劇場公開日 2018年7月27日

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「その時、狙撃手は不可視の存在になる」ウインド・リバー AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0その時、狙撃手は不可視の存在になる

2018年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

主人公のコリーは優秀なハンターだ。前半は基本的に彼の視点で進む。驚いたのは、銃撃戦が勃発する終盤。敵味方が至近距離で撃ち合うこの場面、遠方から狙撃の腕前を発揮する主役の姿は映らず、カメラはひたすら撃ち倒される者たちの姿を追う。この非凡な演出!

脚本家テイラー・シェリダンが自ら監督も務めた本作は、現代フロンティア3部作の第3弾。かつての辺境開拓は「より強く、より豊かに」というポジティブな意志と欲望を原動力とする運動だったが、その陰で原住民やメキシコ移民は虐げられ悪者にされた。シェリダンはそんな辺境の暗部に光を当てる。

コリーはネイティブアメリカンの妻との間にできた娘を悲惨な事件で失った。だが終盤での狙撃は、復讐や、仲間を救うといった個人的な動機を超えた行為、神の裁きとして描かれる。だから狙撃手は画面に映らない。神にすがりたくなるほど辺境の現実は暗澹としている、ということか。

高森 郁哉