花筐 HANAGATAMI

劇場公開日:

花筐 HANAGATAMI

解説

名匠・大林宣彦監督が、1977年のデビュー作「HOUSE ハウス」より以前に書き上げていた幻の脚本を映画化し、「この空の花」「野のなななのか」に続く戦争3部作の最終章として撮り上げた青春群像劇。檀一雄の純文学「花筐」を原作に、戦争の足音が迫る時代を懸命に生きる若者たちの友情や恋を赤裸々に描き出す。1941年、春。佐賀県唐津市の叔母のもとに身を寄せている17歳の俊彦は、アポロ神のような鵜飼、虚無僧のような吉良、お調子者の阿蘇ら個性豊かな学友たちと共に「勇気を試す冒険」に興じる日々を送っていた。肺病を患う従妹・美那に思いを寄せる俊彦だったが、その一方で女友達のあきねや千歳と青春を謳歌している。そんな彼らの日常は、いつしか恐ろしい戦争の渦に飲み込まれていき……。大林監督作の常連俳優・窪塚俊介が俊彦役で主演を務め、俊彦が憧れを抱く美少年・鵜飼役を「無限の住人」の満島真之介、ヒロイン・美那役を「江ノ島プリズム」の矢作穂香がそれぞれ演じる。

2017年製作/169分/PG12/日本
配給:新日本映画社
劇場公開日:2017年12月16日

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(C)唐津映画製作委員会/PSC 2017

映画レビュー

4.0横尾忠則の絵を思わせる過剰なまでに饒舌な映像世界

2017年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

知的

癌により一時余命3カ月と言われたとはとても思えない、大林宣彦監督のエネルギッシュで自由で工夫と企みに満ちたこの最新作のパワーには驚かされる。檀一雄の小説世界に自らの夢や幻想、さらには現代の「唐津くんち」(祭り)の実写も組み合わせ、一時期の横尾忠則の絵のような過剰さを思わせる。昭和レトロなセットや衣装おかげで戦争の時代の青春はノスタルジックでありながらどこか戯画的でもある。

キャストの中では、病弱な美那と対照的な位置づけとなる、豆腐屋の娘を演じた山崎紘菜の健康的な魅力が光っていた。これまで彼女が出ていた作品を結構観ていたのにあまり印象がなかったが、今後は注目していきたい。

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高森 郁哉

3.0「転校生」以来

Mさん
2022年10月6日
Androidアプリから投稿

大好きな監督。
大きな期待を持って見に行った。
伝えたいことはわかる気がした。
しかし、映画は自己満足ではだめなのではないか。

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M

4.0抑圧された時代を生きた若者達の姿が切ない

2021年5月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

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コメントする 3件)
共感した! 4件)
こころ

4.0殺されやしないぞ、決して。戦争なんかに。

2021年5月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

難しい

先週の『野のなななのか』に続き大林監督作。
『野のなななのか』とは違った難解さ、良さのある反戦映画となっていました。

戦争の影がちらつき始めた1941年の唐津。
アムステルダムから帰国した俊彦を中心に、若者たちの青春模様が描かれる。
幼い俊彦は、アポロ神のように雄々しい鵜飼や虚無僧のような吉良に憧れ、肺を患い先が長くない美那やあきね、千歳に惹かれ、青春ゆえの恋や友情、葛藤を経験していく。
しかし、そんな彼らにも戦争が迫ってきて…

『花筐』は檀一雄の純文学、もっというと能の演目の一つということもあって、予習が必要な作品のように思いました。
『野のなななのか』が舞台的で難解だったのに比べ、こちらは芸術的で文学的な難解さ。
大林映画は色彩感覚がすごいですが、これはよりカラフルで絵画のよう。
相変わらずの血の表現や裸で馬に跨るところ、部屋が海になるところなど、クドいくらいのセンスは大林監督だからこその唯一無二の映像でした(モノクロからカラー、ストップモーション、海に飛び込むなど『時をかける少女』に近いものを感じました)。
原作読んでからなら、だいぶ語れることも多くなるかと思いますが、やはりテーマは戦争によって散っていった若者たち。
「おくにのために」の戦時中、病気で自分は役に立てない非国民だと、彼らは“自分”とは何なのかを模索する。
“勇気を試す冒険”、自分と他者との比較、命の重み。
俊彦の青春は鬼ごっこの鬼のようだった。
じわじわと日本人を蝕んでいった“戦争”という毒がよくわかる映画でした。
唐津のおくんちも素敵。
コロナ禍が開けたら是非とも行きたいお祭りですね。

とはいうものの、劇場のシートの座り心地と前日の寝不足で少し夢の世界へ。
最近もう一度観直したい映画が多いんですが、特にこの映画は観直したい映画でした。

追記:キネマ旬報シアターで鑑賞したため、上映終了後に『第91回キネマ旬報ベストテン』表彰式での監督の受賞コメントの映像が特別に流れました。
監督のこれからの時代への期待と平和な世の中への希望を、一所懸命熱く語られていました。
最後の「あと30年は映画を作る」という自信に満ちた言葉。
その願いは叶いはしませんでしたが、その後遺作をもう一本撮られた熱量は本当に素晴らしい。
多分今日のインタビューを忘れることは一生無いと思います。
お疲れ様でした。

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唐揚げ
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