であっても、
中身は人間なので、知的な交流や理解があった。
そこに愛情が生まれたとしてもそれほど疑問は感じなかった。
しかし、この映画では、いくら多少の言葉理解力があるとはいえ。
あの程度では犬や猫が人間の言ってることを多少理解してるレベルでは?
明言はされていないけれどもヒロインも同種では?という
匂わせがあるので、言葉が無くても通じ合えるって
言いたいのかもしれないけれど、だとしたらそれをもっと
全面に出してもらわないと、ペットを性欲処理の対象にしちゃった感があって
違和感もだけどまず気色悪く感じてしまった。
もう少し半魚人が人間的交流ができる相手であったら、
声の出ないヒロインが自分の気持ちを歌い上げるイメージ場面が
とてもいい場面に思えただろうと残念。
画面はきれいだし曲も良いのにもったいない。
社会的弱者
今年のアカデミー賞で作品賞を含む4部門を受賞したファンタジーラブストーリー。
登場人物は、孤独感を抱えて生きる社会的弱者たち、声を失った女性、抑圧が激しかった時代のゲイや黒人、そして、謎の生物である半魚人が力を合わせて無慈悲な権力に抵抗を試みます。声を失った女性と半魚人の言葉はなくても目と心で通じ合う愛は成就し、弱い者同士の結束は勝利したのでしょうか。
アバターを思わせる半魚人はちょっと気持ち悪いですが、主人公の健気な演技がそれを忘れさせてくれました。
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